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幕間〜聖女の正体と呪いの秘密について知って面倒なことに巻き込まれた件〜

ショウは自分がかかっている呪いのことを聖女に打ち明けた。


呪いのせいでパーティを追い出され死のうとしたこと

その時に偶然今の強さを手に入れたこと

自分の強さはその呪いのおかげであること

スライムちゃんに経験値を吸ってもらって強さを保っていること

前回スライムちゃんが呪いにかかった時は聖水のあるダンジョンで解いたこと

そして今回そのダンジョンに行ってみたら聖水が枯れていたことも伝えた。


「というわけでさ、俺のこの呪いは解かないでおいてほしいんだ」


聖女はショウの話を最後まで黙って聞いていた。

話し終わると聖女がショウに抱きついてきた、どうやら彼女は泣いているようだ。


「そんなことがあったなんて、私知らなくて、ごめんなさい」


涙を流しながら謝罪している聖女を見て、打ち明けたのは正解だったと思った。

事情を理解してもらえたのであれば、無理やり呪いをとこうと追いかけ回されることもないだろう。


「まぁ分かってもらえたならいいよ。そういえば君は俺やスライムちゃんの呪いについて聞いたことはないかな?」


ショウは魔法を唱え、自分のステータスを聖女に見せる。

聖女はショウから離れ涙を拭うと、ショウのステータスを確認し始めた。


「レベルはマイナス999、ステータスは・・・こんな強さ見たことがありません。勇者どころか伝説の英雄の強さですね」


聖女は驚きのあまり目を見開いていた。

ショウが知っている英雄はここまでの強さではないが、彼女の知っている英雄はショウと同じような強さらしい。


「呪いの詳細についてはこれだよ。スライムちゃんのかかっていた呪いは魔族の敵って名前だったな」


ショウの呪いの詳細を見た後、聖女は少しだけ考え込むような仕草をしていた。

なにか心当たりがあるのだろうか。


「スライムがかかっていた呪いについては聞いたことがあります。人間と仲良くしたモンスターや、人間の役に立ってしまったモンスターがかかってしまう呪いですね。魔王がモンスターの裏切りを防ぐためにかけると言われています。そしてショウ様の呪いについてですが・・・」


そこで彼女は口を閉ざしてしまった。

スライムちゃんの呪いは魔王が原因ときたか。

それが分かっただけでも収穫だが、ショウの呪いについても何か知ってそうだな。


「なぁ聖女様。何か知っているなら教えてほしい。自分がかかっている呪いのことなんだ、どんな些細な情報でもありがたい」


何かの拍子で解けてしまってはたまらない。

解かないでおくためにも情報は必要だった。

聖女はしばらく考え込んでいた、そんなに話しにくい内容なのだろうか。

決心が着いたのだろうか、ようやく彼女が口を開いた。


「それについて信じてもらうために、ショウ様には私の正体をお話しなければなりません。長くなると思いますので、一旦外へ出ましょう。そこで改めてお話いたします」


聖女の正体とはなんだろうか?

聖女が立ち上がり出口へ向かっているところを見ると、どうやら続きは外じゃないと話してもらえそうにないな。

スライムちゃんを箱へ戻し、二人で外へ向かった。


ダンジョンの外へ出ると、そのまま宿へ向かった。

部屋に入るとショウは椅子に座り、聖女はショウの目の前のベッドに腰掛ける。

ショウが尋ねる前に、聖女の方から話し始めた。


「ショウ様がかけられている呪いは、過去に魔王を討伐した伝説の英雄と同じ呪いです」


伝説の英雄と同じ呪いだって?なぜ彼女がそんなことを知っているのだろうか。


「なんでそんなことがわかるんだ?それにスライムちゃんの呪いを解いた魔法についても聞きたいことがある。俺は以前呪いを解くために色々したけど、君が使った魔法は一度も見たことも聞いたこともない。あれにもなにか秘密があるのか?」


あの魔法を覚えることができれば、スライムちゃんがいつ呪いにかかっても大丈夫だ。

覚えることができるのであればぜひとも教えてほしかった。


「それは・・・私が王家の人間、現国王の娘だからです。王家には伝説の英雄の書物が多く残ってあります。その中に反転の呪いについての記述もありました。スライムの呪いを解いた魔法については王家の者のみ使える秘術ですから、見たことも聞いたこともなくて当然でしょうね」


彼女はそれから自分の正体について話をしてくれた。

聖女と呼ばれる彼女の正体は、現国王の次女であり王位継承権第2位の王族であること。

王族の掟により、18歳になった王族はその身分を隠し冒険者として旅に出ること。

奇跡と呼ばれる程の高位の魔法が使えるのは、王家に伝わる秘術のおかげだということ。

にわかには信じられなかったが、今更嘘を着く理由もないだろう。

それにショウには彼女が嘘を着いているようには見えなかった。


「なるほどな、つまり俺は伝説の英雄と同じ境遇なわけか」


ショウは伝説の英雄が今の自分と同じ呪いにかかっていたということに驚いたが、それ以上にスライムちゃんの呪いを解く魔法を覚えることができないことがショックだった。

それでは呪いにかかる度に彼女に会いに来なければならないのだろうか。


「その伝説には続きがあるのです。英雄が現れるとき世界に再び脅威が迫るとも書いてありました。恐らく魔王の復活のことでしょう」


英雄の次は魔王ときたか、呪いを解いてもらうだけのつもりだったが何やら嫌な予感がしてきたな。

嫌な予感というのは的中するものである、聖女がショウの手をガッチリと掴んできた。


「ショウ様、魔王と戦うためにあなたのお力をお貸しください」


聖女が頭を下げている、正直言うとショウは魔王なんぞに興味はなかった。

ただスライムちゃんと旅を続けて、ダンジョンが攻略できればそれでよかったのである。

だがスライムちゃんの呪いを解いてもらった上、これからもお世話になる可能性が高いのであれば、彼女の願いを無下にするわけにはいかないだろう。

それにスライムちゃんの呪いについて、聖女が興味深いことを言っていたことを思い出した。


「なぁ聖女様、スライムちゃんの呪いは魔王がかけているっていうのは本当なのか?」


それが本当であれば、少しはやる気が出るというものだ。

魔王だろうが何だろうが、スライムちゃんを傷つけることを許すわけにはいかなかった。


「それについては王家に伝わる書物にそう書いてあったとしかお答えできません。私も実際に見るのは初めてですから」


伝説のことについて確証を得るのは無謀だったか。

どちらにせよ魔王とやらを倒してみるしか無いか、それまでは呪いにかかる度に彼女のお世話になるしか無いな。


「わかった、引き受けるよ。スライムちゃんのためにね」


聖女はショウの手を掴んだまま笑顔で飛び跳ねている、よほど嬉しかったようだ。

今まで変な人だと思ってたけど、離してみると以外に良い人だったな。


「ありがとうございます!それでは早速父上に報告に行きましょう!」


そう言うと、聖女はショウの返事も聞かずに強引に手を引いて宿の外へと連れて行く。

宿の外では見慣れない立派な鎧を身に着けた騎士が、これまた立派な装飾を施された馬車と共に待っていた。


「姫様、そちらの男は?」


騎士はショウを見ると警戒したのか腰の剣に手を掛ける。

ってか姫様って・・・。


「こちらはショウ様。私の命の恩人で魔王討伐に力を貸してくださるお方よ」


聖女の紹介を聞いた騎士はすぐに敬礼の姿勢をとった、どうやら彼女は部下から信頼されているようだ。


「大変失礼いたしました!ご無礼をお許しください」


警戒するのは無理もないだろう、俺だって逆の立場ならそうするさ。

聖女が騎士に何やら耳打ちをしている、ショウは彼女に手を引かれ二人で馬車に乗り込む。

二人が乗り込んだのを確認すると、先程の騎士が馬車を走らせだした。


「なぁ、一体どこへ向かっているんだ?」


馬車に揺られながら目の前の聖女に尋ねる。

父上にご報告しに行く、ということで大体の予想は着いていたが念の為確認してみた。


「私の父上、つまり国王がいる王国に向かっています。魔王討伐にあなたが加わったことはぜひとも教えておきたいですから。それにショウ様に素敵な贈り物ができると思います」


聖女はニコニコと可愛らしい笑顔を浮かべている、返事を聞かずに連れていくあたり強引な性格は元からなようだ。

これからどうなるのだろうか、またスライムちゃんとゆっくり冒険することができるのか。

色々なことを考えていたが、昨日から眠っていないこともあり限界が来てしまったようだ。

ショウは馬車に揺られながら眠りに落ちていった。

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