9. 磯谷 周吾
「あれ?ミツル??」
自分を呼ぶ声がして、大神満は辺りを見回した。
声の主が近づいてくると、大神満はホッとした表情になった。
「シューゴ!!」
「ここがどこかわからなくて困ってたんだ。」
「こちら草野さん。
実は僕たちもここが何処だかわからなくて、協力して森の出口を探しているんだ。」
「磯谷周吾です。」
「草野克則です。君も気づいたらこの森にいたのかい?」
「…はい。学校の教室から出ようとしたとき、急に目の前が真っ暗になって…。
気づいたらここにいました…。」
「え?周吾も?」
「”も”ってことは、ミツルも?」
「うん。」
「俺もだ。」
(どうやら、みんな暗闇に引きずり込まれたみたいだ…。もしかしたら、田中が言ってた扉を開けちまったのかもしれない。)
「大神くんと磯谷くんは知り合いみたいだけど、どういう関係なんだい?」
「僕と周吾は幼馴染で、小さい頃からよく一緒に遊んでました。
最近もたまに会っては学校の話をしたり、ゲームの話をしたり。」
「だから、2人はすごく仲がいいんだな。
ちなみに、どんなゲームをやってるんだい?最近、うちの息子もゲームにハマっててね…。」
「最近はジンローっていうネットゲームにハマってます。」
「人狼!?」
「はい。人間の姿に化けた嘘つきオオカミを見つけ出すゲームです。」
人気のある場所を探し歩く間の他愛もない会話のつもりだった。
この2人もある意味、身近に狼の話題をしていたのかもしれない…。
気付けば3人は森の中にある村にたどり着いていた。




