心の壁
暗い闇の中、俺はいつもの様に手を前に突き出す。
あった、壁。
「光を通さない壁よ。俺のために道を空けよ・・・」
「・・・」
「いいか? 人の話はちゃんと聴くものなんだぞ。聞こえたらそれに対して応えろ!」
「・・・っ」
くそ、渾身のへ理屈だったのに。なかなかに頑固な壁だ。今日はとくに堅い。ここまで何もないともう流石に死んでいるのでは? っと思ったが触れた感覚、まだ冷たくなかった。
「お前はこの俺を裏切る気か? 俺、本人を裏切ったところでお前には何の利益も無いはず。むしろ外で楽しいと思えることができない分、お前は損している」
「・・・!」
文字は分からないが、思想は俺に伝わった。
「恨み、もしくは自己嫌悪か・・・・・・。そのぐらいなら大丈夫だって。きっと友達は俺らと喋ろうとしてくれただけだって」
「・・・」
「違う? そういう問題じゃない?」
「・・・」
「『心が追いつかない』ってそれは流石に子供すぎるだろう」
俺は思わず笑った。考えれば誰でも簡単に分かることだ。それでも納得できないのであれば、人間ができていないとしか考えられない。
――ってこれは俺の心の問題だった。頭では簡単かもしれないけど俺には受け入れられない。