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小説家になろう


なにかに包まれている。しかしこの色はなんだろう。魂に直接流し込まれているような、僕の全てが安心し、安らぎを覚えている。

「汝、自らを知れ。」


確かにそう言った。すると視界がひらけ、真っ暗な世界が広がった。どこからか軽快なリズムが聞こえてくる。硬い床の上を靴先が叩く心地よい音。これはタップダンス、暗闇の中で響くと、まるで僕を導いているかのようだ。スポットライトが落ちると、髪の明るい男が小刻みに動いてるのがはっきりとみえる。

「HEY YOU やっちゃいな」

するとタップダンスをする男のいる舞台までの道に無数の扉が現れ、まるで廊下のようになった。

「COME ONッッッッ!!」

男が合図をすると、僕の姿が実体を得た。服にナイフで開けた穴が空いているが、傷は完全に治っている。僕は歩きながら腹のあたりを静かにさすった。それぞれのドアは、形や色は違うが、どれも平凡なドアだ。とりあえず男のいるところまで行って、話を聞いてみよう。


しかし歩けども歩けども、男は一向に近づかず、タップダンスのリズム、音量は変わらない。そして両脇のドアは増えていくばかりだ。しかし僕の感覚は以前より格段に冴えているみたいだ。この不可思議な空間でも、勝手に動いているかのように足取りは軽く、パズルのちょうど良いピースを探すみたいに、僕にぴったりのドアがあるような気がする。

「YOU わかってる ここはキミのウチだ」

ウチ、懐かしい響きだ。ただ身を削るだけの生活では、僕はどこにいっても安寧を得られなかった。しかしここはどうだろう?僕は間違えて靴を脱いでしまいそうになったほどだ。


大きく息を吸ってみると、洗濯物の香りがして、それはおひさまのダニの死骸のかおり、温かい気持ちになった。そして走り出す。子供のころ、友だちに誘われて一心不乱に家を飛び出したときのように。

すると、一定のリズムを保っていたタップダンスが小ぶりだった雨が急に強くなるように、一気に激しくなった。僕はもう止まれない!パォォォォォォォオン!!!!ガネーシャが一つ鳴くと、僕の心の鮮やかなるマハラジャが、その妖艶なる天竺の香りに奮い立たせられる。僕は殺人と彼女のような救いを両立できる人間だ。今ならそう思える。一人殺せば殺人鬼だが、数え切れぬほどの死体の上で、英雄は世界を凝視する。

そしてその扉は突如現れた。もう何もいらない、身につけた忌まわしき世界のボロ布も。






すべてが終わった


すべてを始めるために


神々の叡智は


そのためにある


あ ら っ て な い ぽ こ ち ん の 香 り


ジュジュジュジュジュジュッジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュトルペッソォォォォォォォォォォォォォォ


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