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my times  作者: フジシン
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free

「いいか?まず俺の話を聞いてくれ!」


「分かったよ!どうしたんだよ。」


「俺の知ってる話はこうだ。」


ジータはキーファに自分の人生を話はじめた。

両親がキーファを産んですぐに事故に合い他界したこと。

キーファが去年、自動車事故で死んで、精神障害を背負い社会から孤立して行ったこと。

会社をクビになってしまったこと。

全てをキーファに話した。


「兄貴…大丈夫か?」


それでも、ジータは自分の人生を信じていた。


「これは夢だ…キーファはもういない。きっと理想を求めた幻覚だ。また病気になったんだ。」


ジータは自分に言い聞かせていた。


「おい兄貴!しっかりしろ!」

ジータは小声でブツブツと何かを言いながら倒れてしまった。


「ちくしょう!兄貴どうしたんだよ!」


キーファはジータは背負い病院へ急いだ。


「嘘だ…。」


車を運転しているキーファを見て、薄れゆく意識の中でジータは呟いていた。


「もう少しだから安心しろ!」


キーファは車を飛ばしていた。


「お前は本当にキーファなのか?」


ジータは小声でキーファへ問いかけた。


「俺はキーファだよ!あんたの弟だよ!」


ジータは目に涙を浮かべていた。


「何泣いてんだよ!気持ち悪いな!」


キーファには分からないのも無理はなかった。

一度は世界で独りぼっちになった事のある人間にしか分からない。

ジータは嬉しくもあり、キーファを亡くした時の事を思い出し、嘘じゃない世界だということを願っていた。

「兄貴…どうしちまったんだよ…」


キーファは心配するほかなかった。


しばらく車で移動し、病院に着いた。


「兄貴!歩けるか?」


キーファはジータを抱え、病院の中へと入ってゆく。


「先生!」


真夜中の病院は、キーファの声で響き渡った。


「どうしました?」


「兄貴が倒れたんです!見てもらえませんか?」


医者は何も言わずに診察室へ入れるように手招きした。


「こりゃ、熱があるな。すぐに点滴をしよう。」


医者は落ち着いた様子で準備に取り掛かった。


「ところでお宅は、弟さんかい?」


「あぁ」


「命に別条は無いよ。安心しなさい。君はロビーで待っていなさい。」


「分かったよ。」


キーファは納得がいかない様子だった。


弟のキーファは診察室の外のロビー。

兄のジータは医者と診察室にいた。

ジータはベッドで横になり、点滴を受けながら寝ていた。


しばらくして、ジータは目を覚ました。


「ここは…」


「病院ですよ。」


「!!!」


ジータの顔が引きつっていた。


「あなたは、ラウルさん…」


医者はラウルとウリ二つの顔をしていた。


「お目覚めのようですね。」


「何故あなたがここに!」


「心配だったんですよ。」

ラウルは白衣を着て、医者の格好をしていた。


「こう見えても、私は心配性なんです。あなた様がどのような反応をするのか。」


「それじゃ、これは夢じゃないんですね!?」


「えぇ。夢ではありません。」


「じゃあ、キーファも両親も生きてるんですね!」


「えぇ、もちろん。」


はじめて、ジータは安心の涙を流した。

夢ではない。

現実だという現実に。


「しかし、ジータ様。少しお話が…」


「なんです?」


「代償のほうを…」


「代償?」


ジータの動きが止まってしまった。


「代償ってなんです?」


ラウルは、白衣を脱ぎ説明を始めた。


「あたしは、あなたがご存じの通り、人間ではありません。時を操れる能力を持ったものです」


ジータはこの信じがたい話を疑うことはなかった。

「分かってます。現に弟が生き返ってる。証拠はそれだけで十分です」


「さすがはジータ様。話がお早い。そこで本題に入るのですが…」


ジータは生唾を飲み込んだ。


「実は、困っていることがありましてね…」


「困っていること?」


「えぇ。頼みを聞いてはもらえませんか?」


「内容にもよりますけど…」


「そんな、弟さんを生き返らせたじゃありませんか?」


「内容は?」


「単刀直入に言うなら、仲間になってほしいんです。」


「仲間に?」


ジータは意外にも、あっさりした表情だった。


「仲間って、その時間を使うあなたの?」


「そうです。非常に困ったことがありまして…」

ラウルは、もったいぶったように話し始めた。


「実は、私たちの中で裏切り者がいるようなんです。私たちは一応、分類的には天使に入るんですが、なんせ多忙なもので…。ですので、ジータ様にもお仲間になっていただいて、裏切り者を見つけてもらおうと…」


ジータはさすがに首を縦には中々振れなかった。


「ラウルさん、別に仲間にならなくても、探すのなら手伝いますよ。」


「それが、そうはいかないんです。天使は一部の人間にしか見えないんです。つまり、今のあなたには、天使は私しか見えていません。」


「全ての天使が見えるようになるには、天使になるしかないというわけですか?」


「そういうことです」

ジータはどう返事を出すのか?

天使になる必要があるのか?

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