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3.神が与えたもうたのは、試練とたまご

 そんなわけで俺は猛烈に自分を呪っている。本当に効き目がありそうなところが怖い。


「かわりにちょうどわしのところに遊びに来ておった異界の魔神が力を貸してくれたんじゃ。ついでにその御仁とゆかりのある世界へ行くことが決定したぞい」


「ぞいじゃねぇよ勝手に決めんな!!!」


 叫びと同時にぐるるる、という低い唸り、オマケに口元から青い炎が漏れ出ていることに気付いて俺はがっくりと項垂れた。完全に悪魔やん!!!


 そもそも獣のような黒い爪がガッツリと生えているし、ほっそりとした矢のように尖った黒い尻尾まである。いや、生まれ変わったご尊顔の頭上にはきっちり角まであったんだった。アカン、どうあがいても人外や。


「……フツーに、人間として生きる権利はないんすか」


 そもそも、魔神なんてものが跋扈している世界へ送られるとか普通に嫌だが。


「んー、もう力の受領を完了してしまっているしの。無理じゃ」


「俺の人権ーーーー!!!」


 伏して地面(というか雲の上だ)をバシバシ叩いていると、仕方ないのう…とG様が懐から真っ白な卵を取り出した。大きさは鶏の卵のそれだ。


「いや、ゆでたまご恵んでもらったぐらいで俺の悲しみは癒えませんけど。あえて言うなら死ぬ前に食べたかったメニューはカレーライスです」


「欲望に忠実じゃのう、おぬしやっぱり悪魔に向いておると思うぞ。これは孵化できなかった天使の卵じゃ。力を引き出すことが出来れば、おぬしの悪魔の力を中和して人として過ごすことも出来よう。まぁ上手くいく保証もないがのー……っと、そろそろ時間じゃ」


 ようは気休めのお守りじゃ、と言われたそれを押し付けられ、俺は途方に暮れた。けれど落ち込む暇も与えてくれないらしい、神は残酷である。畜生。


 泉が美しい虹色の光を放ち渦を巻き始める。その光景に一瞬見惚れた俺の背を、容赦なくG様が両手でどーん! と押した。力強いわ畜生!!


「ぐがぼぼばばぼ!!」


 視界は水流、光、泡に圧倒されて訳が分からないが、苦しくはない。息は出来ている。けれど俺は猛烈に混乱している。


 そんな中、『ぐっどらーっく☆』とG様の声が脳裏にこだました。ド畜生!!!!

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