39. 人狼の容疑者
―9:00。
全員が広場に集まった。
「今朝、磯谷有姫さんと、犬飼さんが遺体で発見された。」
「犬飼はやはり妖狐だった可能性が高いですね。」
隣にいる山崎が確信したように言った。
「神阪先生、占いの結果を教えていただけますか?」
「犬飼さんは人間やったで。」
「妖狐も確か結果は人間になるって田中さんが言ってたべ。」
「犠牲者が2人出ているということは、犬飼さんは妖狐、神阪先生は占い師確定だな。」
「…シューゴは…シューゴは狂人じゃないっっ!」
「大神くん。現実を見てくれ。
とにかく、磯谷くんは占い師ではなかったということで理解してくれ。」
「そうだべ。何か事情があってワザと嘘をついてたのかもしれないべ?」
「…。」
「未だに狂人を庇うってことは何か裏があるんじゃないか?大神くんも怪しく思えてくるな。」
山崎信一が細い目をしながら、大神満の方を眺めていた。
「兎に角、話を先に進める。龍造寺さん。磯谷くんの結果はどうでしたか?」
「磯谷くんは、神阪先生が言うたごつ、人間だったばい。」
「なるほど。ありがとうございます。一旦状況を整理しよう。」
草野克則が丁寧に状況をまとめていく。
草野克則:人間(共有者)
神阪甲太郎:人間(占い師)
龍造寺猛虎:人間(霊能力者) or 人狼※
他4人:(人間 1※〜2人/人狼 1※〜2人/狂人 0〜1人)
大神満:不明
田原葉月:不明
山崎信一:不明
天童真理夫:不明
死者
沖田鉄平:人間
田中次郎:人間
真目正義:人間
万永琢朗:人間
金田一:人間
石原兼続:人間(共有者)
磯谷周吾:人間(一般人 or 狂人)
磯谷有姫:人間
犬飼陽子:妖狐
※沖田鉄平が霊能力者の場合
「人間と確定していないのは山崎、大神くん、田原さん、天童くんの4人。この中から怪しいと思う人を処刑するしかない…。」
「そ、そんな…。」
「大神くんはずっと磯谷くんを庇っていて怪しくないか?」
山崎信一の一言に対し、龍造寺猛虎が反撃する。
「いや、俺は山崎さんが怪しかと思っとります。
ところで、山崎さんは昨日なんで犬飼さんが妖狐と断言したとですか?」
「え?それは、昨日説明した通り、犬飼さんが、占い師カミングアウトの提案者だし、常に占われないように占い先を提案していた…」
「いや、そうじゃなくてですね、何で人狼じゃなくて妖狐だと断言したとですか?
占い師が誰か知りたかとか、占われたくなかとは、人狼も一緒。だけん、犬飼さんには人狼の疑いもあった思うとですけど。」
「そう言えば…。」
「そして、山崎さんが言うとった通り、犬飼さんは妖狐だった…。山崎さん。あんた、犬飼さんが妖狐だって元々知っとったとじゃなかですか?」
「俺は昨日、石原先生の遺体現場を見たからだ。人狼のものと思われる青みがかった黒い毛が落ちていた。磯谷くんの部屋にはそんなものなかったんじゃないか?」
「あの…。ありました。青みがかった黒い毛。シューゴの部屋に落ちてました。」
「そ、そうなのか?」
山崎信一は驚いた表情を見せたが、話を続けた。
「それは知らなかったが、妖狐は占われたら、そこで終わりだ。人狼は占われても、その夜に占い師を襲えばいい。人狼より妖狐の方が占われることに対する都合が悪い。みんな、それは同意するはずだ。
だから、妖狐が占い師候補の一人である磯谷くんを狙ったんじゃないか、と推測してたからな…。」
「結局、占い師を消したいのは人狼も同じ。妖狐と言い切るには早かとじゃなかですか?」
「もう一つは犬飼さんに鎌を掛けたのもある…。」
山崎信一は言葉に詰まった。表情は曇り、焦りが滲んでいた。




