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ゴブリン退治


「ゴブリンの数減らし?」


 冒険者ギルドに行くと指名依頼があるらしく、国からの命令だから受けないとペナルティになるかもしれないと受付嬢に言われ受けることになった。

 なんでもねずみ狩りで有名になったから、そんな依頼がきたのだろうと受付嬢に言われた。

 受付嬢からもコーチ討伐ご苦労様ですという言葉をかけられた。

 コーチは女性の敵らしい。王城でもそんな感じだった。


「はい、なんでも小さなゴブリンの巣が発見されて、それを異世界から来た勇者に探索してもらいたいらしいです。けど、レベルが低いからなるべく数を減らして負担をへらしてほしいらしいです」


 それを聞いて俺は少し考えた。

 その依頼内容で単独で潜らせるつもりらしい。普通なら中級冒険者に依頼するはずの依頼だ。

 違和感を覚える。只ならぬ依頼でありそうだ。


「国からの使命だから受けないと・・・」


「わかってる」


 嫌そうにしているところに受付嬢がすまなそうに言った。

 まあ、どういう意図があるかはよくわからないが、同じクラスメイトが入り込むのだ。露払いくらいはしてもいいかもしれない。

 それにあたりならば、いい稼ぎになる。

 俺はそう判断した。


「今の武器ではゴブリンを倒すのは力不足なんですが・・・」


「困りましたね」


 俺はナイフを見せて言った。言われてみればそうだろう。受付嬢も困った顔になった。

 それからはっとした顔になった。


「生活費に余裕はありますか?」


「余裕?」


 基本城暮らしなので生活費には困っていなかった。


「ないわけではいけど」


「では、この木こりセットはどうですか?」


 と渡されたのは鉈と斧。確かに木こりが装備してそうな武器だ。


「これなら、一般職でも装備できますし、ゴブリンもいちお倒せます」


「高いのでは?」


「依頼料の前貸しです。まあ、どこにでもある武器なのですぐに壊れてしまいますが・・・」


 すぐ壊れるか・・・しっかりとしたつくりをしているように見えるがすぐに壊れてしまうとは・・・だが、文句を言っているような状況ではない。

 命あっての物種だ


「じゃあ、これを受け取って挑みます」


「本当ならもっとしっかりとした防具を装備してほしいのですが、偵察者さんようになると特殊な防具になってしまうので・・・」


 この世界はジョブによって装備が制限される。それは装備本来の力がジョブによって引き出されるためだ。

 偵察者が弱いと言われているのが、この装備が布装備に限定され、鎧並みに効果を発揮するには魔法を付与しなければならない。

 魔法を付与しても、勇者や戦士の着る牛の皮鎧に防御が劣るというのがよく言われることらしい。

 中村よりそういうことをきいた。さすが何でも知ってる中村君だ。


「仕方ない」


 俺はそう答えるとゆっくりと歩き出した。


「元気に帰ってきてください」


 そう受付嬢に言われ、俺は拳を握り、片腕を上げて答えた。某漫画のオマージュだ。




 ゴブリンの巣という場所に到着すると子供が通れるような小さな穴があった。聞いていたのと違う気がしたが、ここがゴブリンの巣なのだろう。

 土魔法で通れるように穴をゆっくりと広げると、焦った顔のゴブリンと呼ばれそうな醜悪な子供みたいなものが出てきた。

 コーチを見た時と同じような感想を覚えた。こいつは敵だと、殺さないといけない。

 ゴブリンがナイフを振り上げたが、そのナイフを持つ手を鉈で切り、悲鳴をあげたが、さらに容赦なくのどを切りつけた。

 経験値が入るのを確認した。スライムなみの経験値が入ってくるのを感じた。

 ゴブリンの死体を蹴るとゴロゴロと死体が転がって言った。何か悲鳴のような汚い声がしたが俺はかまわなかった。

 俺はそのまま穴に飛び込むとパニックになっているゴブリンたちの集団に鉈で切りつけた。

 ざっと、5匹はそれで仕留めた思った。

 だが、5匹が倒れたころにゴブリンたちが逆に攻撃をしかけてきた。何体もゴブリンが囲んできたので、全員の心臓にアイスンの魔法をかけた。

 全員の動きが一瞬止まった。その俺は逃さず三体ほど切りつけた。

 ゴブリンが何かさけぶが、俺は気にすることなく、襲ってきたゴブリンを鉈で切りつけて言った。

 のど元を狙って切るだけで次々にゴブリンたちが死んでいった。気が付けば、ざっと、20体は倒していたような気がした、


「小さいというのは嘘なのか」


 数減らしのつもりがあまりにも襲ってくる数が多いので気が付いたらこんな数になっていた。

 弓を使ってくるものもいたが、アイスンを使うことで一瞬で動きを止め、止まった瞬間に殺していた。

 手加減する余裕なんてなかった。

 気が付けば、襲ってくるゴブリンがいなくなっていた。


「やりすぎたか」


 俺はそういうと一人のやたらとでかいゴブリンがやってきた。ここの長のようだ。

 二メートルはあるような化け物だ。巨剣を背負っている。おそらく冒険者から奪ったのだろう大分ぼろぼろだった。

 だが重さからすれば、十分な威力が期待できる。


「あんたがボスか」


 俺はそういうと鉈をしまい。斧を取り出した。ジャイアントゴブリンが何か言ったがよくからなかった。

 どうせ、同胞の敵とか言っているに違いない。


 ジャイアントゴブリンは大剣を振り下ろした。それをギリギリで回避し、大剣に向かって斧を振り下ろした。

 ジャイアントゴブリンが目を大きく開くことになる。

 その大剣があっさり折れてしまったのだ。その先は地面に刺さっていた。

 ゴブリンはすぐに残った部分を振り回すが、それをしゃがんで回避し、足に向かって斧で切りつける。


「ぐおー」


 ジャイアントゴブリンは大きな声を上げる。だが、足を切りつけられ、武器を振っていたことによって大きく体制が崩れてしまう。

 低くなった頭に斧を叩き込んだ。


「ブゴ」


 変な声を上げてジャイアントゴブリンの顔面が潰れた。一目でジャイアントゴブリンが死んだことが分かった。


「報酬はゴブリンの牙だったな」


 俺はジャイアントゴブリンの牙を返す刀で折ると二本回収した。


「さて帰るか」


 敵をとるべく。他のゴブリンたちが出てきたが、俺はさっさと逃げることにした。

 主力を倒したようだし、任務は達成されただろう。残ったひ弱そうなゴブリンたちをみて、俺はそう思った。



 翌日の夜、勇者たちが大型のゴブリンの巣を攻略したと中村から聞くことになるが、それはまた別の話。

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