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第45話

「陛下、ご依頼の件ですが調べが終わりました」


執務室に着いたエドアルドにエルンストが声を掛けた。


「・・・そうか、で?どうなんだ?」


「それが・・・少々厄介なことが分かりました」


エルンストに言葉にエドアルドの顔が曇る。実はエドアルドはエルンストにブルックナー家のことを調べさせていた。セシルを愛しているし、信頼もしているが、王妃となるからには実家のことも無視できない。実家の状況によってはセシルを王妃にすることが難しくなる可能性もあった。セシルを王妃にすることを完全には納得していない家臣達に足元をすくわれる前にブルックナー家のことを調べ、何か災いの種があるならそれを排除しておく必要があった。


「厄介なこととは?」


問いかけるエドアルドにエルンストは報告書を手渡した。それに目を通したエドアルドは驚きに目を見開いた。


「これは真実なのか?」


「恐らくは、真実と思われます。容姿や性格、時期から考えても符号する点が多すぎるのです」


エドアルドの言葉にエルンストは目をそらさず応えた。


「・・・伯爵は気付いていないのか?」


「・・・疑念は抱いているようですが、確証を持てずいるようですね」


エドアルドは頭を抱えた。思ってもみなかった問題がブルックナー家には隠されていた。それは致命傷になりかねない。


「・・・これが家庭不和の原因だろうな」


エドアルドは報告書を見つめながら呟いた。セシルは此処に書かれていることは何一つ知らないだろう。何も知らないまま、訳もわからぬまま、母や兄に虐げられてきたのだろう。それを思うとエドアルドは胸を締め付けれる想いだった。だが、此処に書かれていることをセシルに知らせるのもまた酷な気がした。


世の中には知らないほうが幸せなこともある。この報告書の内容はセシルにとって正しくそれであるとエドアルドは思った。


「・・・あの二人をブルックナー家から排除する必要があるな」


エドアルドが苦しそうな顔でそう言った。


「・・・しかし、方法はどうなさるのです?この件を公表すれば容易く排除出来るでしょうが、この件はブルックナー家の名誉に関わる」


エルンストの言葉は尤もだ。事はそう簡単では無い。


「・・・秘密裏にあの二人を排除する方法を考えねばな。エルンスト、例の輩、所在は掴んでいるか?」


「え?・・・はい。掴んでおりますが」


エルンストの応えにエドアルドはニヤリと笑った。


「捕らえておけ。使えるかもしれん」


「・・・分かりました」


エルンストはそう応えながら、やっと幸せを掴みかけたエドアルドとセシルに急に立ちこめた暗雲に胸を痛めた。

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