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転生先が農村でしたが、何だかんだで幸せです

転生したら農村でしたが、何だかんだで幸せです〜恋愛編〜

作者: OniOni
掲載日:2025/06/14

「リュートさん、今夜、少しお時間いただけますか?」


 夕方の畑。ミーナが、少しだけうつむきながら言った。


「もちろん。……どうした?」


「……ちょっと、大事な話があって」


 その言葉に、俺の心臓がドクンと跳ねた。


 今までミーナとは、なんとなく近くて、なんとなく一緒にいて。でも――「大事な話」なんて、初めて聞く。


『ついに来たな……!』


 トマトが全力でざわついていた。お前ら静かにしてくれ。



 その夜。


 村の丘の上。俺とミーナは、満天の星空の下にいた。


「……わたし、もうすぐ二十歳なんです」


「うん、知ってるよ。ミーナの誕生日、来週だよな」


「はい。だから……えっと」


 彼女は胸元から、小さな紙を取り出した。


「さっき、王都から届いたんです。見合い話の候補が、十人も」


「……は?」


 血の気が引いた。


「父の知り合いが、昔の商家との縁談を持ってきて……でも、わたし、断りたいんです」


 ミーナの目が、まっすぐ俺を見ていた。


「――リュートさん、わたし、ここにいたい。あなたの隣に」



 答えなんて、決まってる。


「俺も、ミーナといたいよ」


 でも、それだけじゃ足りない気がした。


 この世界に来てから、ずっと畑に生きてきた。

 だけど、彼女の手を取るには……もう一歩、前に進まなきゃいけない。


「待っててくれ。俺、ちゃんと……用意するから」


「……はい」


 星空の下、俺たちは言葉以上のものを交わした。

 そして俺は、ある“指輪”を作るために動き出した。



 翌日から、俺は農作業の合間に“材料探し”を始めた。


『お、ついに告白か?』


『いーねいーね! 愛は水よりも必要よ!』


『まずは土台は鉄? 木? 貝? 宝石いる?』


 野菜たちがうるさい。いや、ありがたいけど。


 俺は森で拾った“月鉄鉱”という小さな鉱石と、畑の端で見つけた“銀葉花”の種を使って、自分なりの指輪を作った。


 銀葉花は、夜にだけ白く光る、不思議な花。


『彼女、絶対喜ぶぞ。根拠? ワシら野菜の直感』


 ……信用していいのか? いや、今回は信じる。



 一週間後。ミーナの誕生日の夜。

 あの丘で、ふたり、再び並んでいた。


「これ……俺が作った、指輪だ」


「えっ……手作り、ですか?」


「不格好かもしれないけど、気持ちは込めた。

 ミーナ、これからも、ずっとそばにいてほしい」


「……リュートさん」


 ミーナの目に、星よりも強い光が宿った。


「はい。わたしでよければ、ずっと一緒に……畑、手伝わせてください」


 指輪をはめたミーナの指は、少しだけ震えていた。


『おおお〜〜!!』


『キターーー!』


『愛の芽が出た〜〜〜〜〜!』


 遠くの畑で、野菜たちが勝手に盛り上がっていた。

 そして、カボチャが小声で言った。


『……で、式はいつだ?』


「まだだよ!!」



 翌朝。


 指輪をはめたミーナは、なんだか少し照れていた。


「この指輪……夜になると、光るんですね」


「銀葉花っていう花を混ぜたんだ。お前みたいに、夜でも優しく光るから」


「……リュートさん、それ、ずるいです」


「そうか?」


「はい。好きになっちゃいます」


 もう好きだろ、と思いながらも、俺は言わなかった。


 代わりに、彼女の手をそっと取った。


 畑の緑も、野菜たちの声も、風の音も――


 全部が、「おめでとう」と言ってくれてる気がした。


次もミーナとのお話にしようと思います!明日収穫予定!

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― 新着の感想 ―
内容はいいんだけど 行ったり来たりが面倒くさかったです 今後も面白そうな作品なんだけど、次作以降は見ないと思います(見るのに疲れるので)
現時点での短編5本、一気に読みましたが、短編をシリーズ化するより、連載で1つに纏めた方が読みやすいと思いますけどね……
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