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レディハンター! 異世界迷宮で美少女魔王をハントして勇者になった!  作者: 鬼京雅
新たなる転生者現る! ビッグソードの秘密編
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勇者ハッサクVS神幼女ゴッド! 千メートル徒競走!

 千メートル徒競走。

 体力勝負になるはずの徒競走だったが、ルールの変更が審判であるアルトより発表された。

 それはこの大会中、使用禁止だった事についてだった。

 ソードランド国王はアルトに命令した。


「アルトよ。魔法の使用禁止を解除せよ。もうここまで来たら勇者ハッサクを倒す存在はあのゴッドしかおらん。それには魔法の使用は不可欠だ。ここにある百キロのアイスを使い白銀の幼女ゴッドを籠絡せよ。徒競走にてハッサクを倒すのじゃ!」


「国王……あんた勇者いじめて楽しいか?」


「黙れ! 黙れ! 言いから言う通りにせい! 全く、勇者という奴は国王より尊敬されてどうするつもりなんだ? この国ソードランドは我の物なんだぞ?」


「へいへい。先代勇者として、神であるゴッドを籠絡するよう頑張りますよ」


 やれやれと思いつつアルトは金髪をかきあげ、ヨダレを垂らして昼寝をしているゴッドの元へ行った。

 そして、ハッサク達は――。

 どうやら国王から魔法の使用許可が下りたらしい事を知らされた。

 そしてハッサクとゴッドを戦わせる事も知る。

 この場を更に盛り上げる為のスパイスらしいが、ハッサクをいじめる為の罠という事は見え見えであった。

 それをサタラから聞いたハッサクは言う。


「汚ねぇ真似する奴に、真っ向から向かって勝つのが勇者だ」


 まだフェイとの戦いから勇者パワーが完全に回復していないハッサクは堂々と言う。


「そうよね。こんな事でハッサくんが負けるわけないし! 相手が神でもハッサくんは勝つ!」


 気合いが入るハッサクチームは多いに士気を高めた。

 そして、ハッサクは手持ちのレディ達を従え徒競走の会場へ赴く。

 そこにはハッサクVSゴッドとあった。

 そして、ハッサクは現れるゴッドについて思う。


「ん? やけにゴッドの周りに人が多いな……それに魔力が周りの人間に満ちている……」


 やけにゴッドの周りの人間が多い事に気付いた

 。同時に、白銀の魔力粒子が周りの人間を包んでいる事を見た。


「お前……催眠や暗示系の魔法を使ったな? まさか、お前の仲間として使う気か?」


「のほほ! ちょとだけ魔法をかけてワシの仲間にした。これぐらいの事なら時代に干渉したとは言えんだろ。遊びの大会だし」


 へっ! と笑うハッサクは言う。


「そうだな。遊びこそ本気で来なきゃやってらねーからな」


「のほほ! こうなれば勝って終わりにしてやるぞえ! ワシはソードランドをアイスの国にしてやる。甘い甘ーい、そしてキーンと冷たいアイスの国じゃボケがぁ!」


 ズズン! とゴッドは白いオーバーオールを片肌脱ぎにして凄んだ。

 しかし、乳首が見えてしまい取り巻きに隠される。

 やれやれと思うハッサクはアルトから試合の勝敗はとにかく早くゴールだと言われ、背後のレディ達に言った。


「こうなったらどっちかのチームで一番早くゴールした奴が勝ちだ。皆は応援だけしててくれ」


『は?』


 自分達も徒競走に参加するつもりだった為に同時に声が出た。

 そして一歩前に出るサタラは言う。


「え? いいの? 危ないよ?」


 サタラが言うがハッサクは、


「逆に人がいすぎると危ない。だから俺一人で突破した方がいい。逆境を乗り越える俺の凄さを見ててくれ」


 ガッ! と拳を叩きハッサクは歩き出す。

 その揺るぎない意思を秘めた背中をハッサクレディ達は見守る。

 そして、魔法大合戦となる徒競走が始まった。


「よーい、ドン」


 パン! とアルトの持つ銃の引き金が上空に向かって引かれ、徒競走は開始された。


「どんどん魔法を使いやがれ! 派手で最高だぜ!」


 コース右側を走るハッサクは左を駆けるゴッドを見た。

 するとゴッドは祭の神輿のように担がれ、走っていない。


「おいテメー! 真面目に走れ!」


「のほほ! ワシを走らせたければこの仲間達を倒すしかないのぅ。でもそれはお主には出来まい。チートパワーは完全に回復しとらんからのぅ」


「へっ、確かにそうだーってもう攻撃されるのかよ!」


 ズババババッ!と開始早々から左側にいるゴッドの取り巻きからの魔法攻撃を受ける。

 それを何とか回避しつつ、コースを走るがどうにも前へは進めない。

 すぐにゴッド達に前に進まれ、後を追いかける形になるハッサクは魔法攻撃の連続技を浴びる。地面を水で濡らされ滑ったかと思いきや、避けた先には火炎が待ちうけ、飛び上がれば雷が上空から狙い定める。完全に出遅れるハッサクはダメージを受けるが平然とした顔で進む。


『ハッサクーーー!』


 とコース外からハッサクを応援するレディ達は叫ぶ。しかし、チートパワーが使えない以上、この差はいかんともしがたいものがあった。顔にかかる赤い髪を横に流し、手助けに向かおうとする仲間を抑えるサタラは瞳でハッサクを信じて……と言った。

 そしてハッサクは――。

 スゴウンッ! という大がかりな爆発を浴び前へと吹っ飛んだ。


「痛ってー! だけど前に出たぜバーカ! チビゴッド!」


「なにお! 粗チンが! 童貞がぁ! 皆の衆、撃てーーーっ!」


 神輿のように担がれるゴッドの掛け声で数多の魔法攻撃が仕掛けられる。

 しかし、ハッサクはその全てを回避してしまう。


「あれ?」


 おかしいな? と思うゴッドはハッサクにグリーンのオーラが満ちていると認識した。それはハッサクのオーラ。勇者であるチートパワーが現れた証拠であるスーパーオーラであった。


「あんがとよゴッド。俺は今まで魔法のパワーを吸収させてもらってたんだよ。おかげでチートパワー回復したぜ!」


「のほほ!? なんじゃと?」


 ハッサクは魔法攻撃を平然と受け続けていたのはそのパワーを吸収する為だった。肉体にダメージは受けるが、魔力の蓄積によりチートパワーは戻りつつある。それに焦るゴッドは男達の神輿から飛び降り、夢中で駆け出した。


「お? どうやら走る気が起きたか。やっと本番だな。後、残りは二百メートルぐらいしかないがな」


「のほほ! ワシが勝たねばならん戦いじゃ勝てば官軍。負けるの勇者である賊軍じゃ!」


「口はいい。全てはあのゴールテープを切ったもんが勝ちだ!」


「のほほ! さよう、さよう。ではゴッドのフルパワーじゃ! 行くぞぇ! アイスラバー!!!」


 白銀のオーラを纏うゴッドは隠し持つアイスを食べてパワーアップし加速した。それに対抗するようにハッサクもグリーンのオーラを全開にして急加速する。


『おおおおおー!』


 二人は緑と白銀の閃光になる。

 その二人を観客は息を呑んで見守る。

 そして、光さえ超えるような勢いの二人はゴールテープを突っ切った。

 それを審判であるアルトは確認していた。

 その勝敗の声をソードランド国王は耳を大きくするように必死に聞き取ろうとし、観客もまたその言葉を待つ。


「勝敗はギリギリだがついた。勝者はソードランドの勇者ハッサク!」


『おおおおっ!』


 ガーン! という顔でハッサクを苦しめたかったソードランド国王は崩れ落ち、ハッサクレディ達は大いに盛り上がる。これで宴会だー! と観客全員が盛り上がるが、審判であるアルトは周囲を見渡し呟く。


「……? あいつらどこ行った?」


『?』


 その場の全員がハッサクとゴッドがいない事に気付く。

 その頃、二人はソードランドから一万キロ以上離れた荒野にいた――。

 ハッサクは頭を抱え叫んだ。


「ガーン! ここどこだよ?」


「知らん! お前が意地をはるからこうなったのじゃ!」


「うっせーよ! お前がソードランドをアイスランドに変えようとしたから必死に頑張ったんだろーが!」


「なぬお! ワシは神として公平中立にだな……」


「どこが公平中立だアイス大好きうんこたれゴッド!」


「うるさい! お漏らし勇者!」


「このやろー!」


「ハゲやろー!」


 ハッサクとゴッドは互いの頬をつねり合う。

 二人はゴールした事に気づかないまま遠くの方まで走り去り、遭難していた。

 勇者と神の二人は半べそをかきながら荒野を彷徨い、二日後にソードランドから派遣された捜索隊に発見されて保護された。

 そして、ハッサクの異世界ライフは様々な混乱とレディ達と共に続いて行く――。





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