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レベル65のダンジョン~空中の敵を倒せるようになった件〜

レベル65のダンジョンがある町へ着いた。

ギルドへ向かい情報を集めることにしよう。


このダンジョンではどうやらハーピーが出るようだ。

顔から胸までは人間の女性だが、それ以外は鳥のモンスターだ。

空中を自由に飛びまわり、急降下して鋭い鈎爪で襲いかかってくるらしい。

ボスは特殊な能力を持っているという事だ。

なんでもその歌声を聞いたものは深い眠りに落ちてしまうらしい。


「状態異常か、前の石化みたいに効かないといいんだけど」


神官の魔法以外防ぐ手段はないという事なので、ショウは対策をとれずダンジョンへ向かうことになった。


入ってすぐに気づく、いつものダンジョンに比べ天井が高い。

遠くからバサバサと羽音が聞こえてくる、ハーピーがいるのだろう。

空中の相手とどうやって戦おうか考えながら奥へと向かった。


少し進むと、バサバサという羽音が近づいてくる

音がする方を見ると、ハーピーがショウの方へ向かってきている。

カタナを抜くと、鋭く光る鉤爪をショウに向けて急降下してきた。

ショウは向かってくるかぎ爪を避けると、翼めがけてカタナを振るう。

片翼を失ったハーピーは飛べないようだ、地面で白い翼を動かしバタバタともがいていた。

大きく開いた口の中に尖った歯が並んでいるのが見えた。

倒れたハーピーの首を斬り落とすと、灰となって消えてしまった。

ドロップアイテム[ハーピーの翼]を手に入れた。


「降りてきたところを狙えば簡単だったな」


対処法を見つけたと思ったが、甘かったようだ。

2体目のハーピーは地面に降りてこない、空中を飛びながら羽をショウに向けて飛ばしてきたのだ。

飛んできた羽は地面に突き刺さる、相当な切れ味だろう。


「降りてこないならこっちから行くしか無いか」


ショウはカタナをしまうと、空中のハーピーめがけて飛び上がる。

驚いた表情をしているハーピーの頭にかかとを叩き込む。

落ちた衝撃で地面に穴を開けたハーピーはそのまま灰となって消えてしまった。

普通はそんなに飛ぶことはできないが、ステータスオールSSはやはり常識外だった。


「レベルが上がるとこれは無理だろうから、なにか考えないとな」


カタナを投げるわけにはいかないし、どうしたものか。

ショウが悩みながら奥へと進んでいると、ハーピーが急降下してきた。

迫ってくる足を掴み地面に叩きつけて倒す、悩んでいて真剣に相手をする余裕がなかった。


「そうだ!投げるものならいくらでもあるじゃないか」


ショウは落ちている石をいくつか拾いながら奥へと進んだ。

しばらくすると、ハーピーが3匹ほど飛んでいた。


「ちょうどいいや、あいつらで練習しよう」


ショウは飛んでいるハーピーめがけて石を投げつける。

一投目は外れてしまった、天井に当たった石は轟音とともに大穴を開ける。

二投目は翼に命中した、回転しながらハーピーが地面に落ちる。

三投目でようやく頭に当たった、当たった瞬間にハーピーは灰になって消えてしまった。

残りの一匹になかなか当てることができない、案外難しいものだ。

ショウは持っていた石を殴り、砕いて小石にしていく。

2センチ四方の小さな小石を片手に持てるだけ持つと、ハーピーめがけて投げる。

いくつか命中したようで、ハーピーが地面に落ちてきた。

体には小さな穴がいくつもあいている。

地面で転がっている2匹にとどめを刺す。


「倒すまではいかないけど、落とすだけなら十分な威力みたいだな」


いつまでできるかわからないが、この方法で倒すとしよう。

最深部につくまでに何度か襲われたが、その度に小石で撃ち落としとどめを刺していく。

飛べなくなったハーピーは驚くほど弱かった。


「ここが最新部か、確かに歌が聞こえるな」


遠くの方からかすかに歌が聞こえてくる、人間の言葉ではないのでおそらくボスだろう。

ショウはいつ眠くなるかわからないので、慎重に歩みを進める。


「眠気を感じたらすぐに逃げないと、いくらこの体でも寝てしまったら意味がないからな」


ショウは一人なので、寝てしまった場合他の冒険者に助けてもらう以外に方法はない。

寝てる間にボスに殺される可能性のほうが高いだろう。

歌声が近くなってきた、眠気はまだ来ない。

ラミアの時のようにショウには効かないのだろうか?

それなら好都合だ、ショウはカタナを抜き奥へ進む。

ようやくボスとご対面だ。


ボスは普通のハーピーと同じ姿だったが、翼の色が白ではなく銀だった。

岩にとまりきれいな声で歌っている、見ているだけでは凶暴なモンスターには思えない。

ショウの姿に気づくと、歌うのを止めて飛び立つ。

空中に飛び上がりショウを見下ろすボス。

ショウが小石を投げようとした瞬間、腕に衝撃が走り小石を落としてしまう。

ボスは羽を飛ばしていない、ショウが不思議に思っていると今度は体に衝撃が走った。


「何かを飛ばしているのか!?」


たまらず距離を取る、だが見えない攻撃は止まらない。

一体どういうことなのだろうか。

攻撃を受けているうちにあることに気づいた。

ハーピーの正面にいることと、翼を大きく羽ばたかせたときしか攻撃が来ないことだ。

ショウはこの攻撃は何なのか予測がついてきた、確かめるためすぐに近くの岩を蹴り壊し土煙を上げる。

ハーピーが翼を大きく羽ばたかせた瞬間に、ショウの目の前の土煙が切り裂かれた。


「やっぱりか!」


ショウの予想通りハーピーは真空の刃を飛ばしていたのだ。

種が分かってしまえば避けるのはたやすい。

翼を羽ばたかせるタイミングに合わせて動けば、当たることはなかった。


だがすぐに新しい問題が出てきた。

避けることはできたが、反撃することができない。

石を投げようにも、その石を拾う暇などなかった。

真空の刃を避け続けているうちに、ショウの頭に一つの疑問が浮かぶ。


『ボスにできるのであれば自分でもできるのではないだろうか』


試して見る価値は十分あるはずだ。

ショウは空中のボスめがけて全力でカタナを振るう。

だが真空の刃は出ない、虚しく空を斬る音だけが響く。

その間にもボスは真空の刃をこちらへ飛ばしてくる一体どうやているのだろうか?

切れ味の無さそうな翼で飛ばすことができるのだ、そこに何か違いがあるかもしれない。

ショウはカタナの刃の方ではなく峰の方をボスに向けて全力で振ってみた。

刃の方とは違い空気を押し出す手応えを感じた、それと同時にボスの後ろの壁に大きな穴が空いた。


「成功だ!」


その後も何度か失敗したが、徐々にコツを掴んでいった。

狙いはいまいちだが威力は十分だろう、空中のボスめがけていくつも刃を飛ばす。

その内の一つがあたり、ボスがよろめきながら落ちてくる。

ショウはこのチャンスを逃すまいと近づき、今度は本物の刃で斬りかかる。

翼はかなりの硬さだったのか、金属同士がぶつかるような音が響いた。

それでもなんとか斬り落とすと、飛べなくなったボスがその翼と鉤爪で襲いかかってきた。

だが遅い、飛べなくなったボスなどもはや敵ではなかった。

攻撃を避けて首を斬り落とすと、灰になり消えてしまった。

レアドロップ[鉄の羽]を手に入れた。


「状態異常に対してはほとんど無効化するみたいだな」


レベルが高ければ効かないという話は聞いたことがないが、実際効かないのだからそうなのだろう。

ショウはカタナをしまうと出口へ向かう、途中現れたハーピーは真空刃の練習台になってもらった。

ボスのようなときの威力が出なかったところを見ると、だいぶレベルが上がっているようだ。


宿につくとスライムちゃんを抱きしめる。


「なんとかしないとなぁ」


スライムちゃんを抱きしめながら考える。

技術を磨き能力以外の強さも身についてきたが、それでもまだ不安だった。

今回のダンジョンでも出口付近では真空刃を出すことができなくなっていた。

レベルが上がる度に能力が下がる、この弱点をどうにかしない限りボスを倒せても出ることができず死んでしまうだろう。

目を閉じ考えているうちにいつの間にか眠ってしまった。


翌朝

ショウもスライムちゃんもステータスはバッチリだ。

スライムちゃんに至ってはレベルドレインと守備力以外のステータスもSになってしまった。


「これならモンスターにも負けないんじゃないかな?」


ボスを倒したあとに経験値を吸ってもらうのもいいかもしれないな。

そんなことを考えながら宿を出た。

町はいつもどおり静かだ、聖女とやらは追いついていないのだろう。

追いつかれないためにも急いで町を出る、今度の目的はレベル67のダンジョンだ。

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