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レベル80のダンジョン~英雄の武器に思わぬ弱点があった件~

ショウはレベル80のダンジョンがある町へ着くと、さっそくダンジョンへ向かう。

ステータスSSに加えて最強のカタナまであるのだ、どんなモンスターが相手でも負ける気がしなかった。


ダンジョンに入ってしばらく進むと、壁や床のいたるところに穴が空いていた。

大きさはショウがギリギリ通れないぐらいで、中をのぞいてみると真っ暗だった。


「モンスターの仕業かな?」


そうは言っても穴を空けるモンスターなど沢山いるので、あまりいい情報ではなかった。

警戒して奥へ進むと、地面からかすかに振動を感じた。

振動がだんだん大きくなる、どうやらショウのほうに何かが近づいているようだ。

ショウはモンスターの襲撃に備えていたが、急に振動が止まった。

あたりに静けさが戻る、いったい何だったのだろう。

ショウが歩き始めようとしたその時、急に足元からモンスターが飛び出してきた。

大きく開いた口の中に円形に並んだギザギザの牙が見えた。

ショウは急いで飛んでかわすと、モンスターめがけてカタナを振ろうとした。

だがそこにはもうモンスターの姿はいなかった、ショウは一瞬だけ見えた姿でモンスターの種類に見当をつけていた。


「あれは確か、ロックイーターだったっけ?」


蛇のような細長い体に、岩のような硬い皮膚で全身を覆っているモンスターだ。

地面の中を岩を食べながら進み、冒険者の足元や横の壁から襲い掛かってくる。

目や鼻はないが、代わりに大きな口がついている。

その中にはショウが先ほど見たような円形に並んだギザギザの牙を持っている。

間違いないだろう。


ショウはカタナを手にあたりを警戒する、壁からは距離を置いて立っていた。

こうすれば足元だけからしか襲ってこないはずだ。警戒していれば出てきた所を倒せるだろう。

ショウの予想通り、ロックイーターはショウのすぐ後ろの地面から飛び出してきたた。

振り向きざまにカタナを振るい、地上に出ている部分を切りつける。

体を切断されたロックイーターは灰になり消えてしまった。


「一撃でも当てれば倒せるみたいだな」


それからしばらくして、また振動が伝わってきた。

ショウはカタナを手にいつ飛び出してきてもいいように警戒する。

音が止まった次の瞬間、なんと天井からロックイーターが落ちてきた。

地面から出てくるとばかり思っていたショウは一瞬だけ反応が遅れる。

後ろに飛んでかわすと、目の前すれすれを落ちていくロックイーターの体を思いきり蹴り飛ばした。

まるで岩を砕くような音を立てた後、ロックイーターが飛んでいく。

壁に当たると灰になって消えてしまう、どうやら倒してしまったようだ。


「待つしかないのは面倒だな」


何かいい方法はないだろうか、考えながら奥へ進むことへした。

進んでいるといい方法を思いつく、ちょうどいい具合にかすかに振動が伝わってきた。

ショウは振動が収まると同時に、地面を全力で踏みつけた。

ショウを中心に地面に衝撃が走ると、少し離れた場所でロックイーターが地面から飛びだしてきた。

ショウは地面から飛び出してきたロックイーターめがけてカタナを振るい、その体を切断する。

真空刃を飛ばせるショウにとっては距離など問題ではなかった。


「良かった、予想が当たったみたいだな」


ショウは目も耳もないロックイーターがどうやってショウを捕捉しているか疑問だったのだ。

音でも視覚でもないとすると、振動で判断していると判断したのだ。

ショウの予想通り振動に対して敏感だったようで、大きな衝撃を与えると混乱して地面から飛び出てきたのだ。

攻略法がわかればあとは簡単だった。

振動が止まった時に思いきり地面を踏みつける、地面から飛び出してくればカタナで切り倒し、飛び出してこなければ天井から出てくるところを待って切り倒した。

このダンジョンでも真空刃は大いに役立った。

どれだけ距離が離れていようが、問題なく倒すことができたからだ。


結構な数を倒したところでようやく最深部へと着いた。

さっそくボスを探すことにしよう。


「なんだこの穴?」


最深部にも床や壁などいたるところに穴が空いていた。

だがそのどれもが大きい、ショウが立ってはいれるほどの大きさだった。

もしかするとボスはとんでもなくでかいんじゃないだろうか・・・


ショウの嫌な予感は当たってしまった。

まるで地震のように地面が揺れている、今までとは比べ物にならない大きさだ。

揺れが収まった時、ボスが姿を現した。

ロックイーターと同じ姿だが、大きさが段違いだ。

地面から出ている部分だけでもショウの5倍はあった。

口の大きさも段違いで、ショウなど丸のみにできるだろう。


ショウはボス目がけてカタナを振るう、真空刃で切断してやるつもりだった。

だが真空刃は出なかった、ボスが口を大きく開けてショウを丸のみにしようと迫る。

ショウは慌ててボスの攻撃を避ける、一体どうしたというのだろう。

悩んでいても仕方がない、ショウは地面に消えていくボスの体を斬りつける。

ダメージは与えたが浅い、地中に完全に逃げられてしまった。


ボスが潜った後、不気味なほどの静けさがあたりを包んだ。

地面を移動しているのだろうか、それすらもわからない。

あれだけの巨体が動けば少しぐらい音が出ると思うのだがいったいどういうことだろうか。

ショウが警戒していると、上からボスが降ってきた。

恐らく以前空けた穴を通って、音を出さないようにしたのだろう。

ショウは地面に潜っていくボスの体を斬りつける、だがまた逃げられてしまった。

このままでは埒が明かない、なにかいい方法はないだろうか。

ボスの攻撃をかわし、地面に潜る体を斬りつける。

何度かそれを繰り返したが一向に倒せる気がしなかった。


「うまくいくかわからないけどやってみるか!」


ショウはカタナをしまうと、ボスが飛び出してくるのを待つ。

壁から飛び出してきたボスの攻撃をかがんでかわすと、すぐにその体をしたから全力で殴る。

岩のような皮膚が崩れ落ち、ボスの巨体が宙を舞う。

ショウはボスの尻尾の部分を掴むと、振り回しその体を何度も壁にたたきつけた。

岩同士がぶつかるような音がダンジョンに響く、しばらくするとボスは動かなくなってしまった。


灰にならないところを見るとまだ死んでいないようだ。

ショウは地面に横たわるボスの体を何度も斬りつけた。

10回ほど刀を振るい、ようやくその巨体を切断できた。

ボスの体が灰になり消えていく、やっと倒せたようだ。

レアドロップ[岩虫の皮膚]を手に入れた


ショウは地面に座り息を整える、倒すことはできたがなぜ真空刃が出なかったのだろう。

レベルが上がりすぎたのだろうか、疑問に思いステータスを開くとすぐにその答えがわかった。


「魔力が少ないな・・・」


ショウの魔力はレベルマイナス999の時に1万以上あるのだが、その魔力が今は50程しか残っていなかった。

レベルが上がっているとはいえいくらなんでも少なすぎる。

どうやら真空刃を撃つたびに魔力を消費していたようだ。


「どうにか使い分けできないかな・・・」


今は無意識に魔力を使って真空刃を出している、真空刃を使う時と使わない時の使い分けができればいいのだが。

それは次のダンジョンでの課題にするとしよう。

ショウは外へ出ると宿へ向かった。


宿に入るとスライムちゃんをすぐに抱きしめる。

今日はスライムちゃんに弱音を吐いてしまった。


「英雄の残した武器は凄いけど扱いが難しそうだよ、俺にちゃんと使いこなすことができるかな・・・」


スライムちゃんは励ますように体を押し付けてきた、彼女(?)の期待に応えるためにも頑張るとしよう。



翌朝

いつものようにステータスを確認する。

ショウのレベルはマイナス999、スライムちゃんも呪いにはかかっていない。


「スライムちゃんとうとうレベル700超えちゃったね」


スライムちゃんのレベルは702、ほとんどのステータスがSSになっていた。

恐らく世界最強のスライムだろう。

ショウはスライムちゃんを箱へ戻すと、宿を出てギルドへ向かう。

ギルドで聖女に次の町へ行くと伝言をお願いし、[岩虫の皮膚]も届けてもらうようにお願いした。


次の目標はレベル82のダンジョンだ。

今度のダンジョンでは真空刃の使い分けができるように意識してやってみよう。

そんなことを考えながら走り出すのだった。

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