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ヤンデレ死神っ娘はお好きですか?

探偵事務所での試験が終わって翌日。響也と村正は、アパートに帰って二人で住み始めた。村正は、探偵事務所の人たちのと話し合いの結果、響也の「弟」ということになった。村正の刀は登録証ごと持って帰ることとなった。


「……なあ、村正……探偵事務所で話し合ったからもう決まったことだけどさ……」

「ん?どうしたの、響也」


響也と村正は、昼食に素麺を食べていた。


響也が食べ終わり、「ご馳走様でした」と言った後、彼が気になっていたことを村正に聞いた。


「……村正って男なの?」

「……それ、聞いちゃう?」

「いや、その見た目で男の子って……ちょっと現実では見たことないっていうか…でも、『弟』なんでしょ?」

「……そう、僕は男の子だよ。ま、ほんとは呪いだから性別もあるわけなかったんだけど、君の性癖が出ちゃったみたいだね」

「……なんか、私のプライベート全部村正に覗かれた気がするんだけど」

「ごめんね、君にとり憑くまでは意識もなかったもんだから、僕が選べることじゃなかったんだよ……でも、安心して。僕の体が男なのも一概に響也のせいじゃない気がする」

「そうなの?……ならよかったのかな」

「まあでも、この服と髪型に関しちゃ響也の性癖が100出てるわ」

「………まじかよ」

「さて、ご馳走様でしたー…ねえ響也、食器洗ったら手合わせしない?」

「……どこでやるの?」

「 こ こ 」

「だめ」

「えぇぇぇえええ?!?!?!」

「ここアパートだから、壊しちゃダメなんだよ」

「じゃあどこでやればいいの?!」

「まあ、手合わせ自体は賛成だけど……これから先輩たちのために少しでも強くなりたいからね」

「おー….分かってくれるかー、さすが響也!」

「でも、やるってなるといかんせん場所がね……どうしよ………あ!そうだ。じゃあ私の大学くる?」

「大学?」

「私、殺陣サークルやってて活動場所も貰ってるから、そこなら丁度いいかも!……今日、日曜日だし。講義ないし」

「響也………それはアリだ」


そうして、響也たちは大学に向かって歩いていた。


「……ねえ、村正」

「ん?どうした、"お兄ちゃん"」

「『稚児斬り』って子供、なんだったんだろうね」

「あれは亡霊だよ。僕と同じ、童斬村正に憑いた……ね」

「え?そうなの?!」

「そうだよ……あの刀には曰くがあってね……だから妖刀って言われてるんだけど」

「……それは?」

「……昔、とある集落に奇跡の子が生まれた。その子供は不思議な血を持っていて、その血の一滴でも触れた刀は、錆びることがなくなったらしい………その子供は、刀鍛冶が集団で住んでいたその村では神の子のように扱われた…………しかしある時、その子供が死んでいた。子供の周りには血溜まりができ、その中に刀が拵えも無しに置いてあった。その刀はそれ以来『童斬村正』と呼ばれるようになり、錆びるどころか、折れることすら無くなった…」


「……知ってる。小町さんに聞いた」

「ま、これでもぼんやり頭にあったのを頑張ってアウトプットしただけで、全部は思い出せてないんだ……」

「……全部は思い出せないの?」

「うん……ごめんね、お兄ちゃん……思い出したら、あの子供を倒す手掛かりになったかもしれないのに」


「倒すって……確かにあの子供は怖かったけど……別にそこまで」

「亡霊って時点で成仏させた方がいい……多分、パイセンもそう思ってる」

「月切先輩が?……稚児斬りに関する依頼が来てたってこと?」


「多分ね……あの店で小町さんと話した時、稚児斬りの見た目について聞いて来ていた。つまり、稚児斬りの見た目や背格好などを見たことがない、または、それらを聞いた上で確認のために聞いたかのどちらかだと思う。だから、『稚児斬りを探していた』ことは確かだろう。そして、おとといのことから、稚児斬りは凶暴だった。だから、人に危害を加える前に……なんてこともあるかも」


「……よくそこまで推理できたね」

「ただの憶測だよ。呪いの、ね…………ん?ねえお兄ちゃん、ここのおっきな建物は何?」


「お?着いた。とりあえず、この話はまた後にしよっか。ここが私の通ってる大学だよ」


「ここが大学かあー……初めて見た」

「盛り上がってるところ悪いけど、部室行くよ」

「はーい、分かったよ!"お兄ちゃん"」


響也たちは大学に着いて、中に入って行った。

それを、屋上から眺める影が一つ。しかし、そのことを響也たちに知るよしはなかったのであった。


「はあ…響也さんは今日も格好いいなぁ……声も、私に向けていないけれど、愛おしい……」

「………マスター、"人避け"終わりました。今のここには、デズたちと、彼らしかいません」

「ふふふ……ありがとう、『デズ』」


響也たちは、大学の「剣劇研究会」の部室に着いて、その中に入った。


「お、中は思ったより綺麗だね」

「逆にどんなのだと思ったの?」

I(から) am(だは) born(つる) of(ぎで) my(でき)…」

「OK分かった。確かに武器の貯蔵は十分だけど、その言葉は心外だね。それ片付けるどころか所々に剣が刺さってるからね」

「響也の心は硝子じゃないんだね、からかい甲斐があるよ。あと、貯蔵が十分なのは金ピカだろが!!」

「ごめん!村正が詠唱始めるからつい」

「にひっ……また今度、UBW見よっか」

「そうだね………さて、雑談はここまでよ。ほれ、木刀」


そういうと、響也は部室の入り口近くにある傘立てに入れられていた大量の木刀の内2本を取り出し、一本を村正に渡す。それを起点に、二人とも部屋の奥の広いところに歩き、向かい合って木刀を構え合う。


「先に一度当てた方が勝ちね」

「分かった。じゃあ、僕から行くよ、お兄ちゃん!」


そういうと、村正は木刀を上段に構えそのまま振り下ろす。それを響也は、右足を前に出し、左足を肩幅の位置だったのをそこから半分ほど右足に近づけて、木刀を村正の左肩を当てた。


「はい私のかちー」

「んなアホな!」

「へへへ……居合三年やってたやつの実力、舐めんなよ」

「……ちくしょう!もう一回だ」


その後、響也と村正は37回同じことを続けた。その結果はというと、


響也 33ー4 村正


だった。なんでや!


「う…うせやろ…僕、呪いなのに、刀の呪いなのに、4回しか勝てなかった」

「……ま、元気出しなって。私は、初めてこんなことができて楽しかった」

「い…いつか絶対リベンジしてやる」

「楽しみにしてるぜー」

「……というか、こんなに強いのになんで自分のこと弱いみたいに言ってるの?」

「いや、強くは無いよ……相手の攻めてくる位置を予想してるだけ。特に村正は私にとってかなりわかりやすい動きしてくれるから、打ち放題だったよ」


「……4回も負けたのに?」

「まあ、あれは意外だった。まさか途中で太刀筋を変えてくるなんて」

「でもその次は剣の軌道変えてる途中に打ってきたじゃん!」

「そもそも村正は構えが分かりやすすぎるんだよ。左腰に刀を置いたら横切りか袈裟切り上げてくるしか無いし、どっち切ってくるかは柄の向きでわかるし、とにかく経験不足。私みたいな隙を見てしれっと剣当ててくる奴とは相性悪いよ」


「……ぐぬぬ……いつか絶対勝つ!」

「……はは、楽しみにしてるよ!」

「その台詞、強者だけが許されるやつだよ」

「……これくらいしか取り柄無いから許して……」

「響也ってたまーに自己肯定感低くなるよね…」


ふと、カラスの声が部室に響き渡り、もう夕方になってしまったことをようやく理解する。


「もうすっかり夕方だね……」

「いやー…いっぱい動いてお腹減った。お兄ちゃん、帰りにスーパー寄ってこうよ!」

「いいね……村正は何食べたい?」

「冷麦!!」

「………昼間素麺食べたのに?」

「もう、冷麦と素麺はトナカイと鹿くらいの違いあるよ」

「……やっぱりそんなに違いないと思う」

「……そうかなー?」


そう話しながら、木刀を元に戻し部室の扉を開け、外に出て行った。


一方その時、由紀乃は探偵事務所にいた。


「zzz………ん?」


所長用のデスクでうつ伏せになって寝ていた由紀乃は、スマホにメッセージが届いたことに気づく。


「………zzz」


通知を確認した後、すぐにもう一度寝るのであった。


「……なあ、響也」

「ん?どうした」


大学のキャンパスを出たところで、村正が声を掛けてきた。それまで話していなかったわけではなかったが、辺りの静寂が、響也を不安にさせた。


「今日、今までに一度でも学生や教授に会ったことがあったか?」

「あれ?……そう言えば、人っこ一人いなかったね」

「………それとさ、それと関係なかったらいいんだけど…………今、僕たちの後ろに、吐きそうな程の殺気が出てるんだけ………ど!!」

「?!」


村正は、後ろを振り向くと同時に呪いを刀の形にし、殺気の正体からの攻撃を防いだ。


「あ〜らら……残念、もうすぐで、駆除(おそうじ)が終わったのに………あなた、楽には死ねないわよ?」

「これは……鎌?なんだかやたらと大きくて重たいけど、よく持てるね」


村正が言った通り、彼女は大鎌を持っていて、それは刃がついている方からS字に曲がっていて、力が入りやすくなっていた。


「あれ?虚子(うろこ)さん、どうしてこんなところに…」

「響也さん……待っていて下さいね?いま、この邪魔者を消すので」

「邪魔者?……いや、村正はそんなんじゃ」

「ん?響也さんによってたかる"呪い"なんて、悪い奴に決まっています……響也さんみたいな優しい人は、いつも悪い(ゴミ)の餌食になる………だから、こいつは殺す」

「ま…まって、本当にそんなんじゃないんだって!!」


響也の声は彼女に届かず、村正の腹を蹴りよろけさせ、その隙に即座に三連撃を叩き込んだ。


「……ぐぁ?!」

「村正!」


村正は、鎌の攻撃を受けて後ろに倒れた。


「………これで、終わりよ」


彼女は、鎌を振りかぶり、村正に降ろした。


「…やめろー!!」

「………?! はあ!!」


振り下ろされた鎌は、村正が上に飛んで躱された。


「な?!」

「………首、ガラ空きだよ!」


村正は頭から落下しながら、刃のついていない呪いの刀で彼女の首を狙った。


「……昨日響也の記憶で見た技!受けてみよ!ヒノカミカグ……」

「村正?!だめだよ、それは」

「……『デズ』!」


村正が、ちょっと色々とまずい技を使おうとした時、彼女の体から、死神のようなローブを被った男が出てきた。


「しゃようてん……うわ?!」


村正の刀がローブ男が手から生み出した黒い光の鎌を突き出し、村正を吹き飛ばした。


「ありがとう……デズ」

「マスター、この呪いの子供に名乗るべきだと、デズは思います」

「………それもそうね、つい感情が昂って奇襲をしかけてしまったわ………そこの呪い!聞きなさい」

「なんだあ?!」

「私は闇木(やみき) 虚子(うろこ)。祓探偵、『たまかり探偵事務所』の探偵よ!」

「デズは『デズ』。マスターの融質(ゆうしつ)……融けた呪いです」


「え?……虚子さんも祓探偵だったの?!」

「……そうですよ…でも、私が合わなかった間に、まさか響也さんまでなってしまうとは……私の監視体制が甘かったようですね」

「え?監視」

「つい先日、響也さんに竹刀袋をプレゼントしましたよね……今、響也さんが今妖刀を入れているそれです」


響也は、朝大学に来る頃から妖刀を持ってきていた。一応、何かがあった時のために、呪開放ができるようにだ。


「………あ、わかった。盗聴器だか、GPSだか、付けてるんでしょ?」

「どっちも正解です…………でも、ここまで言われたら私が言いたかった」

「あ……ごめん、でも、なんでそんな事を?」

「………忘れちゃったんですか?響也さん……」

「え?た、たぶん………ごめんなさい」

「………入学式の時です…覚えていませんか?」


「え?もしかしてあれのこと?!あの……迷子になってた虚子さんをカッコつけて助けようとしたら、私も一緒に迷子になって遅れて怒られちゃった、あれ?」

「え?響也、そんなこと本当にあったの?………あ、今記憶が流れてきた。あったんだね」


「……私、あれ以来あなたの事を考えると、胸が苦しくなって、こんなゴミみたいな私でも、あなたの力になりたいと思いました。あなたの平穏な暮らしを守りたかったのです………たとえ、あなたがこの事を知って、私のことを嫌っても、それでもいいんです。嫌われるのには、慣れっこ……ですから」

「………虚子さん、私は……」

「全力でドン引きしてるよ、響也は……」

「え?」

「え?」

「………」


響也が、虚子を慰めようと言葉をかけるその瞬間、村正がそんな事を言った。デズ以外の二人は、素っ頓狂な声を出してしまった


「いま、なんて言いました?」

「そんな、邪念みたいな恋情を向けてたら、いやでもわかるよ……そんなもの、流石の響也でもドン引いてるよ!!」

「………やっぱり、響也さんはすごいなあ……私の気づきたくなかったところまで、気づいてくれるなんて……でもね?………それを受け入れられるほど、私は強く無いのよ!!」

「いや、そんなことは……」


虚子は、鎌を担ぐように構えて、足の力と体の捻りを用いて、村正を殺しにかかった。


直後、カアァン!!という、金属と金属のぶつかり合う音が複数回鳴り、全ての虚子の攻撃を、村正は弾いていた。


「……残念、もっと頑張れ」

「ほざけ!」


その後も、虚子が上下左右ブンブンと鎌を振り回している中、村正は飛んだり、弾いたり、攻撃する前に腕を叩いたりして攻撃を防いだ。


「……くっ!」

「……そんなんで、僕を殺せると思ったの?」


「……村正、私と戦っている時はあんなアクロバティックに戦って無かったんだけど……呪いってあんな身体能力あるんだ」

「呪いの強い念が、デズたちの身体能力を底上げしているのです」

「あなたは……デズさんでしたっけ?」

「はい、初めまして」

「……いいんですか?村正と戦わなくて」

「ええ、それがマスターの命令ですから」

「……なんで、虚子さんのことをマスターと…」

「今はそれより、村正さんのことを心配することを推奨します」

「え?」

「マスターの鎌は……デズの本体は、相手の力を奪います。先ほど、村正さんに鎌が3回当たりました……その分、体から呪いが抜けています。早く休ませなければ、いつか消滅してしまいます」

「な?!」

「……融合した呪いは、基本的にどんな傷をあったとしても、空気中に漂う呪いの念を吸収すれば体を元に戻せますが、それよりも早く完全に呪いがゼロになってしまえば消滅してしまいます。……今休ませれば傷を塞ぐ事が出来ますが、このまま戦えば……いつか」

「………ありがとうございます。あの、一つ、聞いてもいいですか?」

「なんでしょう?」

「………どうして、私にここまで良くしてくれるのですか?」

「それは、マスターが、ほんとはいい子だからです」

「?!………わかりました」


そんな話をしてから、響也はかすかに自信から微笑んで、隙を見て戦っている最中の村正と虚子の真ん中に立った。


「………響也、危ないよ、どいて」

「響也さんどいて、そいつ殺せない」


響也が間に入ると、二人は手を止めてそう言った。


「………虚子さん。入学式の次の日、あなたがその服で来たのを見た時、私もこんなふうに、自分を表現してもいいんだって、自信を貰いました………周りの目を気にしすぎず、自分のやりたい事をやる……その行動力に、僕は憧れました……だから、ドン引いては、いません。むしろ、そこまで私のことを好いてくれていることに、申し訳なさと感謝を感じています………村正も、私の経験や性格を反映しているので信用出来ます……だから、争うのはやめてください。どっちも私のためにしているのに、どちらか……最悪どちらも傷つくのは、あんまりです。どうか、やめてください」


「………響也」

「響也さん……」


「……その格好で大学いってるの?」

「……悪い?」

「そりゃあ……ね?勉強する気あんの?って思うでしょ、普通」

「おっしゃる通りです!!」


村正は、先ほどの緊張感をどこかへと捨て、響也と仲良く会話しながら、傷を塞ぐことに集中した。


「……じゃあ、響也さんは………その、私の事が……好き、ですか?」

「………まだ、わからないです。だって、虚子さんの事、良く知らないから………だから、これから友達として、一緒に互いを知っていきましょう……いや、知っていこう?」

「………うん、響也くん!」


「これで一件落着ですね」

「………君みたいなやつのことを、後方腕組み勢って言うんだろうね」

「失礼ですね。ま、マスターに幸せになって欲しいとは思っていますがね…………傷は大丈夫ですか、村正さん」

「……けっ、ほんと、この女いい性格してるな」


村正が、デズのフードをとると、響也そっくりの顔が出てきた。


「おや……いつから気づいたのですか?」

「この女に会ってから、ずっと響也と似たような魂の形があったからね……よほど、響也に執着してたんだね」

「…それはそうなんですが………すみません、さっきからマスターのことを女と言っていますが………マスターは………」

「………は?」


「……ねえ、響也くん」

「ん?何、虚子……さん?ちゃん?……どっちがいい?」

「じゃあちゃんで!……って、そうじゃなくて!………私、実は、心は女の子だけど……体は、男の子なの………それでも、引いたりしない?……友達も、やっぱり辞めたりしない?」

「………え?」


「………やっぱり、気持ち悪いよね……ごめん…なさい」

「……へえ、本当にいたんだ…ごめん、失礼を承知で……言うね…………ここにあったんだね!私の望む世界が!!」


「え?」

「私、虚子ちゃんみたいな漫画でしかない……いや、漫画でもあんまり見ないような人見るの初めてなんだ!!すごく、嬉しい!良く生まれてきてくれた!!私のために!………」

「いや……私は、響也くんのために生まれてきたんじゃ…」

「い〜や、私のために生まれてきたね……男の子で?女の子の服が似合って?優しくて?しかも私の事が好きときた!私の性癖ドストライクだよコンチクショー……大学生だったから結婚できないけど……結婚できるなら今すぐしたい!ずっといて!もう一緒に住もう!」


「い、いや……でも、私、男の子だから……結婚できない……」


「性別がなんだ?法律がそんなに大事と申すか!私たちが自由に生きるための法律に縛られてどうする?!別に、結婚しなかったら……同棲しちゃだめなのか?生涯を添い遂げちゃいけないのか?否!断じて否である!!私の事が好きだと言うなら、今から私と一緒に住もう!私の家がアパートでぼろくて嫌というなら、虚子ちゃんの家に住ませてくださいお願いしまぁぁぁあす!!!」


「ええ……で、デズ助けて」

「………ぐっ(親指をたてる)」

「デズ?!?!謀ったなぁ?!」

「僕の入れ知恵です……こう言う時は、親指を立てて祝福するって」

「……そんな常識、あるわけないでしょー!!!!」


結局、三人とも、虚子の拳骨という名の制裁をくらい、響也は(刀と男の娘を見つけた時に発動する)性癖暴走モードが終了した。


三人を横一列に並べて、虚子は一人ずつ話しかけていった。


「………はあ、はあ」

「いてて……暴力反対…」

「暴力の化身である呪いがそれ言う?」

「僕は平和主義だよ!」

「うるさい!知るかー」


村正にグーを食らわせて、デズの前に立った。


「………ごめん、マスター……でも、少し嬉しそうです。何故ですか?」

「ニヤニヤしながらそんなこと聞かない!」

「すみませんでした……でも、幸せなら……OKです!」

「良くなぁい!!!」

「うぉぁぁあ?!?!」


次はチョキで頭をちょっと強く刺した。


「………ごめんなさい、虚子さん」

「……どうしたんですか、急にしおれて」

「…つい、興奮して性癖の赴くまま動く怪物になってしまい、虚子さんをドン引かさてしまいました……気持ち悪く感じたでしょう、どうか、縁を切ることだけは、やめてください……お願いします」

「……響也"くん"顔、あげて?」

「……なんでしょう」


響也が顔を上げると、パン!と言う音と共に、響也の頬に赤い跡が残った。


「いぃったあ?!」

「変態!………ふう、これでお終い。じゃ、響也くん、一緒に帰ろ?」

「………え、いいの?」

「………まあ、邪な気持ちだったけど、それでも、私の事、魅力があるって言ってくれたのは、本心だっていやでもわかるし……それに、私はあなたの事が好きなの。そんな事で好きな気持ちがなくなると思ったら、とんだ大間違いだよ………」

「………虚子ちゃぁぁぁああん!!!」

「うわっ…もう、急に抱き付かないでよ……ドキッとしちゃうから」

「あ、ご、ごめん………で、どこに帰るの?」

「アパート、いってもいい?」

「もちろん……いいよね、村正?」

「………まあ、響也がいいなら…」

「デズももちろん、ついていきます」

「………ああ、人生って最高だね、生きてて良かった」

「お、大袈裟だよ…」


そんなこんなで、響也たちはアパートに帰っていった。


一方、つきぎり探偵事務所では


「………zzz」

「邪魔するねー……ゆっきー、来ーたよ!」

「……んあ、モモ?なんか用?」

「……メッセージ、送ったよね?軽く事情も書いたんだけど……」

「あ、見てない……」

「はあ……いい加減、家に帰って寝たらどう?」

「……ここがマイホームだし…」

「……本当、うちに来たらいいのに…」

「いや、それじゃ、別れた意味がないでしょ?」

「………まあ、いいや。それじゃ、親切なモモちゃんが教えてあげよう!」

「モモチャンカワイイヤッター」

「お、おだてたって、何も出ないんだからな?」

「はいはい……それで?」

「いやー…ゆっきーの所の(ふし)三姉妹に助けて欲しいって言われちゃったのよー…それで、鹿児島の方に行くから……その間、うちの事務所閉めようと思ってるから、うちの子達、しばらく預かってくんない?」

「いいよ……まったく、あの姉妹はほんと私の事頼らないね」

「ま、こればっかは仕方ないって……『巫喰(かんなぎぐ)らい』とゆっきーじゃ、何もかも相性悪いから……それじゃ、頼んだねー……」


そう言って、モモと呼ばれた黒い和服の女性は出ていった。


「巫喰らい……か、全く、この世の中には物騒なのが多くてやだわ……」


由紀乃は、響也たちにメッセージを送り、やっぱり寝るのだった。

〜人物紹介〜

闇木(やみき) 虚子(うろこ)……19歳。大学入学当日、響也と一緒に迷子になって教授の一人に怒られてから、響也のことを病的に好いてしまった。家庭の事情で精神が不安定になることがあるが、そこを除けばいい子である。


『たまかり探偵事務所』という、探偵事務所(祓探偵)に所属している。


使用する武器はオーソドックス(?)な大鎌である。


 服は黒いゴスロリで、ツインテールと頭の黒いカチューシャがチャームポイントらしい。

性自認は女性だが、性別は男である。

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