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ウルフ  作者: やなぎの裕流莉
40/54

40. 処刑投票(5日目)

言葉に詰まる山崎信一をよそ目に、龍造寺猛虎は口を開いた。

「俺が言いたかとは、山崎さんと犬飼さんの2人とも妖狐が磯谷くんを襲ったということに対して、違和感なく話ば進めとったけんですね…」

龍造寺猛虎は一呼吸置いた後、核心に迫る自身の意見を述べた。

「つまり、山崎さんは実は人狼で、一昨日の夜、石原先生を襲っとったけん、磯谷くんが襲われていることを朝知った。

 身に覚えがない被害者が出とるけん、勿論それは妖狐の仕業だろうと考える。」

「な、何を?」

「犬飼さんは山崎さんの言う通り、妖狐だけん、『妖狐が磯谷くんを襲ったこつ』に何の疑問も浮かばんで、自然と受け入れとった。」

「それは違う。」

否定する山崎信一をよそに、龍造寺猛虎は尚も続けた。

「だけん、山崎さんが怪しかと思います。おいは山崎さんに投票するけん。」

「確かに。説得力があるな…。」

神阪甲太郎も納得した。


「山崎。俺【草野】も龍造寺さんと同意見だ。お前が磯谷くんを襲った犯人が妖狐だと決めつけたことに、違和感を覚えた。

 それに、お前は俺と磯谷くんの部屋の現場検証も行ったはずだ。青みがかった黒い毛も見たはず。

 司会進行のため、すぐには発言できなかったが、龍造寺さんが気づいてくれた。」

お前だったのか…、と草野克則は呟いた。

「ち、違いますよ、草野さん。」

「俺【草野】だって、可愛がってきた部下を処刑したくはない!

 ただ…俺【草野】はここに来た時の自己紹介の時のお前の発言にも違和感があった。

 全員が、あたりが真っ暗になって気付いたらこの村にいた、と言っている中、お前だけは病院に向かっている途中で気付いたらこの村にいた、と話していた。」

「それは、説明を省いただけで、病院に向かっている途中で、あたりが真っ暗になって…」

「実際、この村に誘われる際、人狼が辿る道と人間が辿る道が違うんじゃないか?お前は、人間がどうやって誘われるかを知らなかった。」

「だから、違うんです!」

「俺【草野】が自己紹介の最初にお前を指名しなかったら、このことには気づかなかったかもしれないな…。」

それに、と草野克則は続けた。反論する山崎信一の言葉は届いていないようだった。


「お前が犬飼さんを疑うタイミングは不自然だ。」

「え?」

「2日目、被害者が出なかった段階では、狩人が人狼から被害者を守った、と考えていたが…。恐らく、そうじゃなかった。」

「え?どういうことですか?」

「2日目、人狼は妖狐を襲ったんじゃないだろうか?だから被害者が出ていない。

 狩人が守った場合でも、磯谷くんのように軽傷を負うんじゃないだろうか。

 田中の霊能力が強くないんだろうな。」

草野克則が進行役を逸脱して自分の意見を言うのだから、余程確信があるのだろう。

皆が黙って話に耳を傾けた。

「そのときから、妖狐の正体を知っていたお前は、処刑裁判にかけたり、占い対象として提案するのを我慢して、人間を喰ってもらうことにした。」

「俺【山崎】が人狼なら、気づいた時点で占ってもらうよう提案しますがね?だって人狼も喰べられちゃう訳でしょ?妖狐に。」

「俺【草野】も最初はそう考えたが、人狼らしき人物が見つからない現状を考えると、妖狐は占い師を狙うはず。それで、妖狐が人狼を喰べるリスクを覚悟で提案するのを1日遅らせた。」

「そんなリスク、誰が負うんですか?」

「この作戦がうまく行けば、占い師を殺してもらえるかもしれないし、狩人が生存してるか確認もできる。

 お前は多少のリスクを取っても最善の結果を求める男だ。今まで捜査を一緒にやってきたからわかる。」

よく無茶してたよな、と草野克則は付け加えた。

「昨日の朝、2人が被害に遭った状況と、占い師候補の磯谷くんが狙われたこと。この2つを繋げたとき、人狼は妖狐の存在をその前に知っていて、1日泳がせているかもしれないと思った。だから、『誰かに妖狐の疑いをかける人物』が現れるだろうと予想していた。

 そしたら、山崎。お前だった…。」

山崎は黙って俯いている。

「今日の話し合いはここまでだ。何か意見がある人?」

「俺【山崎】じゃない!俺は人狼じゃない!なぁ、誰か助けてくれよ。俺じゃないんだよ!」

山崎信一が声を荒げる。


残念だ、と言い残し、草野克則は投票した。


「俺【山崎】は人狼じゃない!」

叫び続ける山崎信一の声は12時きっかりに途切れた。


【5日目】各自の処刑投票結果:

山崎信一:6票

大神満:1票


山崎信一 → 大神満

神阪甲太郎 → 山崎信一

天童真理夫 → 山崎信一

大神満 → 山崎信一

田原葉月 → 山崎信一

草野克則 → 山崎信一

龍造寺猛虎 → 山崎信一

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