作戦成功?
「加奈さん、今日からよろしくね」
ついに最初の席替えがあった。隣は奏汰君で、隣の席になるのは2回目だ。
「うん、よろしくね奏汰君。2回も隣になるなんてすごいね」
「ほんとにね、僕ラッキーだな」
「私もうれしい、私めっちゃ馬鹿だけどよろしくね」
「僕もあんまりだけど、一緒に頑張ろうね」
奏汰君とは一年の夏くらいに隣の席になって、それから時々話しかけてくれる。入学当初はかなり暗い印象があったらしいけれど、ちょうど私と隣の席になった時期くらいから髪をバッサリ切って雰囲気も明るくなり、爽やかイケメンだと女子から人気のある子だ。奏汰君みたいな人が彼氏だったら幸せなんだろうな、すっごく優しいし
「丁度10分くらい時間余ったからテキトーに世間話でもして時間つぶしとけー、これから一年同じクラスなんだから仲良くしろよー」
「はは、先生優しいね、せっかくだからお話してもいい?自習とかしたかったら全然いいんだけど...」
「ううん、話そ話そ!」
「よかった、ありがとう。えーなんだろ...、あっ、そういえば加奈さんって生徒会長と仲いいよね」
「うん、幼馴染だから、文理も部活も違うから不思議に思う子多いんだけどね」
「そうだったんだ、僕も不思議に思ってたんだ、幼馴染とか憧れちゃうな」
「そんないいものでもないよ、まさか高校まで一緒とは思わなかったもん」
「...じゃあさ、加奈さんは会長と付き合ってるとかでもないんだ?」
「まさか!全然ないよそんなこと!急にどうしたの?」
「じゃあさ、今週末一緒にお出かけしない?」
「え?」
「今週末、水族館がイベントしててすごく楽しそうなんだ。よかったら一緒に行きたいなって思って...、って急だから予定とかもあるよね、ごめん変なこと言って」
「行く!行きたい!」
「ほ、本当?いいの?」
「うん、もちろん!」
「やった、じゃあライヌで詳細送るね」
「ありがとう、楽しみにしてる」
やった、これデートってやつだよね?しかも尚樹のこと気にしてたし、計画成功じゃん、早速尚樹に自慢しなくちゃ!
―「しっつれいしまーす!」
「わ、ねーちゃん!どうしたの?ご機嫌じゃーん」
「なんでノックができないんだよこの姉弟は...」
ドアを開けると同時に大声で挨拶をして、ご機嫌な加奈が入ってきた。放課後なのに元気なものだ。
「ねぇ尚樹!すごいんだよ私、すごいの!」
「もしやテストで60点でも取ったのか?すごいな~、加奈はいつも40いくかいかないかの瀬戸際なのに」
「ちがう!ねぇきいて!あのね―」
なんだろう、すごく、すごく嫌な予感がする。聞きたくないような、でも聞かなきゃいけないような。
「デートに誘われちゃったのー!」
「...は?」
「え、ねーちゃんそれまじで言ってる?」
「まじで言ってる!私には一足先に春が来ちゃったみたいだな~、ありがとね、尚樹っ!」
「いや、別に俺は何もしてないし」
「そんなんことないよ、だって尚樹と付き合ってないのか確認してきたもん!」
...つまり相手は加奈に対して恋愛感情を抱いている可能性が高いということか。加奈の様子を見るに即OKしたんだろうなぁ、危機感も何もなさそうだ。
「ねぇ、ねーちゃんはその人のこと好きなの?」
京谷、頼むから聞かないでくれ、それはなぜか本当に聞きたくない。
「いや?」
「「え?」」
「だってこういうのって、だんだん惹かれあっていくものでしょう?あ、私今から美玖と理沙と遊び行くから、京谷ー、お母さんに帰るの遅くなるって言っといて」
「えー、ライヌとかで連絡すればいいじゃん」
「嫌だよ面倒くさいもん、じゃあ、生徒会がんばってね~」
「はーい」
「あんま遅くまで遊びすぎるなよ~?」
「わかってるよ、尚樹オカン~」
「産んでないって」
本当に嵐のようだな。上機嫌で微笑ましさ
「尚樹くん」
「はっ、はい」
普段の姿からは考えられない程の怒気を纏った京谷に名前を呼ばれて、思わず真面目な返事をする。
「本当にこのままでいいの?」
「は?な、なにが?」
「ねーちゃんのこと!本当にいいの!?」
いつも穏やかで可愛げのある京谷があまりにつらそうな顔で聞いてくる。
「き、京谷?どうしたんだ?そんなに加奈がデート行くの嫌なのか?」
「っー!尚樹くんの鈍感マッシュ!」
「本当にどうしたんだ京谷!?」
この髪型は京谷がお兄ちゃんっぽいくていい!といったから維持していたのに、まさかそれを罵倒に使うなんて
「もういい、尚樹くんしばらく予定空けといてね」
「え?な、なんで?」
「ねーちゃんたちのデートついていくよ!」
...ん?
「はぁ!?」




