第一子 急展開すぎて頭がついていかない
文字通りです。本展開に早くもっていきたい。
「仮腹のキヌエよ……私とともに王宮にこい」
そういわれ、拒否権も渡されずにあれよあれよと私は王宮へと運ばれてしまった。後から聞けば村の人達には多額の謝礼が渡されたらしく……私は売られたらしい。
そんなこともよく分からず頭がボンヤリしていた私に騎士様が言ったのはこれだった。
「君にはまず、この国の軍人であるゲルモの妻になっていただく」
「あの……どういうことですか?」
「この国の軍人でゲルモがいてな……そいつと夫婦になって子供を作れ。安心しろ、あの貧相な村生活なんかよりも不自由なく暮らせるぞ」
とまぁ……よくわからない答えになってない答えを貰い、それ以上のことは言ってくれずに私はまたアレよアレよとそのゲルモなる男との婚姻を上げた。
目まぐるしく状況が変わって目がグールグルだ。
それは相手方のゲルモも同じで、婚姻をあげて初夜の時まで目がグールグルになっていた。
目がグールグルの状態でゲルモ様は布団の上で正座をしていた。私もつられて正座をしていた。
「お、俺は毛むくじゃらで豚鼻で……力しか取り柄のないブ男だ……しかも臭いし女を抱いたこともねぇ……そ、そそそんな俺なんかでいいのか?天女みたいなお前を抱いていいのか!?」
そう言ったゲルモ様は……まぁ、確かに鼻は豚で髭がこくてワキ毛も脛毛も腕毛も生えまくり、体は熊のようにガッシリとし、頭は少し剥げて油ギッシュであった。
しかし、別にそれだけである。別に嫌悪感はない。
「いや、それをいうなら私なんて身分卑しき村の小汚ない女だぞ?顔も東洋で気味が悪いだろ」
「んな訳ねぇ!!こんな天女様みたいな美しい女は初めてだ!」
……ヤバ、キュンと来た。
「……あぁ、すまねぇ……俺なんかに……俺なんかに……」
「いやいや、あの……キュンと来ました。というか、私ってゲルモ様のこと好きっぽい……いや、これ完璧に恋してますね」
頭がグールグルのグーグルの為、思わず本音をいってしまった。
というか、美しいといわれただけで恋に落ちるとか私は軽いな。いや、ホントに軽い。
「お、俺をか……おぉおれ……大事にする!!」
「ありがとうございます!」
まぁ、こうして私は抱かれたのであった。
今までで一番嬉しい抱かれ方で思わず泣いた。
そしてすぐに私は妊娠した。早い。早すぎる。もっと夫婦生活をエンジョイしたかった。
「キヌエ!!体には気を付けろ!赤ん坊グッズはどれくらいだ!?すっぱいものは食べたくないか?ってか歩いていいのか!?」
そしてゲルモ様はまた目がグールグルになった。
いや、私は18人も子供を産んでいるのだから別に大丈夫だと思うが……何故か私も落ち着けなくなった。
「(ヤッベ、流石に18人も産んだらガタがきてない?あの村って医療がぞんざいだから後産がかなり雑だったような……うわどうしよう!どうしよう……)」
こうやって落ち着けることも出来ず、ハイスピードの展開でてんやわんやの十月十日を過ぎてようやく……
子供を出産した。超安産だった。
産まれた子供は4300グラムのドデカイ赤ん坊で……猿というより豚のような、父に似た赤ちゃんだった。
可愛い。可愛すぎる。愛しすぎる。今まで産んだ子供の中で一番可愛い。
「さわっても……いいの?私たちが育てていいの?母乳やってもいいの?」
今まで子供を産んでも抱き締めることさえ許されなかった私は、腕の中にある小さな命に感動しすぎて頭が可笑しくなりそうだった。
「いいに決まってんだろ!!俺たちの子だぞ!あーもー可愛いな畜生!!」
ゲルモは両手を上げて大喜びして泣いていた。
「はぁ~……それにしても、これでようやく一段落つけるな」
「ホントだね~……」
こうして、よくやく私たちは落ち着いた生活を手に入れたのであった。
と、思っていた。
その日の晩。
ゲルモが帰った後の病室に一人の客が現れた。
「やぁキヌエ、どうやら早くにも子供が出来たようだね」
「騎士様、この度はまことにありがとうございます。私には身に余る幸福です」
私は聞き齧った敬語を使いながら頭を下げた。
騎士様には感謝してもしたりないご恩がある。
「うんうん、僕も君が孕める体……いや、孕みやすい体と分かってよかったと思うよ」
騎士様は嬉しそうに笑いながらうんうんと頷いてそういった。
私はその言葉にひっかかりを覚えつつも頭を下げ続けていると……耳元で騎士様が囁いた。
「君には次に……この国の君主であるネテロ様の子を産んで欲しい」
どうやら、落ち着ける隙なんてないらしい。
次回からはまともに書くと思います!
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