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Where are you?



-僕の夢見た世界。幻想が憂き心を潤し、到来を拒んだはずの明日へと歩みを進める糧となった。そして今、幻想が実体となって僕のそばで共に呼吸をする。


水圧に吹き飛ばされるパルザトス。マグマは黒曜石の柱となり、水の蒸発とともに静止した。

「私を閉じ込めるならさ、もっと居心地が良い所にしてくれないと」

そう高らかに言い切ったのは、オーバーサイズの茶色の魔女用コート、フードからはみ出した艷やかな黒髪ロング、都会的な色白で華奢な足と革のブーツ。年齢は高校生くらい、吊るされた他の棺を足場にし、その幼い顔の作りとは裏腹な鋭い目つきをパルザトスに向ける。

「亡きドグラ・マグラ最強の家臣の力はそんなものなの?がっかり」

意外にもびしょ濡れのパルザトスは冷静に、鎧の隙間からなにかを取り出した。小型のリモコンのようなもので、少し間を置いてその凶悪な爪で押し込んだ。牢獄内に轟音が響く。マグマがジェットバスのように所々吹き出し、吊るされた棺のチェーンが降り、次から次へのその中へ落ちていく。遊園地で聞けるような、甲高い女の悲鳴が辺りに響く。

「なるほど、脱獄者が一人でも出たら、連鎖するのを防ぐために、即時他の囚人の死刑が執行される仕組みなのか、それにしても、奴は意外と理性というものがあるじゃないか。あの女、しくじったな」

僕ならどうするか、この高速で降りていく鎖をそれ以上の速さで登り切るのみだな。しかし、棺の再利用のためとはいえ、このシステムはまだ改良の余地があるということだ。

煤けた煙がマグマの表面を包む。パルザトスはそれを見届けて、今度は僕のいる部屋へと歩きはじめた。

「ちょっと、ボスニア・レインボーランド王立専門学校主席魔女をなめてもらっちゃ困るわよ!」

マグマの黒煙が晴れると、そいつはなにもない空間を駆け上がるようにして登っている。息を切らしながら、僕のいるところまで辿り着いた。

「おい、どうやってここまで登ってきた?」

「あなたも脱獄者?いまのは階段呪文、空気を階段のように登れる。でも難儀ことに、この呪文は基礎体力も同時に必要なの」

「全く想定外だ、同時に脱獄するやつがいるとは。足手まといがいる想定の作戦は立ててないんだ。君はとっとと逃げてくれ」

「あの、女だからってなめないでもらえます?それ、いわゆる女性蔑視、ミソジニーですよ。いっとくけどね、私はいままで迫ってきた男を何人も葬ってきたし、パルザトスだって赤子のようにあやして殺す予定なんです、君が帰れば?」

もたもたしている内に、パルザトスは部屋に辿り着き、仁王立ちでこちらを睨みつける。

「よしわかった、僕は君も敵と想定する。1対1対1のヴァイグロンド式の殺し合いだ」

「後悔してもしらないよ」

僕はこのとき、僕なりの哲学としての戦いに固執していた。それが招いたヴァイグロンド式だった。しかし、僕はうっすらと感じ取っていた。この美しい少女から漂う切ない血の匂いと、僕の異世界完全平等パーフェクト・イクオリティのために必要な大いなる魔術の神秘を。




司祭



人民



奴隷






Where are you?


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