49. 3日目の振り返り
3日目:
・犠牲者:なし
・処刑:金田一
・占い:磯谷有姫(人間)
処刑投票:
・田原葉月 → 天童真理夫
・天童真理夫 → 山崎信一
・山崎信一 → 金田一
・(龍造寺猛虎 → 金田一)
占い先希望投票:
・田原葉月 → 山崎信一
・天童真理夫 → 磯谷有姫
・山崎信一 → 磯谷有姫
・(龍造寺猛虎 → 磯谷有姫)
草野克則は必死に人狼の正体を暴くために、田原葉月と天童真理夫に話をさせていた。
気づけば10:30を回っていた。全てが終わるまであと1時間30分。
相変わらず、緊迫した空気が漂っていた。
「3日目。この日は犠牲者が出なかった。人狼は誰を狙ったんだろうか?」
「ただの予想ですけど、周吾くんか神阪先生が狙われたのを狩人が守ったんじゃないでしょうか。」
「なるほど。田原さんはあくまでも人狼が占い師を狙うと思ってるようだな。」
「はい。わたしが人狼だったら占い師が一番怖いです。」
「間違いなく犬飼さんを狙ったと思いますよ。犬飼さんは占い師カミングアウトの発案者。妖狐が誰かを知るために狙ったんじゃないっすかね?
オイラが人狼でも、犬飼さんをマークはしますね。犬飼さんを狙うかどうかは別として。」
ほう、と言いながら、草野克則は目を細くして天童真理夫を見た。
「じゃあ、天童くんならこの日誰を狙う?」
「あの時点で人間とわかっていたのは、草野さん、磯谷くん、神阪先生。あとは、あの日占った金田くん…。狩人に守られている可能性があるのは、草野さん、磯谷くん、神阪先生だから、おれなら金田くんを狙いますね。」
「金田か…。」
「ただ、人狼の狙いは何となく的を得ていると思います。実際、犬飼さんを妖狐だと特定できて、後日占い対象にできている訳ですから。」
実際に誰を狙ったのか。2人が言うことは最もだ。どちらが人狼なのか全くわからない。草野克則は内心、頭を抱えていた。
「この日、天童くんは処刑投票で、みんなが金田くんに投票する中、山崎に投票している。」
「はい。怪しいな、と思ったので。」
「このときは、金田くん8票に対して、山崎には天童くんが投票した1票。ここもやはり、天童くんが、人狼の容疑を免れるために山崎に投票した事実を作ったとも考えられる。」
「処刑裁判で投票するのと、占い希望で投票するのは、違うと思いますけど。」
「いや、この時点では占い師が生きていた。そう言う意味では処刑投票も占い投票も同じだ。それに、これだけ処刑された人との差が歴然としていれば、フェイクの可能性はある。」
「オイラのも2日目の山崎さんの田原さんへの投票も、参考にならないってことすかね…。両方ともフェイクの可能性があるから。」
「その通りだな。」
草野克則も天童真理夫も残念そうな顔をした。
相変わらず俯いたままの田原葉月が天童真理夫に質問する。
「何で天童さんは山崎さんに投票したんですか?あの日は周吾くんの占い結果で金田さんは人狼と公表しましたよね?」
「あの時、何度も指摘したけど、人狼が残り金田くん1人で、妖狐が生きてる可能性が強かったからさ。」
「何で他の人ではなく山崎さんだったんですか?フェイクを入れるために、山崎さんに投票したとしか思えない。」
「あの日の議論をよく思い出して欲しい。
覚えてるかな?人狼という判定が出た金田くんに投票するかどうかで、議論が分かれていた。
人狼という占い結果が出てるのに、みすみす見逃すのは気持ち悪い、という龍造寺さんにオイラが反対していた。」
「ええ。覚えてます。」
「オイラはワザと2回龍造寺さんに反論したけど、2回とも山崎さんは龍造寺さんに直ぐに便乗した。便乗するのは分からなくもない。
でも、山崎さんの便乗するタイミングは気になる程早かった。しかも2回とも。不自然だべ?だから、オイラは山崎さんに投票した。」
「便乗ではなく、意見に一貫性がある、という見方もできると思います。」
「まぁ、そうかもしれないけど…。
上手く説明出来ないんだけど、なーんか不自然に見えたんだよねー。
こういうことを言うと信憑性に欠けるけど。まぁ直感だね。」
「そもそも、天童さんはあの時点で妖狐が生きているという情報を確実に持ってたんじゃないですか?」
田原葉月が天童真理夫を更に責め立てる。
「この日、妖狐を襲って妖狐の正体を確実に知っている人狼だから、妖狐が生きている前提で話を進めてしまったんじゃないんですか?」
「いや、それは言い過ぎだべ。」
天童真理夫は疑いを直ぐに否定した。
「人狼は妖狐を殺せない。
妖狐がその場にいないとしたら、既に処刑裁判にかけている、ということになる。
真目さんも万永先生も、妖狐の可能性は低いと考えていたから。
人数比的にも、妖狐が生き残ってる可能性の方が高いべ?」
「真目さんは妖狐の疑いで処刑裁判にかけられました。妖狐がいない可能性だってありましたよね?」
「可能性の話だったら、妖狐がいる可能性だってあった。要は何を心配するかの違いであって、オイラは、妖狐が残っていて、人狼を全員退治した場合を心配してただけ。龍造寺さんやみんなは、人狼の容疑者が次の日に生き残ることを心配しただけ。そんだけの違いだべ。」
田原葉月の鋭い指摘にも、天童真理夫は飄々と受け答えしている。
焦りをまったく見せない、と言うことは、本質をつけていないのか…。それとも、そもそも人狼ではないのか。
どちらが人狼なのか、未だ全く見えてこない。
「田原さんはどうなの?あの日、オイラに投票したべ?」
「正直なところ、バイトの先輩の金田さんには投票できませんでした…。」
田原葉月は俯いたままだった。申し訳なさそうな声だが、表情を確認することはできなかった。
「ただ、天童さんは、金田さんへの投票に反対していたので、あの時はもう1人の人狼が金田さんを庇っているように見えました。」
「なるほど。」
天童真理夫は少し考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。
「まぁ、そう見えなくもないか。あのとき、オイラに票が集まってた可能性もあるな。。。」
特に田原葉月への反論はないらしい。
草野克則は3日目の占い希望投票に議題を移した。
「この日は有姫さんが占われることになった。殆どが有姫さんに投票する中、田原さんはなぜ山崎に投票したんだ?」
「正直なところ、有姫ちゃんに投票したくない、と言うのが第一でした。
それと、警察の人は人狼じゃないことを早く確定したい、と言う考えがわたしの中にありました。」
「怪しかったから、という訳でもないと?」
「はい。そうです。」
最もらしい理由だ。嘘は付いていないな。
そう思いながら、草野克則は時間を確認した。10:50。運命の投票まで、およそ1時間と迫っていた。




