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ウルフ  作者: やなぎの裕流莉
14/54

14. 能力

1時間が経過した。

草野克則の指示で、食糧を探す班、水辺を探す班、火を起こす班、反論材料を探す班に分かれた。


しかしやはり、1時間では反論材料は探せなかったようだ。

沖田鉄平を始めとする反論組は肩を落としていた。


「これから、この中にいる人狼の数を発表する。」

田中次郎はもったいぶった風に言った。

「今からは、みんな自分以外敵だ。

 心して聞いてくれ。」

念を押した後、田中次郎の説明が始まった。

短いようで長い説明だった。

「この中に人狼が2人。人間が12人いることがわかった。どうやら、妖狐が1匹混ざっているようだ。」

「妖狐!?」

「何だ?妖狐って!?」

草野克則や山崎信一、万永琢朗ら、みんなが疑問と驚きの声をあげた。

「妖狐は、人の姿をした狐だ。」

「人狼と妖狐の違いって何ですか?」

「人間に被害はないんですか?」

「妖狐には特徴が3つある。

 妖狐は人狼には喰べられない。

 占い師に占われたら死ぬ。

 3日に1回人間か人狼を喰べる。

 但し、対象が狩人に守られていた場合は喰べられない。」

「そんな…。」

磯谷周吾や大神満は愕然とした。

状況が普段やっているインターネットゲーム ジンローに酷似していた。

「占い師って何だ?」

「狩人が守るってどういうことですか?」

次々に疑問の声が上がった。

「順番に説明しましょう。」

田中次郎はこの村から脱出する方法や人狼に対する対処法とそのために自分が付与できる能力について説明を始めた。


「まず、この村から脱出する方法ですが、人狼2人と妖狐1人を殺すことです。」

「殺すこと…ですか…。」

「はい。人狼よりも人間の数が少なくなった場合、ここにいる人間は人狼の餌食となり絶滅します。」

「…。」

皆が話をうまく飲み込めない中、磯谷周吾が冷静に質問する。

「人狼は倒したけど、妖狐が残っている場合はどうなるんですか?」

「ああ。そうでした…。

 2人の人狼を退治してしまうと私がこれから付与する能力は消えてしまいますが、この村から脱出することはできません。つまり、2人の人狼を倒してもなお、妖狐がいる場合も、妖狐の餌食となり、ここにいる人間は絶滅します。」

「人狼2人を倒す前に、妖狐を退治しないといけないということですか?」

「おっしゃる通りです。」

「人狼?妖狐?わけわかんねー…。」

金田一の独り言をよそに、田中次郎は続けた。


「次に人狼に対抗する手段。これは、処刑投票しかない。」

「はぁ?何言ってるんだ?あんた…。」

”処刑”という言葉に周囲が騒ついた。

「一旦、話を聞いてください。

 当然、皆さんの反応はそうなるでしょう。」

「マジかよ…。」

ネットのジンローを知る大神満と磯谷周吾でさえ、現実味を感じることができなかった。


一旦、話を聞いてください、と田中次郎はもう一度言った。

「処刑投票は人狼や妖狐が人間を喰べない時間…つまり昼間に行います。

 残酷な話ですが、1番多く票が入った人を処刑します。

 人狼と妖狐を処刑することができれば、元いた場所に帰れます。

 誰が人狼かを見抜いた上で投票してください。

 投票をしなかった場合…その人は自然死します。そういうリスクと引き換えにしないと、私から皆さんへ能力を付与することができません。

 それでは、私が付与できる能力を説明します。この能力を使って人狼と妖狐を見破りましょう。

 1人が持つことができる能力は1つまでです。能力を持てない人もいるので、ご注意を。」


田中次郎は能力について説明した。

真剣に聞いている者もいれば、唖然としている者もいた。


占い師:

占った人が人狼かどうかを知ることができる。占える人数は1日に1人だけ。

妖狐を占った場合、妖狐は死んでしまう。また、妖狐の占い結果は≪人≫と出る。


霊能力者:

処刑裁判で死んだ人が人狼だったかどうかを知ることができる。

但し、妖狐かどうかを知ることはできない。(妖狐の結果は≪人≫と出る。)


狩人:

1日に1人だけ人狼や妖狐からの襲撃から守ることができる。

但し、自分を守ることはできない。


共有者:

2人に与えられる能力で、2人だけ情報を共有できる能力。

お互いだけは、確実に人間だとわかる。


狂人:

人狼の味方になってしまう能力。但し、人狼の数が人間より多い場合、狼村を脱出できる。

田中次郎が付与する能力による反動の一つ。

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