表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/68

レベル75のダンジョン〜英雄の愛刀が強すぎた件〜

ショウはテントの中で目を覚ました。

スライムちゃんを箱から出してステータスを確認する、呪いにはかかっていない。

ショウのレベルもマイナス999になっていた。

ステータスの確認が終わると、スライムちゃんを箱へ戻しテントをしまう。

とりあえず、聖女にこれからのことを相談しに行くか。


ショウは記憶を頼りに聖女の部屋を目指す、騎士たちはショウを見ると通路の端に避けてくれた。

聖女の部屋の前へ着くと扉をノックする。


「ショウ様ですね〜入っていいですよ〜」


扉の向こうから眠そうな聖女の声が聞こえた、スライムちゃんの気配でわかるのだろう。

ショウが中へ入ると聖女はまだベッドの中にいるようだ。


「おはようございます〜」


眠そうな声をしながら聖女が上半身を起こす、なぜか彼女は裸だった。

いつもより少しだけボサボサのピンクの髪が朝日を受けて輝いている。

これで眠そうな顔でなければ絵画にでもなりそうだな、そんな感想を抱いた。

聖女はショウを見た後に自分の胸に視線をやる、彼女の顔がみるみるうちに真っ赤になった。

どうやらやっと状況を飲み込めたようだ。


「ショウ様いけません、まだ明るいですし心の準備が・・・」


聖女がシーツで顔と体を隠す、今が夜で心の準備ができてても何もしないけどな!

とりあえずショウは一旦外へ出ることにした、着替えが済んだら呼んでもらおう。


しばらくすると扉が開いていつもの格好の聖女が出てきた。


「命を救ってもらった上に裸を見られた以上、ショウ様には責任をとってもらいますからね」


冗談を言う彼女の耳はまだ赤かった、相当恥ずかしかったのだろう。

ショウは部屋の中へ入ると早速これからのことを相談する。


「とりあえず俺は何をしたら良いんだ?魔王の居場所が分かってるなら倒しに行くけど」


人間側の最高戦力と言われたが、具体的にどんなことをすれば良いのか聞いていない。

スライムちゃんが呪いにかからなくなるならすぐにでも魔王を倒しに行くのだが・・・


「それが、まだ魔王の居場所は分かっていないのです。なのでショウ様はしばらく自由にしてくださって大丈夫ですよ。私は調べ物で城から動けそうにないですから。まぁショウ様が着いてこいというのであれば私はどこにでも行きますけども」


どうやら復活したという情報はあるが居場所までは分かっていないようだ。

自由にして良いと言うことなのでダンジョンにでも向かうか。


「じゃあ俺はダンジョンにでも行ってくるよ、英雄のカタナの切れ味も試してみたいし。スライムちゃんが呪いにかかったら戻ってくるつもりだけど、そっちから連絡したい時はどうしようか?」


彼女も城に居るようだしスライムちゃんが呪いにかかったら戻ってくるとしよう。


「でしたらギルドを通してどの町へ行くか連絡をお願いします。ショウ様にはこれをお渡ししておきますのでギルドに言えば、すぐに対応してもらるはずです」


聖女から王国の人間であることを証明する手形をもらった。

ショウは手形をしまうと早速ダンジョンがある町を目指す。


「なんか、久々にダンジョンに行く気がするなぁ」


冒険者を続けたかっただけなのに何だか面倒なことにまきこまれてしまったな。

そんなことを思いながら走り続けるのだった。


城を出て2時間ほど走りつづけ、目的のダンジョンがある町へ着いた。

魔王との戦いの練習の意味も込めてモンスターの情報は無しで潜ることにしよう。

ショウはギルドへ立ち寄らず、すぐにダンジョンへ向かった。


ダンジョンに入ってすぐに違和感に気づいた、他のダンジョンに比べて天井が高い。

ダンジョンの奥からは大きな羽音が聞こえてきた、どうやら空を飛ぶモンスターがいるようだ。


「空を飛ぶモンスターか、カタナの威力を試すには良い相手だな」


ショウはカタナを抜くと警戒しながら奥へ進んだ。

しばらくすると羽音が近づいてきた、最初の獲物が現れたようだ。

モンスターは赤い鱗を持った竜だった。

竜と言ってもその体は小さく腕の代わりに翼が生えているような見た目だった。

確かワイバーンと呼ばれているモンスターだ。


ワイバーンはショウに気づくと急降下してきた。

開いた口からは鋭い牙が並んでいるのが見える、どうやら噛み付こうとしているようだ。

ショウはワイバーンを受け止めようとカタナを正面で構える、ワイバーンがカタナに突っ込んできた瞬間驚くことが起きた。

ワイバーンの体に何の抵抗もなくカタナが入っていく、体を両断されたワイバーンは地面に落ちる前に灰となって消えてしまった。

ショウはカタナを振っていない、ただ受け止めただけで倒せてしまった。

試しに近くの岩にカタナをゆっくりと振り下ろしてみると、何の手応えもなくキレイに岩を切断してしまった。


「とんでもない切れ味だな」


少し力を込めて振れば真空刃が飛び、遠くの壁や天井にまで切り傷をつけることができた。

このカタナがあればどんなモンスターでも敵ではないだろう。


「いったい何でできてるんだろうな」


恐らく何かのモンスターのドロップアイテムを利用しているのだろうが、ショウにはどんなモンスターなのか見当すらつかなかった。


カタナを抜いたまま奥へと進むと、ワイバーンが今度は3体の群れで襲いかかってきた。

ショウは地上に立ったまま空中のワイバーンめがけてカタナを振るう。

普通ならば何も起きないがショウの持っているカタナは別だ。

飛んでいた3体のワイバーンの体が切断され灰となり消えていく。

3体が飛んでいた後ろの壁にも横一線に傷がついていた、どうやら真空刃はワイバーンを貫通したようだ。


「このカタナがあればレベル上がっても大丈夫な気がしてきたな・・・」


ショウの予想は的中した。

レベルがあがることも気にせずに最深部へ向かう途中に飛び出してくるワイバーンを次々と斬り落としていった。

地上に立ったまま空中のワイバーンめがけてすこし力を込めてカタナを振るう、それだけで倒せてしまうのだ。

ダメージを負うことはおろか、疲れることすらなかった。


ショウは危険を感じることなく最深部へとついた。


「ボスなら一回ぐらい耐えてほしいな・・・」


今まで出てきたワイバーンは文字通り瞬殺だった。

ボスであれば少しぐらい耐えてくれるだろう、そんな期待をしながらボスを探した。

探し始めてしばらくすると、開けた場所に出た。

あたりを見渡すと、至るところにすすのようなものがついていた。

ショウが不思議そうに眺めていると、奥からいきなり炎が迫ってきた。

ショウは急いで岩の影に身を潜め炎を躱す、あたりを熱気が包み込んだ。

炎が飛んできた方向を確認すると、そこには竜がいた。

体はワイバーンの3倍ほどあり、この竜にはちゃんと腕があった。

赤い鱗を全身に身にまとい背中には大きな翼が生えていた。

唸るようにしてショウを威嚇している、鋭い牙の間からは炎が漏れていた。

どうやらこいつがボスのようだ。

ショウは岩陰から飛び出すと、遠くのボスめがけて縦にカタナを振るった。

ショウがカタナを振るうと同時にボスも炎を吐いてきた。

だが炎がショウに当たることはなかった、真空刃は炎を切り裂くとそのままボスの体も両断してしまった。

2つに分かれたボスの体は灰となり消えてしまった。

レアドロップ[赤龍の鱗]を手に入れた。


「ボスですら一撃か・・・本当にすごいな」


不意打ちで危ない場面があったとはいえ、あまりにも楽に攻略できてしまった。

ショウのステータスにこのカタナがあれば倒せない敵などいないのではないだろうか・・・

出口へ向かう途中でも何度かワイバーンに襲われたが、その度に真空刃で斬り落としていった。


ダンジョンの外へ出ると、ショウは宿へと向かった。

テントもあったが聖女がショウを探すのは止めた今、住民や冒険者に追われる心配は無さそうなので宿に止まることにした。


宿にはいると早速スライムちゃんを抱きしめる、久々に二人でゆっくり過ごせそうだ。


「しかしあのカタナはすごい強さだったね、これなら魔王でも簡単に倒せそうだよ」


ショウはスライムちゃんに優しく話しかける、スライムちゃんに呪いをかけているのが魔王ならば容赦はしない。

早く魔王の居場所がわからないかな、そんなことを思いながら眠りについた。


翌朝

ショウのレベルはマイナス999、スライムちゃんも呪いにはかかっていなかった。

スライムちゃんを箱に戻すと、ショウはギルドへ向かった。

聖女との約束通り次の目的地を聖女に伝えるようにお願いした、ついでにドロップアイテムの赤龍の鱗も送ってもらうことにした。

手形を見せるとすんなり対応してくれた、色々使い道がありそうだ。

連絡も終わったことだし早速次のダンジョンへ向かうことにしよう。

ショウはレベル80のダンジョンがある町を目指し走り出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=420301465&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ