ホーム
ピーっという音が耳障りで目が覚めた。
どうやら汽笛の音のようだ。
そんな自分の考えに違和感を感じ、飛び起きた。
さっきまで僕は自室で勉強していた。
もし寝落ちしていたとしても、家で机に突っ伏して寝ているはずだ。
それに、僕の家の近くに駅は無い。
知らない間に移動している。
寝ている間に僕自身が移動したということは無いだろう。なぜなら、僕は寝ぞうがいいと、自負しているからだ。これを友人に言うといつも笑われる。自慢出来る事があるのはいい事なのに…
そんなことはどうでもいい。
問題はどうして僕がこんな見知らぬ場所にいるかだ。
周りはひたすら白く、駅のホームみたいになっていた。
異様な光景に僕は怖くなった。
すると、遠くに女の子が立っているのが見えた。
近寄って話しかけると、女の子は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに無表情になった。
女の子は「こっちよ」と言い僕の手を引っ張った。
するとどこから現れたのか、汽車が現れた。
女の子は僕を汽車の中に入れた。
すると女の子は微笑み、「ごめんなさい。私たちの手違いでこっち側に来てしまったみたいで。」
女の子は僕の手を強く握って離した。
すると、汽車のドアが閉まった。
その瞬間女の子の背中に純白の羽が現れた。
そして僕は思い出した。
勉強していた僕の部屋に空き巣が入り、運悪く鉢合わせた僕はその空き巣に殺されたのだ。「あそこは、あの世への駅だったのか」
そう僕が呟いた時には、ホームは見えなくなっていた。