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魔術師アウズンブラ

 宿に戻ったソドムとレウルーラが、心配して待っていた護衛達に嘘の説明で誤魔化していたころ・・・、東のハンドレッド伯領では主が帰還し、夜間にもかかわらず・・・謀臣である宮廷魔術師アウズンブラを緊急招集していた。

 大陸中央・竜王山脈の南にある小さな領土がハンドレッド伯爵の地盤である。


 街の名はエルドラド、外周を壁で囲った一般的な街で、その一角に小さなガランチャ城を構えている。


 新街道ができてからというもの、交通の要所ではなくなり、すっかり寂れてしまい訪れるものは少ない。



 ハンドレッド伯は、大戦でのドサクサで周辺村落を切り取り、多少領土は増やしたが、まだまだ無名の田舎貴族に過ぎない。



 領主は暗愚あんぐ、民は貧しく ずる賢い・・と散々な評判である。



 世間では、ソドム公爵のギオン公国のほうがはるかに格上なのだ。

 

 ギオン公国は領土こそ小さいが、連邦と帝国の間に入っての交易収入で相当潤っている。そして、最高位の公爵というのが、人々の印象を良くしているようだった。



    ―――――ガランチャ城――――


 エルドラドの街で最も大きい建物であり、堅牢な造りから領主の猜疑心の強さがうかがえる。街の壁を突破された時点で落城必至なのだから、外敵対策ではなく内乱に備えているのだろう。



 今宵は、戦時のように篝火かがりびがたかれ、城の内外は昼間のように明るかった。


 裕福とはいえない伯爵領のはずだが、意外にも城は豪奢で大理石が多用されたり、調度品どころかドアノブに至るまで高価な細工品だったり、金銀もふんだんに使っていた。



 いや、そのくらいなら想像に難しくない。



 民に重税をしいて、贅の限りを尽くしているのだ、と。



 だが、世間の評判と違い、この街の庶民の暮らしぶりはいいらしい。服は高級な絹を好み、宝石を身に着け、食べ物もいい。そして貧乏くさいギオンとは違って、街路は土ではなく煉瓦敷。


 夜の街は、連邦王都のように灯りが溢れ、酒場がにぎあう。


 加えて、ミニスカ無税をパクったとしか思えない・・・ハイレグ女性の多さとあでやかさも印象に残るだろう。




 ハンドレッド伯は自室で、好きなブランデーも控えて、今か今かと宮廷魔術師を待っていた。

 

 彼の部屋は城内一の豪勢さで、絵画や高級調度品はもちろん、宝物の数々が床に直置きになっており、それだけでも大陸の富豪上位に入るかもしれない。惜しむらくは、美意識の低さ・・・無造作に置かれた宝物は、雑然としていてガラクタに見えてしまうのだ。


 宝が溢れ、自室というより宝物庫なので、疑り深い伯爵は宮廷魔術師アウズンブラしか入れたことはなかった。


 

 厚みのある どっしりとしたドアをノックされ、伯爵は慌てて席を立ち 太り気味の体を揺らして駆け寄った。


「ああ!宮廷魔術師せんせい、夜分に申し訳ない!ささ、席につかれよ」そう言って自らの隣の席に誘導した。


 

 宮廷魔術師は、灰色のローブを着た30歳くらいの痩せ気味の男で、魔術師の杖に少し体重を預けながらヨロヨロと歩き、ゆっくりと席に着いた。元からの白い髪なのだが、痩せていることもあって、一見老人に見えなくもない。



 だが、頼りなさげな見た目に反して、ギラついた眼光が野心家の一面をうかがわせている。



 魔術師ながら才に恵まれず、爆炎魔法を扱えても、それだけで魔力を使い切ってしまう。付与魔法で魔法剣を作っても、永続効果とはいかず、数日の使用で魔力をチャージする必要のあるC級品しか作れないので、大貴族などでは雇ってくれず、かといって傭兵としても稼げない。


 彼にあるのは策謀の才のみ。


 一介の商人から男爵になったハンドレッドの噂を聞きつけて臣下になり、ずる賢い彼と共に、エリート魔術師や貴族を見返してやるために、様々な策を駆使して伯爵領を広げ、税収を上げてきたのだった。



 彼の政策で一番儲かったのが、竜王の縄張り無断開発。


 なにしろ何百年も手付かずだった竜王山脈の麓は、まさに宝の山。木材はもちろん、金銀・鉄などの資源も豊富で採り放題!


 北の悪魔王デーモンロードの縄張りすれすれに道を作れば、大口顧客である大和帝国がある。伯爵領では秘密裏に、巨万の富を得ることができたのだった。昨今では、開発村を10か所に増やし大々的に事業展開し、竜王が怒り狂って襲撃してくるまでの間、稼ぎに稼ぐ方針となっている。


 

 もし竜王が襲来しても、現地の出稼ぎ作業員が殺されるだけのことで、伯爵側は知らぬ存ぜぬを決め込むつもりだった。



 次の一手は、大陸全体を巻き込み 戦を長引かせ、ギオン公国が独占していた帝国・連邦間の交易を奪い取り、安定収入を得ること。そのためには、彼らは手段を択ばなかった。




「お久しぶりでございます・・。先日、月山出羽守つきやまでわのかみの陣より帰還いたしました」と、うやうやしく頭を下げた。



「して、首尾は?」、ハンドレッド伯は身を乗り出して聞いた。


 アウズンブラ自ら発案で、大和帝国による祇園公国侵攻に、彼は客将として加担し、ギオン軍のみならず連邦軍を泥沼の戦に引きずり込むべく、暗躍していたのだった。



 魔術師がいない大和帝国に油断していたギオン公国は、爆炎魔法に驚き苦戦した。

 慌てたソドム公爵は、更なる援軍と対抗しうる魔術師をもとめて、ギオンの街を離れた。



 予想通りの反応に、アウズンブラは二重の暗殺計画を仕掛けた。

 

 街を出てすぐに武士団、連邦王都直前の峠に腕利きの狙撃部隊。まともな護衛は、騎士のタジムしかいないと聞いていたので、失敗はないと思っている。



 また、脅威である「戦鬼兵団」を殲滅させるために、トロールにも効く猛毒を出羽守に渡したのも、この男であった。



 少しもったいぶりながら、アウズンブラは戦果を報告し始めた。


「ええ、うまくいきましたとも・・・。連邦と公国は野戦に敗れ壊走・・・。大陸最強の戦闘集団であった戦鬼トロール兵団も、今は虚しく屍をさらしておりますぞ・・・」本来なら、ニヤリとして報告する場面だが、魔術師は無表情。彼にとっては成功して当然なのだから、別段うれしくもない。



「おお、これで将来の政敵にして商売敵であるギオン公国も先がなかろう。帝国と連邦が争っている間に、我らは一儲けして力を蓄えられるというものだ。あとは、帰路についているソドムめを始末するだけ・・」


「!?それには及びますまい・・。暗殺部隊を伏せてありますので、そろそろ公国にでも死亡の報せが届くかと・・」



 伯爵は溜息混じりでかぶりを振る。



「そ、それなんだが、ヤツは生きていたどころか、宮廷魔術師長とともに闇の大神殿を攻略し、大手柄をあげよった。連邦王もヤツを副王に推薦するほどの気に入り具合よ・・」と、伯爵、今度は頭を抱えた。


「なんと、刺客を退けましたか・・。それは想定外でしたな。公爵が帰還いたしますと、兵の士気が上がりますし、変り者ゆえに何をしでかすかわかりませんから、退場して頂くつもりでしたが」と、完璧な計画にほころびが出て動揺するアウズンブラ。



 ここまでは悲報であったが伯爵は顔をあげ、



「だが、偶然にもソドム公爵が、旧街道を東に向かい・・つまり、我が領内を通るらしいのだ。王都で再開した女魔術師と結婚し、新婚旅行を兼ねて馬車で優雅に帰途についてるのだとか。どうだ、能天気にもほどがあるであろう」と意味深に語った。


「女魔術師でございますか・・なるほど、戦況が変わるかもしれませんな」


「名は何と申したかのぅ・・。確か・・レウルーラ・・・。まあ、トンと聞かん名前だ」



 ピタリ、とアウズンブラの動きが止まった。過去の記憶をたどる・・・までもない。



「そやつは、魔術学院時代の同期にして、首席で卒業した天才・・。10年前くらいから、その名を聞くことはありませなんだ。まさか生きていたとは」今度はアウズンブラが頭を抱えた。

(魔法戦では到底かなうまい、ましてや10年も研鑽を積んだと仮定すると相当な使い手になっているはず。闇の大神殿攻略も、レウルーラが手を貸したに違いなかろう)



「ああ、加えて魔王とやらが我が領内に進撃しているとのことだ。それで私が王都から急ぎ戻ってきたわけよ・・」伯爵の目は細められ、宮廷魔術師を試すように見つめた。



「名もなき魔王なんぞ脅威ではありますまい。・・・・・わかりましたぞ、ギオン公を暗殺して魔王の仕業に仕立て上げ、その魔王を討伐して・・・政敵を滅ぼし名声も得る腹にございましょう」と、はじめて笑った。

 伯爵に対しては、日頃 謀略の手ほどきをしてきたアウズンブラ。歳こそ逆だが、弟子の成長が嬉しいようだ。


「さすが宮廷魔術師せんせい、看破されましたか。わっははは」話も一区切りついたので、伯爵はブランデーを取り出し、グラス二つに注ぎ 前祝いとして乾杯した。



 何も策が決まっていないのに前祝いとは愚かな話なのだが、情報交換した以上・・・謀臣がなんとかしてくれると信じており、領内である限り公爵が剣聖だろうが不覚をとることはないと高をくくっていた。



 上機嫌で酒を飲む主を前に、宮廷魔術師は素早く作戦を立案した。伯爵からは、ソドムの護衛の数を聞いたが、あまりにも少ないので驚いた。


 まさか・・はないとは思うが、想定外に苦戦した場合の策までひねり出した。


 自分と主の更なる出世のためもあるが、かつて羨望の眼差しでみるしかできなかった天才女魔術師を見返すために。



 と、そこへ急報がはいった。部屋の外でアウズンブラは報告を聞き、主に伝えた。


「大変です、西の開拓村が竜王に焼き払われたそうです!」


「な、ついにバレたか!!公爵と魔王で手一杯な時に、竜王もか!」

(最近派手に採掘した上、開拓村も作り過ぎたからか!)


「応戦なさいますか?」と一応打診するアウズンブラ。


「するわけなかろう!竜王は10万の軍隊より脅威なのだぞ。かき集めて千人の我が軍に何ができようか!撤収するよう命じよ!」


「開拓民が領内に雪崩れ込んでしまっては、我等が主導していたことを知られ、この街まで滅ぼされてしまいますぞ」


「では、どうすればよい?」不機嫌に聞いた。


「証拠隠滅・・。開拓民には死んでもらうしかないですな」


「そやつらとて、馬鹿ではない。軍を差し向けられれば、必死に抵抗するであろう。外敵から守るために深い堀と頑丈な柵があるのだぞ、どの村も」


「でしょうな・・・」


「で、あろう・・」


「そこで、火攻めにするのです」


「ほう、だが柵を越え逃げ惑う者どもを皆殺しするのは難儀なことよのぅ・・・」



 全ては計画通りとばかりのシタリ顔で、アウズンブラは説明を始める。



「実は火責めしやすいように、住居は大和風の茅葺かやぶき屋根、門は内側から開けにくいものにしております。そして、堀と柵の設置が逆になっておりましてな、出ようにも堀に阻まれ、そこから柵に這い上がる事ができない造りになっております。2mの堀をよじ登り、さらに2mの柵を登っているところを射殺しているうちに火の手が回って全滅するでしょう」と、残忍な作戦を淡々と語った。



 伯爵は軽蔑するどころか、大いに喜び同調した。



「素晴らしい、さすが先生。さっそく、残り9つの村に兵50づつを差し向け焼き払おう!」と、人を呼び命を下した。




 席に戻り際、伯爵は魔術師の肩に触れ、含み笑いしながら


「魔術師殿、そちも なかなか悪よのぅ」と褒めた。


「へへへ、伯爵様こそ!」などと、大和の劇風のやりとりをするアウズンブラ。


 真顔に戻り、中断していた計略の説明を始める。



「まず、ソドム公が領内に入り次第、この城に招待致しまして、帰りたくなくなるほど歓待いたします。その間に、傭兵達には金を渡し王都に帰還させ、取り巻きの女戦士に死霊館討伐を依頼して殺害。後は女魔術師を捕らえて人質にして、公爵を葬るというのはどうでしょう」


「・・うむ。悪魔顔負けの残忍さよ・・。して、最悪のケースは?」


「はい、ないとは思いますが・・女戦士が強すぎて、主の趣味の館の罠が通用せず、ゾンビのコスプレをした精鋭兵士を全滅させた場合ですが、その時は私の作った【破邪の剣】をクリア報酬として渡し、お茶を濁してやり過ごしましょう」


「まあ、それはあるまい。タジムじゃあるまいし」


「あとは、私が殺され・・一味が手がつけられないほど危険な場合・・」


「それこそ、あり得ないだろう」と、伯爵は笑った。


「そうですが、念の為です。公爵には美女美食で歓待し、妻である女魔術師には私の研究部屋を案内して下さい。二人共に大いに気に入り、数日は足止めできるでしょう」


「足止め?何の解決にもならんぞ。金が湯水の如く無くなるだけではないか!」金に汚い伯爵が、納得できる策ではない。


「目先の金より、大局を見なくてはなりません。馬を走らせ、連邦王都に《魔王は、ソドム公爵だった》と報せるのです。亜人トロールを兵として使い、連邦を欺いたのは事実。叩けばホコリのでる男のようなので、足止めし遊興三昧している内に連邦世論を味方につけてしまいなさい。公爵討伐といかないまでも、必ずギオン公国駐屯兵を引きあげるでしょう。ソドム公が乱痴気騒ぎを終えて帰国した時・・・、両大国が敵になっていて腰を抜かすのは間違いありますまい」


「おお!それは良き策だ。連邦を敵にまわせば命運尽きるであろう。いまさら、帝国に寝返るわけにもいかぬだろうしのぅ」ハンドレッド伯は、上機嫌であった。



「それともう一つ、連邦の宮廷魔術師アジールにはお気をつけください」


「ん?知らん名だな。宮廷魔術師長は冴子、なにやら超弩級のゴーレム使いと聞くぞ。実力・血筋からして警戒すべきは彼女であろう?」


「確かにそのとおりなのですが、目立たず・追従しかしない者が、実力と野心を秘めている場合がございますので」


「ふむ・・・・。もしや、いつも連邦王のそばにいて、相槌している太鼓持ちか!?」


「さようで。暴走する王を止めたり、助言したり・・うっかり両肩脱臼させられている微妙な魔術師ですが、かつての宮廷魔術師長ザーム老師を追放し、いまや連邦各地に門下や血族を配置しており、影響力は無視できません」アウズンブラの思考は、領国経営のみならず、その先の連邦内権力闘争にまで及んでいた。


 先見力に舌を巻いた伯爵ではあるが、

「おいおい、その辺にしてくれんか先生。本当に遺言じみてきたぞ」と笑い飛ばした。



「・・・・・そうですな、少々飛躍してしまいました。まずは、ソドム公爵をここに ご招待してからですな」杞憂が過ぎたと、アウズンブラは目を閉じ長く息を吐いた。





 さて、命運尽きかけているソドム達は・・・


「へぇ、あの騒ぎは嵐じゃなく、魔王との戦いだったんだ・・。あたしも戦いたかったぁ!」宿に戻ったソドム夫妻にシュラが抗議している。


「助けを呼ぶ余裕すらなくてな。賊も逃がしてしまった」そう言って、ソドムとレウルーラは席に座り、皆も座るよう促した。


「まあ、無事でなにより。食事を再開だ」と、ビールを掲げた。


 レウルーラは、結局ソドムの膝の上に座り直し、ソドムの首に手をまわした。この習慣クセだけは、どうにもならないらしい。


 ドロスが さり気なく詳細を尋ねたが、ソドムは言葉を濁した。

(竜王に変化できても、制御できないことは知られるわけにはいかん)



 小一時間は宴会(報告も含む)をしただろうか。傭兵達は、交代制で二階通路と一階階段前を見張ることになり、ソドム夫妻は寝室に向かった。



 部屋に入った二人は、異変を感じた。


「べ、ベッドメイキングされてる・・」ソドムがよろける。

(バ、バカな。さっき激しく動いてグシャグシャだったはず)



「そんなことより、ベッドが一台増えて三台になってるわよ」レウルーラも目を疑った。



 後ろから、シュラが話しかけてきた。


「フフーン、真ん中のベッドは私のよ。やっぱり、護衛として一緒の部屋で寝るわ」と、仁王立ち。


 振り向いて二人は言葉を失った。

(え、えぇ~。新たな絆ができて盛り上がってるのに?)



 夫婦が冷戦状態だったならまだしも、今は邪魔でしかない。レウルーラはさり気なく追い出そうと提案した。


「ありがとう。でも、賊は追い払ったし、窓も魔法の鍵で開かないようにするから大丈夫よ。妹さんとの時間を大事にして」


「あ、お風呂で大分話したし」


「それにソドムのイビキはうるさいわよ」


「慣れてる」


 なかなかに しぶといシュラ。


 レウルーラは情に訴えてみる。

「本音を言うと、一番狙われるのは私達夫婦なの。その娘であるシュラちゃんを危険に巻き込みたくはないの」


 中立を装っていたソドムが、ウンウンと頷いて援護した。



「私はいつでもウエルカム!」と、レウルーラの迷言を発したシュラ。



「ちょ、聞いていたわけ!?」顔を真っ赤にするレウルーラ。

 誰にも聞かれたくなかった下ネタ全開を聞かれてしまい気絶しそうになった。



「そりゃ、外で絶叫してるんだもん」、ニヤニヤ笑うシュラ。

 実は内容をイマイチ理解はしていないが、レウルーラの慌てぶりを見て、効果を確信した。



「そんなわけで、よろしくお願いします」と、クローゼットに向かい、バスローブを脱ぎ捨て全裸になり、下着を着けた。



「ななな、なんなの!」


 レウルーラは驚き抗議した。いや、以前もソドムの前でシュラが平気で着替えていたが、さすがに全裸はないだろう。



 グルリと首を動かし振り向いてソドムを見たが、ソドムは責められるのを予想し、一瞬早く目を逸らしていたので不問にするしかなかった。

(め、目の保養は・・ともかく、シュラがベッドメイキングするとは考えにくい・・。傭兵たちとて、そこまで気が利くものはいないはず。妙だな・・)




 シュラは、レウルーラが人間になってから・・自分がソドムの相棒という立ち位置よりも、養女むすめ扱いされることが多くなったと感じており、公国くにに戻ったら縁談させられるか、遠ざけられる気がしていた。


 ソドムとの旅は楽しいし、贅沢もできて居心地がいい。奥さんができようが、このまま一緒にいるつもりだ。

(明日はコウモリ伯領ね、いかにも絡まれそうで、ワクワクするな~)


 シュラは楽しげに真ん中のベッドに潜り込み、夢の世界の住人となった。



 レウルーラはイライラしながら、ソドムは気まずさを感じながら眠りについた。

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