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15.さて、帰還なのです!

「ワイルドドッグ狩りも安定してできるようになったし、時間的にも今日はこれくらいかしら」

「そうですね。これ以上遅くなると寝る時間に響きそうです」


 ユーリさんの確認にサーシャが優等生な答えを返しますよ。

 もう一時間も粘れば、ファーラビットも手に入るのですが……。


「今日はこれで帰るとしましょうか。明日は……ファーラビットを捕まえたあと、もう一段階上のプレーンウルフに手を出してみましょう」

「わかりました。私たちでいけますか?」

「危なくなったらシズクちゃんがいるから大丈夫よ。ね、リーンちゃん?」

「そうですね、任せておくのですよアプリ」


 ここは姉の威厳を見せておくべき場面なのです。

 シズクちゃんの高火力ならウルフ? 相手でもいけるはずなのですよ。


「それでは引き上げね。どうせだから、帰りもパーティ戦の練習をしながら帰りましょう。まずは黒号が先制して敵のターゲットを取り、ほかの皆はそのあとから攻撃。黒号のHPが減ってきたらリーンちゃんが回復ね」

「わかりました。リーンもいいわね」

「わかったんだよ。それでは行きましょう」


 練習ということで戦ってみましたが、それなりに難しいものですね。

 黒号が先制するのはいいのですが、ターゲットの維持? と言うのが難しいです。

 維持するためには黒号がもっと攻撃力を高めるか、攻撃する側のダメージを下げるかする必要があるらしいのですよ。

 今回は黒号の攻撃力を上げる手段がないので、サーシャやアプリに攻撃を少し控えてもらうことにしました。


 それにしても、そんなことまで考えなくてはいけないなんていろいろと大変なんだよ。


「ユーリさん、パートナーの攻撃力や防御力を上げる装備ってないんです?」

「ないのよね、リーンちゃん。おしゃれ装備としてなら服なんかを着せることができるんだけど、防御力も攻撃力も上がらないのよ」

「不思議なのですね。少しくらい強くなってもいいのに」

「本当にね」


 ボクは黒号のHPが減ったときの回復役なので、割と暇なんだよ。

 なので、気になったことをユーリさんに確認する余裕もあります。

 まあ、結果は残念だったのですが。


「それにしても、黒号の攻撃力は低いんだよ。もう少し高くても問題ないと思うのに」

「それねぇ。もう少しレベルが上がれば、飛躍的に攻撃力が上がるんだけど……いまは仕方がないわ」

「そうなのですか。ちなみに、どれくらいまでレベルを上げればいいのです?」

「レベル7くらいだったはずよ。それで【かみつき】スキルが【牙撃】に、【ひっかき】スキルが【爪撃】に変わるの。そうすると攻撃力が跳ね上がるわ」

「なるほどなんだよ。ちなみに、そこまでレベルアップする時間は……」

「あと二~三時間は必要だから厳しいわね」

「ですよね……」


 今日のところは攻撃力が低いままでも仕方がないんだよ。

 サーシャとアプリには悪いのですが、我慢してもらいましょう。


 パーティ戦の練習をしている間にワイルドドッグのエリアを抜け、プレーンマウスが出現し始めます。

 さすがにここまで来てしまうと連携もなにもないので、さっさと通り抜けるのですよ。


 そして街門のところまで戻ってきて、ようやく無事に街まで帰ってくることができましたね。


「お疲れ様、三人とも。初めての戦闘で疲れたんじゃない?」

「ボクはそれなりに疲れましたね。サーシャたちは?」

「私もちょっと疲れたかしら」

「私は平気だよ。できればもうちょっと戦いたいくらい」

「アプリちゃんもそろそろ寝る時間でしょ」

「わかってますよ、ユーリさん」


 アプリはまだ元気なようですが、サーシャはそれなりに疲れたようですね。

 さて、このあとはどうしましょうか。


「それじゃあ、これで解散……といいたいところだけど、その前に満腹度を回復しなくちゃね」

「満腹度、なんです?」

「ええ。このゲームでは満腹度……要するに空腹度合いが設定されていて、それが一定値以下になるとペナルティが着くようになるの。キャラクターレベルが10以下のときは大丈夫だけど、それ以上になったら注意ね」

「わかりました。それで、満腹度を回復するにはどうすればいいんでしょう?」

「サーシャちゃん、空腹を回復するんだから食べ物を食べるに決まってるじゃない。……ああ、初心者支援パックに入っていた携帯食料は捨てていいわよ。あれ、とっても不味いから」


 ……ユーリさんがそういうと言うことは、相当不味いのですね。

 今度ひとつだけ食べてみましょうか。


「じゃあ、どうすればいいんですか?」

「アインスベルに限らないけど、街の食堂や屋台で食事をすればいいわ。……お邪魔するわ」

「いらっしゃい……って『瑠璃色の風』のユーリじゃねえか。後ろの三人は見かけない顔で巣立ちの装備ってことは新人か?」

「そうよ。もも肉の照り焼き、四人分売ってもらえるかしら」

「あいよ。ルーキーの引率っていうなら今日のお代はサービスしとくぜ」

「あら、ありがとう。でも、私までいいの?」

「三人分も四人分も一緒だってな。……ほら、できたぜ」

「助かるわ。三人とも、クエストボードで完了報告をしたらギルドハウスに戻って食事にしましょう」


 これで今日の冒険は終わりなのですね。

 ……あ、でも、その前に!


「ユーリさん、市場って場所に行きたいんだよ!」

「市場に? なにか買いたいの?」

「シズクちゃんのご飯を買ってあげないといけないのですよ。あと、黒号の分も増えましたね」

「ワオン!」

「ワフワフ」

「ああ、そういうこと。市場にも寄っていきましょうか」

「ありがとうなんだよ」


 こうして、いろいろと冒険後の後処理みたいなのを終えてゲーム初日は終了しました。

 シズクちゃんにはリンゴを買ってあげましたよ。

 なかなかいい食べっぷりでしたので、果物が好物というのは間違いないでしょう。


 あと、黒号は生肉をがっつり食べていましたね。

 ユーリさんに聞くところ、調理した肉でも大丈夫ということなので今度チャレンジしてみましょう。


 では、おやすみなさいなんだよ。

お読みいただきありがとうございます。

毎回の誤字報告本当に助かっております。


面白い、ワンコかわいい、続きが気になる等思っていただけましたら、ブックマークや下の☆マークをポチポチして★にして応援してもらえると嬉しいです。


感想などもお待ちしております。

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なお作者は超豆腐メンタルですので感想はお手柔らかにお願いします。

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