36. 処刑投票(4日目)
「龍造寺さんが人狼だった場合について考えてみたんだけど…」
天童真理夫が口を開いた。
(シューゴを擁護してくれ!)
祈りながら大神満は話を聞いた。
「その場合、龍造寺さんと金田くんが人狼ってことにならないか?
人狼が残り1人の状況で、偽霊能力者を名乗り出るのはかなりリスクが大きいべ。そんなリスクを冒してまで、龍造寺さんが霊能力者カミングアウトするメリットはないべ?」
大神満の願いは叶わず、逆にこの一言が磯谷周吾を窮地に追いやった。
次々と磯谷周吾に投票していく。
「ボクもここまでか…。」
「お兄ちゃん?」
「シューゴ!諦めるなよ!しっかりしろ!まだみんなを説得する時間はあるっっ!!」
「いつかこうなると覚悟はしてたんだ…。ミツル、ハヅキちゃん。どうかユキをよろしく頼むよ。」
「最後みたいなこと言うな!シューゴ!!」
「お兄ちゃんのバカ!!」
「ユキ。お前、生きろよ。生きて…」
最愛の妹に最期の言葉を残す途中、磯谷周吾は痙攣を起こし、やがて田中次郎の霊能力により息絶えた。
磯谷有姫の声にならない叫び声が、森中に響き渡った。
【4日目】各自の処刑投票結果:
磯谷周吾:6票
龍造寺猛虎:4票
山崎信一 → 磯谷周吾
神阪甲太郎 → 磯谷周吾
天童真理夫 → 磯谷周吾
犬飼陽子 → 磯谷周吾
大神満 → 龍造寺猛虎
田原葉月 → 龍造寺猛虎
磯谷周吾 → 龍造寺猛虎
磯谷有姫 → 龍造寺猛虎
草野克則 → 磯谷周吾
龍造寺猛虎 → 磯谷周吾
「占い先についての話がしたいが、今は無理だ。少し時間を開けるので、13:30にここに集まってくれ。」
と言い残し、草野克則は、山崎信一を連れて石原兼続の現場検証へと向かっていった。
(何でシューゴが…。う、嘘だろ?)
大神満は放心状態で、膝から崩れ落ちる磯谷有姫の様子をただただボーッと眺めていた。
そばにいた田原葉月が磯谷有姫を抱きしめ、支えになっていた。
「2人ともしっかりして!
人狼を探し出さないと、周吾くんが無駄死にになっちゃうよ?」
田原葉月の必死の呼びかけにも2人は下を向いたままだった。
「満くんは有姫ちゃんを守るんでしょ!?」
「ぼ、僕は…。シューゴを守れなかった…。」
「わたしだって同じだよ!でも、だからって下を向いてたら、また人狼にやられるんだよ?次は満くんかもしれないし、有姫ちゃんかもしれない。わたしかもしれない。」
「それはダメだよ。」
泣きながら磯谷有姫は言った。
「もう、誰にもいなくなって欲しくないっっ!!」
「僕も。葉月にもゆきちゃんにも、いなくなって欲しくない。
全力で人狼を探そう…。じゃないと、シューゴに合わせる顔がない。」
横たわる磯谷周吾の顔はどことなく安らかだった。
その横に3人の涙がどれだけ溢れたことだろう。
しかし、3人ともこれまで以上にしっかりとした顔付きになっていた。




