44. 処刑投票(6日目)
「だったら、龍造寺さんが怪しいべ。」
「は?何でそぎゃんなるとね?」
「だって、山崎さんを最初に疑ったのは龍造寺さんだべ?そして、霊能力の結果、山崎さんを人狼と言ったのも龍造寺さん。どう考えても龍造寺さんが怪しいっしょ?」
「いや、天童くんこそ怪しかばい。
おいたちの命題は、これ以上の人狼による被害ば食い止めることばい?
霊能力者と申し出とる人間ば処刑するて、あんた人狼側の発想だろうもん?」
「いやいやいやいや。だって龍造寺さんは霊能力者と確定してる訳じゃないべ?自分で名乗り出ただけ。そんな龍造寺さんが山崎さんに疑いをかけて、山崎さんが人狼だったと言っても信憑性に欠けるべ。
本当は山崎さんが人間で龍造寺さんが人狼だって可能性もある。充分怪しいべ。」
「待ってはいよ。そぎゃんこつはなか。よく考えてはいよ。霊能力者ば処刑するって、あんた、人間側の情報源ば失うとばい?」
「それだって、追い込まれたとき用のセリフとして準備していたものだべ?この人数になって、能力者カミングアウトをしている人を処刑対象から外していたら、それこそ人狼の思う壺だべ。」
「…確かに。申し訳ないですけど、わたしは、霊能力者の龍造寺さんと、非能力者の天童さんのどちらかを処刑しないといけなくなったら、非能力者の天童さんを選ぶべきと思ってました。でも、天童さんが言う通りかもしれないですね。」
田原葉月は天童真理夫の言葉に納得した。
「確か、2日目に天童さんは自分を占い先に希望してましたよね?やっぱり人狼の可能性は低いんじゃないでしょうか?」
大神満が天童真理夫を援護する。
「じゃあ、大神くんか田原さんが人狼じゃなかとね?」
「葉月も昨日占い対象として立候補しています!そして実際に占われた。」
「じゃあ大神くんは?怪しくなかね?」
「満くんは、わたしが人狼カミングアウトしたときに便乗しなかった!明らかに人間です!!」
はぁ、とため息をつき、龍造寺猛虎は自分の額に手を置いた。
「そぎゃんね。あんたたちが言うごつ、客観視したらおいが一番怪しかかもしれんね…。」
龍造寺猛虎は寂しそうに呟いた。
そして、開き直ったように明るく宣言した。
「じゃあ、よかよ。おいに投票しなっせ。」
「え?」
「だって、それが人狼を退治するのに一番的を得た選択だけんね。
確かに、死にたくはなかばってん、人狼を退治するのがもっと大事ばい。
あんたたちが理論的に考えて、人狼の可能性が高い人ば処刑していくのは正しい。人類にとっても。」
意外なことを言う龍造寺猛虎を見て、全員が静まり返った。
「客観的に見て、おいが人狼だった場合、山﨑さんは人間確定たい。
そしたら、この中に人狼が2人残っとる可能性も出てくる。
その可能性を考えると、おいば処刑するのが一番よかたい。山崎さんかおいか、どっちかが人狼だけん、確実に1匹しとめられるたい。」
全員がポカンとする中、龍造寺猛虎は更に持論を展開する。
「まぁ、仕方んなか。おいも罪のなか人に投票したけん。
信じてもらえるかわからんばってん、おいは人狼じゃなかけん、明日は来るばい。
明日まだあんたたちがこの村におったら、龍造寺は霊能力者だったと思ってはいよ。
そしたら山崎さんは本当に人狼だし、この残った人の中に1人だけ人狼がおるっちゅうこつばい。」
「龍造寺さん?いいんですか?投票しても。」
「よかて言いよるたい。もしかしたら、おいば殺さんかったのもおいに疑いばかけるのが狙いだったかもしれんばい。」
龍造寺猛虎は更に続けた。
「今夜は多分草野さんが狙われるばい。
明日はほぼ大神くん、田原さん、天童くんの3人が残るけん。
大神くんは、田原さんを疑わんし、田原さんは大神くんを疑わん。
このままいくと明日は天童くんが処刑されることになるばい。
ばってん、2人のうちのどっちかが人狼だったときが怖かね…。」
「何が言いたいんですか?」
「いや、天童くんが人狼だったらよかばってん、大神くんか田原さんが人狼の場合は人狼の勝ちになるばい。
2人とも、大事な人を疑うのはきつかばってん、明日はしっかり投票してはいよ。」
そう言うと、まだ30分あるにも関わらず、龍造寺猛虎は自分自身に投票してしまった。
あまりにもあっさりした龍造寺猛虎の態度に、一同困惑している。
それを嘲笑うかのように、龍造寺猛虎は全員に言った。
「最期に写真ば撮らせてくれんね?風景ばっかり撮ってきたばってん、やっぱり人ば撮りたか。」
全員が投票した後、龍造寺猛虎は真剣な眼差しで写真を撮り続けた。
12:00きっかりに龍造寺猛虎は倒れた。
ただ、その顔は満足感で満ち溢れていた。
【6日目】各自の処刑投票結果:
龍造寺猛虎:5票
天童真理夫 → 龍造寺猛虎
大神満 → 龍造寺猛虎
田原葉月 → 龍造寺猛虎
草野克則 → 龍造寺猛虎
龍造寺猛虎 → 龍造寺猛虎




