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六節

ヒイラギ登場

ヒイラギは上背がある中年の男性でスーツを着ている。

影は白いシャツの上にオレンジ色の薄手のカーディガンを羽織り、Gパンをはいていた。


僕は思考した。何故彼が僕の考えを読めたのかと。

彼が言ったのは嘘なのか本当なのか。答えは一瞬で出た。


嘘だね。


僕は断定した。僕は意識の外側どころか口から思考を漏らしていたからだ


「しかし俺達がいまここに居るということから俺が悪魔だということを認めていいんじゃないか?」ヒイラギは笑いながら自分の足元を指差した。


・・・空中だ


「ああ、そうかもな」と言いつつ僕はヒイラギの足元を薙いだ。

そこには細い糸が張ってあった


揺れる糸の上を奇妙にバランスをとりながら

「どうしてからくりを見破ったのに俺を悪魔だと信じるんだ?」とヒイラギは不思議そうに聞いてきた


それはこの部屋の中で僕に気付かれずに糸を張ったからだよ。

僕は笑いながら答えた。


僕はESP保持者とはとても言えない一般人だが、少なくとも半径5メートル以内位なら何処で何が起こっているか位分かる。

(だからこそ思考をだだ漏れにできるというものだ)


「僕は人の隙をつくのが上手いんだよ」ヒイラギは笑った


「そもそも人間の存在自体が隙だしね」


?どういうことだ?

僕は少し考えた。しかしやはり分からなかった


「いい機会だ。ついでに教えてやろう。ふむ、ここから始めようか」

ヒイラギは一人勝手に頷き話し始めた

「君達は自分のことを何と呼ぶんだい?」


人間だと思いますが・・・

僕は首をかしげた


「人間ってどういう意味だろうね。ヒトとヒトの間の物という意味だろう?」ヒイラギは続ける


「昔、神はヒトを作った。しかしヒトだけなら世界は絶対に神の思うがままにしか進まない。それを神は嫌った。

だからヒトとヒトの間に立ち、ヒトの生き方を尊重しながらも本能的には嫌がる存在として人間を作ったんだ。」

「人間はヒトと見た目、体の構造、何一つとして違わない。しかし本質自体がまるで違っているんだ。」


うそだ・・・それじゃ僕たち人間は自分の生き方自体を本能で否定しながら本能で強制されているとでも?


ヒイラギは聞いた。「君は不思議に思った事は無いのかい?真実を良しとしながら嘘がまかり通す世界に。

仕事を嫌がりながら仕事がないと不安になる親に。そして発展しているように見えて人々が幸福にならない世界に。」


「それは君達の本質の中に”ヒトの生き方を嫌いながらヒトの生き方が正しい物と信じさせられている”人間が入っているからなんだよ」


僕は首をかしげる。「入っているって?」


ヒイラギは答えた。「君達の本質は人間だけでなくヒトでもあるからだ」


「君達のなかのヒトと人間は長い混血の歴史の上で完全に混ざり合ってしまった」ヒイラギは苦笑する


「もともと人間自体にヒトの生き方を肯定する物が入っていた上に、自分はヒトと人間が混血だとか言われたら自分の本質なんて訳が分からなくなるよね?」


「今はここまでにしておこう。この上年をとるにつれ人間の本能がヒトを駆逐していくとか色々話したら頭がパンクしてしまうかもしれないからね」ヒイラギは笑う


いや。。それめっちゃ気になるんですが・・・


「ふうむ、しかし少し飛ばして本題の俺達の話に入りたいんだが」


じゃあ、また後で・・・

確かに長い話になりそうなのでやめておいた


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