ウンソちゃんの秘密の一部を知るハッサク
「はー……何かこの世界は息苦しいな。地下世界みたいだし、周囲はダンジョンだし、人間を見かけないからスゲー変な感じだぜ。チンコも無くしたからスースーするし……ションベンは座らないと出来ねーし……困った参った、困った参った、困った時の占いサタラ……ってサタラはいねー」
翌日になり、ハッサクは朝食を食べてから依頼を受けに行くと、どこかに出かけたウンソがいないのでぶりぶり探偵事務所の中を探索していた。迷宮探索員レディハンターとしての習性がハッサクを探索事務所の奥へ、奥へ導いて行く。
「ガーン!ここどこだよ!?迷った?」
ハッサクはぶりぶり探偵事務所の奥の書斎に迷い込んでいた。そこはかなり整理整頓されているが、同じ雑誌でも欠けている号もあり違和感を覚える点が多かった。
「この世界も人間が少ないけどいるから雑誌があるんだな……このファッション誌は七と九の間の八が欠けてる。この世界にファッション誌は必要か……それに、このマンガシリーズは!?」
そして、その違和感は確信へと変わる。
「ベルトとかブローチとか、俺の転生する前の世界のマンガだぞ?何でそれがここに……一体、ウンコ大王の娘らしいウンソちゃんは何者なんだ……」
ハッサクの転生前の世界のマンガや雑誌がある事で、ウンソが自分について知ってる事があると思った。そして、ウンコ大王との戦いで魔法を使った事も引っかかっていた。
「ウンソは俺についても、俺の元の世界についても知ってるはずだ……俺を助手にしたのも何か理由があるはず……。ハッサワトソンの本領発揮といこーか!」
ハッサクは探偵助手として上司であるウンソの謎を追う事にした。
しかし!ハッサクは探偵事務所の奥の奥まで来てしまい、迷子になっているのでカッコつけたはいいが、どうにもならない状態だった。
書架から抜け出し探偵事務所を彷徨うが、同じような通路に出るばかりでどうにもならない。次第にションベンとウンコもしたくなり、ハッサクは絶体絶命のピンチをむかえた!
「ヤベーよ!ヤベーよ!ピンチンチンだよ!って今の俺はチンコねーし!くそー!チンコよー!」
ウキャー!とハッサクは暴れるが、その暴走は尿意と便意を加速させるだけだった。
「ソードワールドの勇者がこんな……こんな所で果てるなんて……俺には帰る場所があるのに……こんなに悲しい事は無い……」
ハッサクは涙を流し、漏らす覚悟をした。
そして、幻覚のような光る宇宙を見た。
「……あれは木星か?いや、金星だ!あそこには赤い彗星もある!あそこには青い巨乳……?」
すると、少し先で物音がし、ウンソが現れた。それによりハッサクは現実に戻る。白いハットに口が浮かび、ケラケラと笑っている。そして白いスーツがやけに似合う美少女ウンソはキザに微笑み言う。
「……まさかこの事務所内で迷子になるとはな。困ったものだハッサワトソン」
「まー、助かったぜ。事務所って言っても案外広いんだな。その封筒は何だ?」
「依頼書だ。これから二人で依頼を……ん?」
すると、ウンソの白いハットがぶりぶり!ぶりぶり!と騒ぎ出した。ハッサクは驚愕のあまり大小を漏らしてしまうが、ウンソは冷静に現状を説明した。
「事件だ……それも緊急のな。人間が住む区画に珍獣が現れたのだろう。これはぶりぶり探偵団としても行かなくてはならないわよ。行くぞハッサワトソン!」
「ちょ、待て!せめてパンツを履き変えてから!」
緊急事件が起こり、人間の居住区へ行く事になった。ハッサクにとってはチンコ探しについて情報を集めるのに都合がいいので助手として向かう事にした。というか、それは強制だった。
人間のいる区画に向かう二人は走りながら会話する。
「走りながらで悪いがウンソちゃんは俺について、もしくは俺の転生前の世界のマンガや雑誌を何故持ってる?あれはこの世界にあるものじゃねーぜ?」
フッ……と微笑むウンソは真剣な表情の助手に答える。
「もうそこまで突き止めていたか。流石私の助手だ。答えてやる」
「頼む」
「このぶりぶりワールドには、他の次元からたまに流されて来るものがある。それを人間達は回収して、珍獣に負けない文明を作り上げた。だからこそ、今のぶりぶりワールドを珍獣達に……ウンコ大王に支配されるわけにはいかないの」
「そうだったのか……その流されて来る場所はどこにあるんだ?」
「それは厄介な場所にある。このぶりぶりワールド最大の悪がいるダンジョン……到着したわよ!」
「何だこれは!?」
人間エリアへ行くと、人間達は無残にも倒されてる。三百人ほどの人間達が大小の怪我をしており、ハッサクとウンソは助けに入る。
その間、ハッサクは魔法を使えないので包帯や傷薬、薬草などで人間達を回復させている最中、ウンソが魔法で一人の老人を回復させようとしているのを見た。
「……よし、これで大丈夫だ。俺はウンソの所へ行く」
ハッサクはウンソの場所まで行くとウンソは回復魔法をやめずに続けていた。もうその老人の寿命が短いらしく、回復魔法が効かないのである。
「死ぬなジイさん。私は探偵だが、何にでも役に立つ存在だ。新しい力も得た……だから死ぬな!」
すると老人は言う。
「これは珍獣の怪我で死ぬんじゃない。寿命じゃよ。だからウンソちゃんと助手の少年……このまま逝かせてくれ。そしてウンソちゃんには伝えておく事がある」
「伝えておく事?」
老人は最後の力で話し出す。
「我々はウンコ迷宮ダンジョンの奥の海から生まれたとされるが、ただ異次元から迷い込んだ人間だ。それをこの老いぼれになってから思い出したよ……しかし、ウンソちゃん。君は違う。それは君の父上であるウンコ大王が一番知ってるはず……今こそ真実を解き明かすのだ。そこのレディハンターと共にな……」
「ジイさん……まさかソードワールドの人間か?おい、ジイさん!?」
老人は息を引き取った。
回復魔法をかけ続けるウンソをハッサクは止めた。死人に回復魔法をかけても無駄なのである。ウンソは茫然としているが、ハッサクは背後にいる怪我をした人間達を見据え言う。
「行くしかねーぜ。ウンコ大王が本当に親父で、それでも敵だと思うなら戦うしかねーよ。その先に、答えはあるはずだ」
フッ……と笑うウンソはハットを下げて顔を隠しながら言う。
「助手の癖に頼もしいものだ。私は良い助手を雇ったようだ……なら行こうか。ぶりぶりワールド最大のダンジョン。ウンコ迷宮へ」
二人はウンソが生まれた場所のぶりぶりワールド最大のダンジョン。ウンコ迷宮へ行く事になった。