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ウルフ  作者: やなぎの裕流莉
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53. 処刑投票(7日目)

「そろそろ時間だ。各自、投票してくれ。」

当然、田原葉月は天童真理夫に、天童真理夫は田原葉月に投票した。

そして、草野克則が投票したのは、、、






田原葉月だった。




「何でわたしなんですか?草野さん!」

「正直確証はない。どちらが人狼なのか、全くわからなかった。

 理由は、君たちがもし人狼だったら誰を狙うか、の答えに引っかかってたからだ。」

「どういうことですか?」

「田原さんは神阪先生のとき以外、全て人狼とは違う人を狙うと。更に、あのとき田原さんが占われないと仮定した場合は、全ての日において人狼と違う人を狙うと言った。」

「え?」

「一方、天童くんは、人狼の狙い方にある程度同意していたし、人狼と同じ人を狙うと言ったときも多かった。」

「よくわからないんですけど。」

田原葉月の顔が曇る。

「君は心理的に人狼が狙った人を避けたんじゃないか?なぜならば、君が人狼だから。全ての日において、実際の被害者と違う人を狙う、というのは余りにも不自然すぎる。」

「それは、人狼と思われたくないって言う気持ちが強くてそうなってしまっただけです!」



「もう一点、気になったことがある。

 それは、1日目の振り返りの時に、周りの人の様子を覚えているかと尋ねたときの、名前を出した順番だ。」

「順番…ですか?」

「そう。順番だ。君は、人狼の存在の反論材料を探していたのは、『金田くん、沖田、真目さん、山崎』と言った。山崎と沖田は警察組織の人間。山崎と沖田は並んで名前が出てくるのが普通だ。」

「確かにそうだべ。」

「そんな順番で言いましたっけ?」

「ああ。言った。その時に違和感を持ったのを覚えている。

 君は人狼仲間である山崎との関係を知られたくないと言う意識がどこかにあった。それで、山崎の名前を一番最後に出したんじゃないか?」

「田原さん。君、何で昨日の夜、大神くんを襲ったんだい?」

「わたしが満くんを襲う訳……。」

田原葉月は膝から崩れ落ちた。


時刻は12:00を指していた。

「満くん…」

田原葉月は無念そうに恋人の名前を呼びながらバッタリと倒れた。




その夜、草野克則は夢を見た。

後味が悪い夢だった。


ある一匹の狼が人間に化けて、ある少年を呼び止めて話をしていた。

「わたしが満くんに会ったのは、15年くらい前だよ。

 ほら、覚えてる?小学校の帰り道に捨てられてる子犬がいたでしょ?

 毛の色は青みがかった黒。そう。

 実はそれがわたし。満くんたちが犬だと思ってたのは、実は狼だったのよ。

 満くんと周吾くん、有姫ちゃんとは、よく遊んだね。


 人狼ってね、すごく煙たがられるのよ。人間にも。狼にも。

 人間には恐れられるし、狼からは差別を受ける。

 人間は人狼のことを、人間として扱っていいか、狼として扱っていいか困ってる。突然狼になったら、すごく怖がるし、そもそも、狼自体が怖い存在なのよ。

 人狼は本来、人間に危害を加えたりしないのに…。


 狼からは毛の色が違うとか、人間と仲良くしてるとか、そんな理由で白い目で見られて、いつも仲間外れ。

 わたしね、違う大陸にいたんだ。寒いところにいた。だから、小さい頃は周りに狼が沢山いたのよ。

 でも、ある日、狼の集団に騙されて、船に捕まった。それで、狼が全くいない日本にやって来たんだ。


 誰も知り合いがいない中、人間でも狼でもないわたしにかまってくれたのが、満くんたちだった。


 小学生の頃、満くん、引っ越しちゃったよね?

 わたし、すごく悲しくて。

 大きくなって再開した時は、驚いたな。

 満くんは小さい頃と変わらず、優しくて。そんな満くんと過ごしていて、人間になりたいって思った。

 人間になって、満くんと一緒の時間を過ごしたいって。


 そんなとき、ある話がわたしのところに来たの。

 この狼村で生き残った人狼は人間になれるんだって。

 …それで、この村に来ることに決めたの。


 でも、いざこの村に来てみると、満くんがいた。絶望したよ。」


いつの間にか狼は綺麗な女性の姿に変わっていた。その姿は、田原葉月そのものだった。少年も大きくなり、大神満になっていた。

大神満は田原葉月の肩に手を置いた。


「ごめんなさい…。

 わたし…わたし…満くんのこと…。

 満くんに疑われるのが怖くって…。

 満くん、わたしが人狼だって途中から気づいてなかった?」


大神満は首を横に振った。

大神満が何かを言いかけたとき、草野克則は夢から目覚めた。

何だったんだろう?あの夢は。

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