43. 人狼カミングアウト?
9時。全員が広場に集まった。
大神満。田原葉月。草野克則。龍造寺猛虎。天童真理夫。
この村にいるのはたった5人になってしまった。
「では、処刑裁判を始める。まず、龍造寺さん。山崎の結果を教えてくれて。」
「はい。山崎さんは人狼だったですばい。」
「そうか…。」
やっぱりアイツだったのか、と草野克則はボヤいた後、状況を整理した。
草野克則:人間(共有者)
龍造寺猛虎:人間(霊能力者) or 人狼※
他3人:(人間 1※〜2人/人狼 1※〜2人/狂人 0〜1人)
大神満:不明
田原葉月:不明
天童真理夫:不明
死者
沖田鉄平:人間
田中次郎:人間
真目正義:人間
万永琢朗:人間
金田一:人間
石原兼続:人間(共有者)
磯谷周吾:人間(一般人 or 狂人)
磯谷有姫:人間
犬飼陽子:妖狐
山崎信一:人狼 or 人間※
神阪甲太郎:人間(占い師)
※沖田鉄平が霊能力者の場合
「さて。何か意見がある人は?」
「僕は…」
大神満が龍造寺猛虎が怪しい、と言いかけたとき、隣にいた田原葉月が手を挙げた。
「あの…。わたしです。」
「え?」
次の言葉に一同耳を疑った。
ワタシガ ジンロウ ナンデス。
「なっ、何馬鹿なこと言ってるんだ!葉月!!」
「田原さんが人狼だったとね?」
「マジか…。」
「葉月!ウソつくなよ!訂正しろよ!」
大神満が大声を張り上げる中、草野克則は眉間に皺を寄せていた。
「おかしい。絶体絶命のピンチでない今、なぜカミングアウトするんだ?」
全員が静まり返る。
田原葉月は申し訳なさそうな顔で口を開いた。
「すみません。鎌をかけました。」
「え?」
その一言に全員が驚いた。
「人狼は天童さんか龍造寺さんの可能性が高いと思います。」
「は?何ば言いよるとね?」
「そうだべ、田原さん。意味わかんねーよ。」
疑いをかけられている天童真理夫と龍造寺猛虎が反論する。
大神満も疑問の表情を浮かべている。
なるほど、と草野克則は言い、田原葉月の代わりに説明した。
「つまり、人狼ならば、田原さんの人狼カミングアウトに便乗するはず。
天童くんと龍造寺さんは便乗したから人狼の可能性が高い。
逆に大神くんは反論していたから人間の可能性が高い。ということだな?」
「はい。その通りです。」
田原葉月は小さく頷いた。
「そ、そんな…。山崎さんが人狼だとわかった今、もう一人の人狼がわかってホッとしただけだべ。それで、人狼の可能性が高いなんて…。」
「ほんなこつばい。だいたい、大神くんだって立場が違ったらおいたちと同じ反応ばしとったろうもん?」
「いや、そうだろうか。
大神くんがもし人狼ならば、田原さんが偽カミングアウトしていても、ここはチャンスとばかりに便乗するんじゃないだろうか?」
「そぎゃんですか?
草野さん。あんた、奥さんとか子どもさんが同じ状況で人狼カミングアウトしたら、大神くんみたいな反応にならんね?」
「それは…。」
「大神くんば処刑裁判から守るための策略でしかなかばい!」
「そうだべ!田原さん、頼むから大神くんを守ることより人狼を探すことに注力してくれよ!」
「でも、お二人が便乗したのは事実です。わたしは誰か一人が引っかかると思って、処刑裁判にかけられるのを覚悟で発言したんです。」
田原葉月は涙目になりながら、2人の意見に真っ向から対立する。
「2人の方が満くんより人狼の可能性が高い。人狼じゃなかったら、もっと別の反応をしてたんじゃないですか?
満くんだけじゃなくて、草野さんもわたしのカミングアウトを疑った。」
田原葉月の力説に、龍造寺猛虎も天童真理夫も返す言葉がなかった。




