7. 狼村の扉
またケータイが鳴っている。
ケータイのディスプレイには”大神千秋”と表示されていた。
もう10分で15回程かかってきている。
一人暮らしをしている大神満への連絡手段はケータイしかないのだ。
母さんからの電話なんて取る気分じゃねーんだよな…。
ため息を尽きながらも尋常じゃない着信履歴が気になり、大神満は電話を取った。
「満!おじいちゃんが急に倒れたの…。今から戻って来れる?」
「え?」
胸騒ぎがした。
「さっき救急車で運ばれたって連絡があって、緊急手術中なの。」
電話の向こうの声は今にも泣き出しそうだった。
「ちょっと、母さん、落ち着けって。」
「あんた、おじいちゃんっ子だったから…。」
「すぐ行く!どこの病院?」
「山ノ中総合病院。県道沿いにある大きな病院。わかる?」
「わかる!すぐ行く!」
大神満は財布とケータイを握り締めると、すぐに実家に向かった…
はずだったが、家のドアをあけた途端、暗闇の中に引きずり込まれた。
15〜16回目ではなく、数回目の着信を取っていれば、もしかしたら運命は変わったかもしれない。
しかし、扉は開いてしまったのだ。
…大神満は誘われた。狼村に。




