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ウルフ  作者: やなぎの裕流莉
34/54

34. 霊能力者カミングアウト

―9時30分。

全員が広場に集まった。


「昨夜、石原先生がやられました。」

「あの…。シューゴの部屋も襲われた跡がありました。」

「そうなのか?」

「えぇ。暗くてはっきりとは見えなかったんですけど、3m程の黒い影…狼が現れて、でも、金縛りに合ったように動けなくて…。

 気を失って…。気づいたらミツルが肩を揺すってました。」

磯谷周吾は昨夜の出来事を皆に話した。


「貴重な情報をありがとう。有姫さんの占い結果を教えてくれ。」

「はい。ユキは人間です。」

「なるほど。神阪先生の結果はどうでした?」

「有姫くんは人間やったで。」

磯谷有姫は下を向いたままトーゼンよ、と呟いた。

「昨日の金田くんの結果についてだが、磯谷くんと神阪先生の結果が異なっていた。」

誰かがゴクリ、と唾を飲んだ。

「霊能力者に名乗り出てもらおうと思っているが、反対の人、いるか?」

「今まで通り、人狼だった場合だけ名乗り出るのはどうすかね?」

「霊能力者がもう既に殺されている場合、金田くんは人狼だったとしても、人間と我々が理解してしまうことになると思うが…。」

「あぁ。確かにそうっすね…。」

草野克則の一言に天童真理夫も納得した。

「他に反対意見なければ。」

天童真理夫の他に、反対意見を提案する者はいなかった。


「では、霊能力者の方。生きていたら、昨日の金田くんの結果を教えてくれ。」

「金田くんは人間だったばい。だけん、磯谷くんは嘘ば付いとる。」

周囲が騒ついていたにも関わらず、その声は鮮明に聞こえた。

龍造寺猛虎が、大きく右手を挙げていた。

「え?シューゴが?」

「そんな訳はない!龍造寺サンこそ嘘を付いてる!」

「おいは嘘なんかついとらんばい。」

「遂に占い師のボクに濡れ衣を着せようとしてきたか!」

「何ば言いよるとね?おいは本物の霊能力者ばい。」

「龍造寺サンはボクとユキ、ミツル、ハヅキちゃんの4人を疑っていた。ボクらを狙いたい理由でもあるんですか?」

「なかよ。おいは全員ば平等に見とるけん。ばってん、霊能力で、金田くんは人間って結果が出たけん、人間って言ったとばい?」

「そもそも、昨日の石原先生の雰囲気だと、石原先生自身が霊能力者なんじゃないですか?

 誰もわからない中、一人だけ霊能力者がいると確信していた。それは、本人が霊能力者だからだ!

 石原先生が殺された今、ホンモノの人狼が、霊能力者になりすましてるんじゃないんですか?龍造寺サンっっ!」

「おいが人狼だったら、霊能力者が生きとるかもしれんこの状況で名乗り出たりせんよ。名乗り出るにしても、もう少し様子ば見るばってんね。」

2人の言い争いに、皆困惑していた。

が、草野克則が口を挟んだ。

「実は、石原先生は、もう一人の共有者だ。」

「え?霊能力者じゃ…。」

磯谷周吾の疑いの言葉を草野克則が否定する。


「そう。石原先生は霊能力者じゃない。」

「じゃあ、何で…?石原先生は霊能力者がわかったんですか?」

大神満がたまらず、草野克則に詰め寄る。石原兼続本人がいないことが歯がゆかった。

「昨日石原先生に確認したんだが…。実は石原先生にも霊能力者が誰なのかわからなかったが、人狼が2人残っていることを確信していたらしい。」

「え?」

「あの時点で処刑裁判にかけられたのは、真目さんのみ。要は真目さんと金田くんが人狼だった場合のみ妖狐の勝利になる。」

「オイラはそこを気にしてたっす。」

「真目さんは元々妖狐の容疑が掛かっていたわけで、人狼ではない。」

だから、あの時点で人狼が2人残っていて、金田くんが人狼だった場合でも妖狐が勝つシチュエーションにはならない。」

「確かに…。」

「石原先生は、霊能力者をワザとチラつかせて人狼側の反応を見る作戦に出た。

 そして、石原先生を霊能力者と思い込んだ人狼は、石原先生を狙った。」

「石原先生は、自分をワザと人狼に狙われる対象にしたってことですか?」

「あぁ。そうだ。」

「そんな…。」

(だから、ゆきちゃんは今日は狙われないって…。そういうことだったのか…。)


「人狼が石原先生を霊能力者と思って襲ったのは間違いないだろう。

 だた、考えてみてくれ。霊能力者を狙うのは不自然じゃないだろうか?」

草野克則の疑問に磯谷周吾は余裕がなくなった様子を見せた。

「人狼が能力者を狙うのは普通ですよね?何かおかしなところがありますか?」

「確かに人狼が能力者を狙うのは普通のことだが…」

草野克則は一呼吸おいた後、続けた。


「なぜ霊能力者だったんだろうか?」


時刻はいつの間にか10時30分を回るところだった。

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