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ウルフ  作者: やなぎの裕流莉
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6. 事件の状況

会議は続いていた。


「ご遺体の様子を我々に教えてもらえることは可能でしょうか?」

口を開いたのは、山梨動物病院の万永琢朗だ。

佐々木元信はしばらく考えた後、頷いた。

「まず、3人の死因ですが、全員首元を噛まれていました。3人とも頸動脈損傷による失血死です。

毛の色は青みがかった黒でした。」

「変ですね。狼の毛の色は灰褐色が主で白から黒までありますが、青みがかった色というのは聞いたことがないですね…。」

日本オオカミ研究所の佐伯尚典が首を傾げながら、すかさずツッコミを入れる。

普段は明るく陽気な東京都(ひがし きょうと)大学の神阪甲太郎教授も恐る恐る口を開いた。

「頸動脈損傷が原因だとわかる言うことは、噛まれた範囲は少ないんですか?」

「ええ。その通りです。首元のみ食いちぎられていました。」

「…それは変やな。

狼は通常、何日間も食べれへんことが多い。せやから、一度に大量の肉を食べることが可能です。

噛まれた範囲が少ない言うことは、飼育されている狼の可能性が高いんちゃいますか?

各動物園には連絡してありますか?」

「そもそも本当に狼なんですか?」

疑いの眼差しを向けるのは久慈進次郎だ。

「はい。DNA鑑定の結果、狼である可能性が極めて高い。

ですが、狼が逃げ出した動物園はどこにも…。

それに、関東2件も大阪も全て同じ狼がやったものと結果が出ています。」


―ガチャ

突然、ドアが開いた。

「会議中失礼します。」

警察手帳を提示しながらミーティングルームに男が2人入ってくると同時に、佐々木元信は頭を抱えた。


「私、警視庁捜査一課の山崎と申します。」

「同じく沖田です。」

細身でスラっとした男が凛とした声で言い、その隣の少し小柄な男が軽くお辞儀をした。


「かみさ…」

「私たちにも話を聞かせてください。」

開口一番、神阪甲太郎に事情聴取をしようとする沖田鉄平巡査を山崎信一巡査部長が制止した。

「皆様、すみません。続けましょう。」

佐々木元信は困った顔を見せながら、続きを促した。

…”かみさ”と言っていたが、2人は自分の事情聴取に来たのだろうか…?

佐々木元信の困った顔も案外ワザとかもしれないな、と神阪甲太郎は思った。


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