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奮戦、旭日傭兵団

 ラセツ達、旭日きょくじつ傭兵団は疲弊していた。山賊ドロスの酔狂によって、一斉攻撃は避けられ4対4の連戦になったのはよかったが、3戦目ともなると さすがに満身創痍まんしんそういであった。



 傭兵は戦うのが仕事、山賊は略奪するのが仕事なので、同数で戦えば女といえども傭兵が勝つ。


 そもそも、賊というものは、村の不良のなれの果てのようなもので、弱者をいびったり 楽して儲けたいなどと考えてる連中ばかり。

 当然まともに剣技を習ったこともないので、職業戦士には敵う筈がない。



 辛い訓練や筋力向上のためのトレーニングをやり通せる者なら山賊にはならないし、逆に徒党を組んで弱者を襲う山賊が戦闘訓練にいそしむわけがない。

 根性もないくせに悪さをする山賊達は、各国で忌み嫌われ、人権はなく 問答無用・斬り捨て御免となっていた。




 ラセツ達が肩で息をしているのと対照的に、山賊の後詰ごづめは酒を飲みながら3戦目の勝者予想で賭けをして盛り上がっている。


 首領ドロスは、冬に似つかわしくないミニスカートをはいた女に酌をさせながら、上機嫌で隣に座る男に話しかける。

「なかなか強い女子おなごだが、次は斧使いのギラドも参戦するので、いよいよケリがつくと思います」


「ほほう」


「ギラドは、元々 木こりでしてね。ウチでは一番の力を誇るんですわ。ちょっとでも隙を見せたら、キツい一撃で御陀仏・・・いや、売り物にするから、手加減はするかな」


「だが、傭兵達の連携はなかなかのものだ。俺は傭兵団の勝ちとみた」と美女をはべらせた男は優雅に酒を飲む。



 彼らが冬の寒空の下で飲む酒は、大和伝来の熱燗あつかんで、体が温まり寒風が心地いい。



 疲れ果てているラセツ達だが、まるで見世物扱いなのを知って、その怒りが闘志へと変わり、力がみなぎってきた。


 ただ、冷静に分析すれば4戦目5戦目で倒れることはわかっているので、眼前の敵を倒したら強行突破して大将首をあげるつもりで仲間に指示を出していた。


 

 そして3戦目、筋肉隆々の斧使いギラドを先頭に、小剣を構えた山賊達が襲い掛かる。


 ラセツはギラドに対して鋭い突きを繰り出し、わざと外して、慌てて反撃に備えて二本の剣を構える演技をした。

 好機とばかりに、力自慢のギラドは剣ごと吹き飛ばそうと、渾身の力を込めて大きく振りかぶった。

 当然、胴は がら空きになり、そこへ アテネが槍で一突きして絶命させた。 


 真後ろに控えていた山賊の一人は状況が見えないままで、ギラドが倒れると同時に その死を知ったが、倒れざまにラセツも一緒に飛び出して斬りつけてきたので、自分も死ぬことを知った。


 残り二人は、情けなくも逃げようと背を向けたところを、芦間に袈裟斬りにされたり、アズサの鉄球で頭を潰された。



 あまりの鮮やかさに、宴をしている山賊達も一瞬沈黙してしまう。


 この機会チャンスを逃すまいと、ラセツは合図して、首領めがけて突撃体制にはいる。



 だが、作戦は瓦解した・・・。突撃前に山賊達の弓矢が多数飛んできて、彼女らの足に突き刺さった。足をやられては、満足に戦えないうえに逃走もできない。



「卑怯な!!騎士道精神は どこにいったの!?」と、ラセツはなじった。太股ふとももに刺さった矢は、動脈を外れていたが、出血が酷い。



 律儀に応えるドロス。


「あのさぁ、俺たちは山賊。騎士じゃあないんだよな。あんまり被害がでると困るから、遊びは終わりってことだよ、姉さん」


「一ついいことを教えてやるよ。この世は力がすべて・・・約束ルールを従わせる力がないなら、約束は簡単に破られるのさ」、と酒飲みに飽きて立ち上がるドロス。



「確かに。法律も国同士の条約すらも、力あるものに捻じ曲げられてしまうからな」と隣に座る男が同調した。



「やはり、貴族が言うと説得力がありますな」とドロスが相槌を打つ。



 歯噛みしながら、ドロスを睨む傭兵たち。



 が、彼女達は信じがたい光景を目にした。


 

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