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蛇足的ないわゆるざまぁパート②

「間違いなく倒した!」

と言う王太子たちの言葉は、半年近くを経ても瘴気も魔物無くならない今、説得力は地に落ちていた。

 むしろ、都合の悪い事実を水鏡の術で暴かれることを恐れているのではないか、と捉える者も少なくなかった。結局、身の潔白を証明するためにも、と、押し切られ術の展開は避けられなくなった。

 民衆たちも事実を知りたい、過去を見せろと主張し始め到底抑えきれるものではないと国王が判断した結果、代表者の同席が認められた。


 日程が整えられ、民衆たちの代表者も決定し、術の展開に必要なものが全て揃えられた。大聖堂の広間は不要なものが全て取り払われた後、王侯貴族の席、聖職者たちの席、民衆の代表者の席が円形に設えられ、その中央に水鏡の術のための場が設けられている。

 聖別されたと云う清らかな水がなみなみと張られた銀製の大きな脚付き杯の周囲に、13名の魔導士が並ぶ。得も言われぬ緊張感が漂うなか、水鏡の術が展開された。


 杯の中の水が揺らめき波打ち、そうして球体のように盛り上がる。杯の中の水が全て宙に浮きあがると大きな水晶玉のようになっていた。ゆらゆらと光を反射していた水球が、やがて。


 光の反射が無くなり、もやもやと中心から何かが浮かび上がってくる。その場の全員が固唾を飲んで見守る中、水球はまるで鏡のように映像を映し始めた。鏡と違うのは、今この場に在るものを映しているのではない事、だろうか。

 魔王の城の全貌が映り、城門前に待機する兵士たちを横切り、王座の間へと視点が移動していく。王座の前には魔王と聖女が並び、彼らに相対するように勇者御一行が居るのを認めたところで、音声を再生し始めた。

 勇者―… 王太子の罵声が響いた。一部の者は眉を顰めるが、ほとんどの者は魔王に対しての言葉故か特に問題視する様子もなかった。

そうして――…

『いい加減にしろ! セイラ!!』

王太子が聖女の名を呼んだ。

 そう、あの瞬間だ。過去を映す術であるが故、当然ありのままを再現する。


 ニィ、と、魔王と聖女は口を歪めた。刹那。

魔王と聖女の体が一瞬にして水と成り、崩れ落ちた。水が叩き落ちる音と共に。


「…は?」

勇者たちはただ、呆然と立ち尽くすしかなかった。魔王も聖女もいなくなった。


一瞬の静寂の後にどよめきが広がる。何があったのか。王太子が聖女の名を呼んだと同時に、魔王と聖女が水と成って崩れ落ちた。確かに王太子の言う通り魔王を倒したのだろう、が。激戦だったのではないのか? 王太子を庇って聖女が倒れたのではなかったのか?

否、そもそも、あれで魔王は倒れたのか?


「いったん、術の展開を止めよ。」

国王がそう命じた。

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