23. 2日目の朝
それぞれが、部屋に戻って床に就いた。
ある者は人狼に怯えながら、ある者は翌日の議論のネタを考えながら。
落ち着かない夜だった。カラッと晴れていた昼間と打って変わって、風が吹き荒れ、ガタガタと各部屋を揺らす。
各々が感じている恐怖を表しているかのようだった。
大神満は今日の会議について振り返っていた。
(僕が人狼だった場合、占い師と共有者のどちらにカミングアウトして欲しいかといったら、もちろん占い師だ。
だから、占い師カミングアウト案に手を挙げた人は怪しいんじゃないか?
万永先生、山崎さん、沖田さん、神阪先生、金田さん、犬飼さん、シューゴ、ゆきちゃん
シューゴも神阪先生も占い師カミングアウト派か…。これじゃあ、神阪先生が人狼側だなんてわからないな…。ゆきちゃんもだっけ…。
シューゴの考えに賛同したのかな?
とにかく、シューゴとゆきちゃん以外は徹底マークだな。)
そんなことを考えているうちに、いつの間にか寝てしまっていたらしい。
(あれ?いつの間に寝てたんだろう?)
大神満は目を覚ました。
(あ。そう言えば…い、生きてる!
他の皆は無事だっただろうか?葉月は!?シューゴは?ゆきちゃんは?)
飛び起きて外に出てみると、草野克則の叫び声が聞こえてきた。
「おい!しっかりしろ!!」
駆けつけてみると、そこには…
沖田鉄平の無残な亡骸が横たわっていた。
「沖田!!」
「おい!沖田!目を覚ませ!」
草野克則や山崎信一が必死に呼びかけたが、沖田鉄平が目を覚ますことはなかった。
「大神くん、すぐに全員を広場に召集してくれ!」
「わかりました。」
大神満は踵を返すと、大慌てで皆が寝ている部屋の方へ走った。
―9時30分前。
全員が広場へと集まった。
「沖田鉄平巡査が、人狼に襲われた。あんなに強い奴だったが、それでも敵わない…。やっぱり、ここで、人狼を処刑するしか、我々には道はない。」
さすがの草野克則も心が乱れているようだ。
少しだけ時間をくれ、と言ってセブンスターに火を点けた。
2口目の煙を吐いた後、草野克則は本題に入った。
「さて、霊能力者の方。真目さんが人狼だった場合のみ名乗り出てくれ。」
名乗り出る者は誰もいなかった。
「そうか…。残念だ。
真目さんは、人狼ではなかった。」
「草野サン、ボクたちが予想していたように、妖狐だったかもしれないですよ。」
「そうだな…。そうだといいが…。」
沖田鉄平が殺された悔しさで、草野克則は唇をグッと噛んだ。
大丈夫ですか?と、犬飼陽子が声をかけたが、大丈夫だ、と草野克則は答えた。低く、くぐもった声だった。
「それでは、神阪先生、磯谷くん。
占い結果を教えてくれ。」
「はい。」
磯谷周吾と神阪甲太郎は一歩前へ出た。
「磯谷くんは人間やで。」
おかしいな、と付け加えながら、神阪甲太郎は言った。
磯谷周吾と駆け引きをする様子はなかった。
「そんなにサラッとボクより先に言ってよかったんですか?神阪センセー。
ボクが占い結果を人狼って言ったら、神阪センセーは人狼の疑いが掛かっちゃいますよ?」
「ええねん。そんなことで時間使うのもったいないやろ。」
驚いた様子の磯谷周吾に、神阪甲太郎は余裕の表情を浮かべた。
「誰もそんな駆け引きは求めていない。磯谷くん。神阪先生の占い結果を教えてくれ。」
「はい。神阪先生は人間でした。」
神阪甲太郎が、ふーっと大きく息をついた。
「いや、正直ね、磯谷くんがワシに濡れ衣を着せたらどうしよう思ててん。」
「ボクは嘘はつかないですよ。」
「何だよ!チッ!」
金田一が悪態を付く。
「なんか文句あんの!?チョームカつく!」
磯谷有姫は金田一に完全に怒っていた。一晩経ってもまだ、気持ちは落ち着いていないらしい。
田原葉月がそっと磯谷有姫の近くに寄り沿った。
「そうか…。一旦、ここまでの情報をまとめよう。」
草野克則:人間(共有者)
磯谷周吾:人間(占い師 or 偽占い師)
神阪甲太郎:人間(占い師 or 偽占い師)
他10人:不明(人間 7〜8人/人狼 2人/狂人 0〜1人/妖狐 0〜1人)
死者
沖田鉄平:人間
田中次郎:人間
真目正義:人間 or 妖狐




