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ウルフ  作者: やなぎの裕流莉
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20. 占い先(1日目)

「確かに。君たちの言う通りだ。すまん。刑事の性でね…。

 これからは、ちゃんと話し合いに時間を割くことにしよう。ただ…」

『ただ』何だよ?と聞く金田一を落ち着かせるように、草野克則は、徐にセブンスターに火をつけた。

「話し合いが終わった後で現場検証はやりたいと思う。俺たち警察官が生きている限りは。」

山崎信一も沖田鉄平も黙って頷いた。

「本来、現場検証ってのは、できるだけ早い方がいい。龍造寺さん、申し訳ないんだが、ご遺体の写真だけは早い時間に撮っておいて欲しい。」

「はぁ…。わかりました。死体ばっかり撮っとると、気味ん悪かですばってん、仕方んなかですな。」

「申し訳ない。ご協力感謝します。」


「ところで磯谷くん、大神くん。」

石原兼続が口を開いた。そこに笑みはなく、真剣な目をしていた。

「いつもやっているジンローというネットゲームはどうやって進めていくんだい?嘘つきを探し当てるゲームなんだろ?」

「おいおい。ネットゲームと今起きてる現実は全く別物だろ!」

「いいえ、山崎さん。全く別物とは言い切れないよ?彼らがやっているゲームは、今の私たちとよく似た状況で嘘つきを探すゲーム。

 何か参考になることがあるかもしれない。」

「万永さんまで…。」

 沖田鉄平が呟いた。どうやら、山崎信一も沖田鉄平も、人狼にまだ疑いを持っているらしい。

「まぁまぁ、話しだけでも聞いてみましょう。」


それから、大神満と磯谷周吾は普段、ネットゲーム・ジンローでどんなやりとりをしているかを説明した。


「なるほど。自分の能力を公開するタイミングやら占い先、守り先を全員で話し合っておくのは大事だな…。」

「草野さん、あんた、あいつらのペースに乗せられない方がいいぜ?」

「金田サン、残念だけど、アンタの意見は的外れだ。そもそもボクらが人狼だったら、こんなに人間にとって有益な話はしない。」

それもそうね、と犬飼陽子が嘲笑した。


「お兄ちゃんとミツルくんが人狼な訳ないでしょ!?」

「何だと!?お前ら兄妹揃って…」

「皆さん、一旦落ち着きましょう。」

石原兼続がパンパンと手を叩き、話題を本題に戻す。


「能力をカミングアウトするタイミングを決めた方が良さそうですね、草野さん。」

「ええ。そうですね。さっきの話通りだと…。」


「…すみません。」

犬飼陽子が申し訳なさそうに話を遮った。

「ちょっと言いづらいんですけど、今、草野さんに話を纏めてもらってますよね?

 纏めてもらっておいて何ですが…もし草野さんが人狼だった場合も、皆さん考えた方がいいと思うの。」

「何だと?」

草野克則を疑う意見に過敏になる沖田鉄平を制し、はっはっは、と草野克則は意に介さず、豪快に笑った。

「沖田。警察官の俺たちに意見できる人がいるなんて、頼もしいじゃないか。」

「しかし…」

「いいか。全員が意見を言える環境じゃなければ、人狼の餌食になるだけだ。俺たち警察官が疑われるということも、この村では受け止めなければいけない。」

狼村でなければ、こういう疑いをかけられることもなかっただろう。

沖田鉄平は歯がゆそうに唇を噛んだ。


犬飼陽子は臆することなく、話を続けた。

「こういうのはどうでしょう?今日は草野さんを占ってもらう。人狼だったら占い師にわかるはず。妖狐だったら死ぬ。

 沖田さん、気を悪くさせてごめんなさいね。」

「そうだな。この後誰を占うか決めたかったんだが、そういうことにして話を進めた方がよさそうだ。」

「私【石原】もそれでいいと思います。」

草野克則本人や、石原兼続、神阪甲太郎、磯谷周吾、大神満も同意した。

万永琢朗や龍造寺猛虎、田原葉月、磯谷有姫も黙って頷いた。


「では、早速、どの能力者がいつカミングアウトするか。何か考えがあれば教えてほしい。」

「そんなの、全員が名乗り出ればいいんじゃねーの?」

「金田さん!」

珍しく、大神満が感情的になった。

平気で的外れな発言をする金田一に対するイライラが爆発したのかもしれない。

田原葉月は、少し驚いて俯いていた顔を上げた。

「それはダメでしょ、金田くん。大神くんも一旦落ち着いて。」

天堂真理夫が止めに入る。

「何でダメなんスか?天堂さん。」

「だって全員カミングアウトしたら、能力を持ってる人が全員狙われるべ?勿論、人狼や狂人、妖狐は一般人だ、とか能力者だとか言うっしょ。

 そしたら、能力者だと言う人は処刑裁判にかけられない。非能力者をカミングアウトした人の中から処刑される人を決める。

 でも、処刑裁判の対象となる非能力者の中に人狼はいないかもしれないべ?」

「…そうか。」

「さすが、ゲームクリエーター。飲み込みが早い。」

「いやいや、磯谷くん。ゲームじゃないべ。人狼に怯えているだけさ。」


「あの…。占い師が名乗り出るって言うのはどうですか?」

犬飼陽子が手を挙げた。

名案が閃いたかのような顔つきだった。

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