私には幼馴染の王様がいる。
診断メーカーのお題に乗っかって妄想を膨らませました(´▽`) '`,、'`,、
物語を作るのって楽しいですね〜♡
私には幼馴染の王様がいる。
ちなみに初めて会った時は王子様だった。
私の家族はお父さんとお母さんとお兄ちゃんと私。
お兄ちゃんが中学校に、私が小学校になった年にそれまで住んでいたアパートから一戸建てに引っ越した。
初めての自分だけの部屋はこじんまりとしていたが小さいクローゼットが付いていた。
何を入れようかな〜と思いながら戸を開けると、奥に扉がもう一つ。
どこにつながっているんだろうと思いながら戸を開けると、そこはすごい部屋だった。
フカフカの絨毯にピカピカの家具たち。
初めて見た本物の天蓋付きのベッドは大きくて。
興奮した私がベッドの上で飛び跳ねていると、コンコンという音が聞こえたため振り向くと、そこにはお兄ちゃんと同じぐらいの年の男の子が立っていた。
「こんにちは、初めまして。お兄ちゃんのお友達ですか?」
キラキラの丈の長い豪華で時代錯誤な服を着た金髪碧眼の超イケメンという、日常生活においてありえないビジュアルの男の子に対し、きちんと挨拶ができた私は、うん、間違ってなかったと思う。
「キラキラした髪がとっても綺麗ですね」
「君の髪もとっても綺麗だよ、この部屋にはどこから入ってきたの?」
相手がにっこり笑ってくれたので、嬉しくなった私は彼の手を取り、入ってきた扉に彼を引っ張っていき、一緒に扉をくぐるとそこはやっぱり私の部屋で。
あちらの世界はお城があって馬車が走っている中世ヨーロッパが舞台のファンタジー映画のような世界だった。
残念ながら魔法とかはなかったけど、動物や植物などが微妙に違っていて、お兄ちゃんがタイムマシンじゃなくってパラレルワールドかなあって言ってた。
ちなみに兄は王様と同級生だ。
最初こそビックリすることも多かったけど、王様の順応力は素晴らしく、今ではネットも私より使いこなす彼は、今日も私の家で夕食を食べているのである。
「王様、お久しぶりだね。最近忙しいって言ってたけど、仕事落ち着いたの?」
王様はいつも忙しい。
王子様の時もそれなり大変そうだったけど、5年前、王様になってからは本当に日本人もビックリするぐらいのスケジュールをこなしているらしい。
「ああ、ようやく懸案がひとつ片付いた。私の可愛い姫君に会えない日々は光を奪われた暗闇のようだったよ。ユイは?」
と言いながら自然な動作で頬にキス。
ちなみに「私の可愛い姫君」とは私の事だ。
王様は外人(?)なので言動がちょっとおかしいのはいつもの事だ。
「テストまでは忙しかったけど、今はまあまあってとこかな」
「じゃあこの週末は空いているのか?」
「ん〜。明日はちょっと人と会う約束があるんだ」
王様の久々のオフなのに、残念!
「誰と?」
「塾の斎藤君」
斎藤君は塾の友達のうちの一人で、共通の話題もあり、最近仲がいい。
今日の塾の帰り際に明日のイベントに行かないかと誘われて一緒に行くことになったのだ。
「2人だけで?」
「うん。他の子も誘ったんだけど、みんな忙しいみたいで」
そんな話をしてたらお母さんが王様に今日は飲んでく?って聞くと今日はもう帰ると王様。
あれ?
もう帰っちゃうのか〜、残念…。
「久しぶりだしゆっくりしていけばいいのに…」
王様を自室のクローゼットで見送っていると、つい本音が漏れる。
子供のような態度の私に王様は優しく微笑み、掌にキスをしてくれた。
「おやすみ、ユイ、私の宝物。良い夢を」
◇◇◇◇◇
自室に帰ると侍従のクラウドがこちらを見た。
「随分と早いご帰還ですね。…ユイ様に何かございましたか?」
どうやら苛立ちが顔に出ていたらしい。
ああ、確かにまだ顔も知らぬ相手を捻り潰したくなる位には苛立っている。
私がまだ王太子だった頃、ユイは突然私の前に現れた。
王である父が病を得たのはその頃で、徐々に執務をこなすことが難しくなってきていた。
当時立太子はされていたもののまだ12歳だった私の力は弱く、政治の実権は側妃とその一族が握るようになる。
王妃である私の母は私がまだ幼い頃に亡くなっていた。
側妃が第二皇子を産んだ頃から徐々に力の拮抗が傾き、今では身の危険を感じることも多くなり、私の周囲は常に緊張を強いられていた。
そんな中、隣の寝室から声するのに気がついた私は、横で剣に手をかけ気色ばむ護衛を手で制しながらゆっくりと中を覗く。
ベッドの上で跳ねて遊んでいるのは小さな少女。
6歳になる弟と同じぐらいであろう子供の、そのあまりに無邪気な様子をしばらく眺めた後、声をかけると「こんにちは。はじめまして。お兄ちゃんのお友達ですか?」と聞いたことのない無邪気な答えが返ってきた。
何のためらいもなく手を握られた時には思わず身体が強張ってしまったが、それに気付かない彼女にそのまま手を引かれ、くぐった扉の向こうは不思議な世界だった。
ユイの兄のトーマに言わせるとそこは違う世界らしく、その国には王はおらず、見るもの全てが物珍しく、面白かった。
ユイの家族は皆私のこともこの不思議もすんなりと受け入れた。
こんなに呑気な事で大丈夫かとも思ったが、このニホンという国はよほど治安がいいらしい。
それまで受けたことのない親しげな扱いに最初は戸惑うこともあったが、案外とここちよく、時間を作ってはあちらに赴くようになった。
ユイも異世界に興味があるらしく、ちょくちょくこちらの世界に来ていた。
最初は異端な姿をし、私に敬意を払わない態度をとるユイに周囲は殺気立ったが、ユイの屈託のない性格と、異世界からもたらされる恩恵も功を奏したのだろう、次第に受け入れられていった。
5年前、長年の闘病の末に父が亡くなった時、既に私が立太子していたにも関わらず側妃の一族が弟を王位にと望んだ結果、宮廷は荒れた。
最終的に弟と側妃は父の元へと旅立たせた後、さすがに疲れていた私の前でクローゼットの扉が開いた。
「王子〜。やっと中学受験終わったよ〜。お久しぶり〜」
あまりにいつも通りのユイに力が抜ける。
「あれ?王子?どうしたの?顔色悪いよ?また頑張って仕事しすぎたの?駄目だよ〜」
熱は無いかとその小さな手で額を触られている間、私は本当に間抜けな顔をしていたのだろう、ユイが「あんまり頑張りすぎるとハゲちゃうよ」と言いながら髪を撫でるのが気持ち良くて…。
それまでしょうがないなぁと言いながらニコニコしていたユイが、急に目を張りこちらを見る。
慌てた様子のユイの手が頬を触り、その手が濡れていることで自分が涙を流していることに気づいた。
どうしたのかと心配するユイに父と弟が亡くなった事を話すと、ユイは顔をクシャクシャにして、知らなくてごめん、一緒にいられなくてごめんと何故か謝りながらポロポロと涙をこぼすユイを私はただ見ていた。
「これからは私が王子の家族になる。一緒に笑ったり美味しいもの食べたり、遊んだりお出かけしたりしようね。楽しい事、いっぱい一緒にしようね。辛い時や悲しい時は一緒にいようね。ずっとだよ。約束する」
そう言って小指を絡ませ、その手をブンブンと上下に振る。
その泣き笑いの顔を見ているとそれまで失ったと思っていた感情が次々に沸き起こり、気付いた時、彼女を抱きしめていた。
側妃を寵愛する父王とは疎遠な関係が続いていた。
幼い弟とは殆ど接点も無かった。
自分は身内の縁が薄いのだと、権力を担う者はそういうものだと割り切っていた。
父が亡くなった時も、弟の死を確認した時も何の感情も浮かばなかったはずだった。
寒かった。
腕に中のユイの小さな体だけがが暖かかった。
今感じている感情が、いつの間にか頬を流れ落ちる涙がどういった名前を持つものか、その時はわからなかった。
ただこの温もりだけは絶対に手放してはならない事だけははっきりと分かった。
今でもその感情を一言で言うことは難しい。
ユイを手にしたいという渇望は常に自分の中にあるのははっきりわかっている。
その為に何をなすべきかも。
あちらの世界の作物やシステムや知識を取り入れることから始めた。
荒れた土地でも育つサツマイモやダイズ、トマトなどを取り入れることによる食料の生産力の向上から始め、学問の無償化や学者の養成、街道の整備による流通の確保、軍の再編による治安の向上、医療の知識と技術の取り入れや、トイレや入浴などの公衆衛生水準の向上などを行った。
最初は反発も多かったが、国力をつけることにより最初に国民からの人気が上がり、続いて自分に益があると気づいた貴族や商人たちが恭順を示すようになる。
異世界から取り入れられたものは物は全てユイによりもたらされたとされ、今ではユイは聖女のように扱われている。
それを聞いて最初は否定していたユイも、偶像を持つことで異文化を受け入れやすくなるからと説得した後は「全部王様が頑張ったからなのにね」と笑うようになった。
噂 金 色 権力 暴力…
使える物は全て使ったが、勿論ユイがそのことを知る必要はない。
準備は整った。
後はユイに気持ちを伝えるだけだ。
ユイが私を受け入れてくれるなら、どちらの世界を選んでも構わない。
しかし、ユイを手放すという選択肢はない。
自分の中の狂ったモノ
その狂気が彼女を喰い潰さないように
私は信じてもいない神に 初めて 祈った
◇◇◇◇◇
僕には中学の時からの友達がいる。
ベンさん、本名はヴェンツェスラフ・ホニャララララ…(発音難しいし長すぎて未だに覚えられない)という。
職業は異世界の王様。
こちらではネットを使い株や土地など僕名義でかなり稼いでいるらしい。
金髪碧眼長身のイケメン、加えてカリスマ性も併せ持つ天才だ。
人懐っこい妹がニコニコしながら初めてベンさんを連れて階段を降りてきた時は、そのありえない状況に驚いた。
最初の時のベンさんは確かにこちらを警戒していた。
勿論僕だって最初はびっくりしたけど優衣があまりにニコニコしているもんだから、なんとなく受け入れてしまった。
そんな僕に、後日ベンさんが「君達は人を信じすぎだ」と説教されることになるのだけど、今思うに僕の人を見る目はあながち間違ってなかったんじゃない?と思う。
ベンさんは僕の妹の優衣が大好きだ。
僕から見れば妹は取り立てて美人でもなく頭がいいわけでもない普通の女子高校生だ。
彼にも優衣と同じ年の弟がいると聞いてたし、最初の頃から確かに猫可愛がりではあったが妹のように扱っていたはずが、妹が中学校になった頃からちょっと変わってきた。
元々紳士なベンさんは女性の扱いがお上手だけど(うちの母親が僕にも見習うように言ってくるけど、現代日本であれをやったら絶対周囲から引かれるから!ベンさんのビジュアルだから許されてるだけだから!)優衣に対する時は何というか糖度が違う。
あの甘〜い視線や態度をされて平気な優衣は大物なの?バカなの?
そしてベンさんはは結構腹黒い。
今も優衣が男と一緒に出かけると聞いてジワリと黒いオーラがでている。
優衣、もう怖いから男の話するの止めて!
あちらの世界では結婚とか早いらしく、ベンさんは優衣が中学に上がって間もなく、 うちの父さんに婚約を申し込んだけど、優衣が大好きな父さんから「未成年者保護条例」を武器に優衣への手出しを禁止されている。
優衣は勿論そんなことは知らない。
ベンさんいっつも笑顔だけど!当たり柔らかだけど!
あの逆に怖い笑顔にさらされても平気な父さんは大物なの?バカなの?
そんなわけでこんなハイスペックなイケメンなのに5年も片想い中のベンさん。
優衣の友達はしっかり味方につけてて(ちなみに周囲にはうちにホームスティしている学生という事になっている)優衣の周囲はがっちりガードされているらしい。
そしてベンさんは優衣に近ずく野郎どもには容赦がない。
噂によると男のプライドを粉々に砕かれるらしい。
斎藤君、ごめんね。
下心があったにしろ無かったにしろ、僕が先に気付いていたら君を救ってあげる事も出来たかもしれないのに(おかげで僕は重度のシスコンと思われている!)塾は守備範囲外だったよ。
僕も我が身が可愛い。
後は頑張って立ち直ってくれ!
優衣も今年で18歳。
いろんな意味で大変な年になるかもしれないけど、何より優衣のために二人はうまくいって欲しいと思う。
っていうか、早くくっついてくれないと困るから!
翌日「欲しいものがあるから」と言うベンさんに「それなら一緒に駅まで行こう」といって一緒に出かけていく二人を、僕は手を振って見送ったのだった。
読んでいただいてありがとうございました。
妄想はどんどん膨らんでいくのですが、とりあえず書けたとこまでと思い、オチのない短編に…(*ノω<*) アチャー
誤字脱字等あれば教えていただければ幸いです。