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6.教えてエロイヒト

 カッ! と稲妻がほとばしり、辺りは閃光に包まれた。


 え、これ転生早々死んじゃうのでは。


『愚かなことを申すな、せっかく招いたおも……コホン、そなたを害すわけがなかろう』


 より肉声に近づいた声がした方向……頭上を見上げると、そこには宙に浮かぶ女の姿があった。


 涼やかな目元、その瞳は朱を帯びた金。真っ白な肌、弧を描く真っ赤な唇、黒くて長い髪。肉感的な肢体を飾るものは、煌めきを帯びた濃いグレーのドレス一枚とシンプルだ。ただし、豊満な胸元にある深い切込みと白いおみ足をちらつかせるスリットがギルティだ。エロイ。


 ……けどあんまりお近づきになりたいタイプじゃないな。


 なんというかこう、存在感がハンパ無いのだ。人を引き付けてやまないであろう魔性の美女、そう、美しいが恐ろしさをも感じさせるのだ。


 その美女が妖しくも麗しい微笑を浮かべているが、誤魔化されないぞ。さっきアンタ、俺をおもちゃ呼ばわりするところだっただろ。


『ふふ、(かみ)をそのように呼ぶとは不遜な男よ。じゃが妾はそなたが気に入ったぞ、それに眷属として転生させてみたが、なかなか面白い出来上がりのようじゃ』


「ふぁッッ!?」


 ジト目で見ていた俺に向かってコロコロ笑う美女の発言に、俺は硬直した。そして滝汗が背を伝う。


 神? ひょっとしてG様が言ってた魔神ってこのヒトのことかっ!? いやまて、さっき俺の考えを読まれた? でもって眷属ってなんなんだあぁぁ!


『おや、連れまでおるようじゃの。……そなた、なんぞ悪さでもしておったのかえ? 若いのう』


 そのセリフにニヤついた何かを感じ取り、俺は激しく首を横に振った。誤解だ、濡れぎぬだ、俺は無実だ!!


「気付いたらこの()が裸で俺のうえに乗っかってたんだっ」


 言葉にするとどうしようもなく卑猥だが、まごうことなく事実だ。誘惑に負け……もとい目の毒やから上着を着せてるんやっ!


『ただの冗談じゃ。どれ、その娘にも着る物を与えてやろう』


(たち)の悪い冗談はヤメテつかぁさい……」


 げっそりする俺に笑いかけ、つい、と魔神が長い爪先を上下する。その直後、少女の姿がぼんやり光った。かと思うと、いつの間にか白を基調とした可愛らしいドレスをその身にまとっている。彼女も驚いたのか、ぱちぱちと瞬きをしてスカートの端をつまんでみたりしている。


 うっっわ、めっちゃ似合う可愛い、じゃなかった、てことは俺の服もこのヒト(というか魔神か、なんて呼べば良いかわからん)がどうにかしたってことか。


「……とりあえず、色々お伺いしても宜しいでしょうか、魔神様」


『許す。妾の元に生まれた、もっとも若き我が眷属よ。この箱庭、ファルカリオンへよくぞ参ったのぅ』


 ファルカリオン、それがこの世界の名前ってわけか。……はー、マジで異世界かぁー……。


 どうやら、とりあえずの種明かしはしてもらえるらしい。なぜ俺にへそ出しを強要するのかも問いただしたい気がしたが、さすがにそんなことまで聞く勇気はなかった。

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