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レディハンター! 異世界迷宮で美少女魔王をハントして勇者になった!  作者: 鬼京雅
新たなる転生者現る! ビッグソードの秘密編
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チートパワーを得るフェイ

 七つの大罪を司る勇者英霊を倒し鎮静化させたハッサクはそのパワーを吸収したフェイは絶叫する。

 異様な冷気が流れ空気が冷たく重い空間にハッサクは気圧された。

 サタラとクロコは自分達の魔力も底をついた事を知る。

 そして女王フェイは言った。


「七つの大罪を鎮静化させる勇者英霊を倒させたのは、私が元勇者達のチートパワーを得る為よ」


『何だって!?』


 ズオオオオッ! とフェイの身体に勇者英霊全てのパワーが流れ込む。

 素早くハッサクはエクスカリバーで斬りかかった。

 しかし、片手で防がれる。


「嫉妬の勇者英霊を一撃倒したエクスカリバーに耐える……か。チート過ぎだろ」


「エントランスゾーンに来なさい。そこで全ての決着をつけましょう」


 そしてフェイはワープして消えた。

 ハッサク達も最終決戦の場所へ向かう。





 ビッグソード中央地区エントランスゾーン。

 広大なこの場所を象徴する偉大なる剣以外に何も無い広場の中心にハッサク達はいた。

 このソードワールド最大の秘密であり、勇者しか立ち入れない空間の最奥に。

 すでに魔王の能力は落ち、サタラもクロコも魔力が限りなく減っている。

 辺りを見回すが、フェイの姿はどこにも見当たらない。

 サタラはうろうろとフェイを探す。

 ハッサクは急なワープによる攻撃を警戒しつつ、


「フェイは本当にここに居るのか?」


「間違いなく、この周辺からフェイの生体反応があるわ。一体どこなの……」


 クロコはハッサクの問いに答えつつ、策敵用の魔力球体を動かしてフェイの位置を探る。

 その時、グラグラグラッ! と大きな地震が起こった。

 ハッサク以外は地面に伏せ、地震が収まるのを待った。


「地震、地震、地震だ!」


「ハッサク、危ないわよ! 伏せなさい!」


「そ-よハッサくん。おへそ取られるよ?」


 伏せるよう促す二人にハッサクは、焦る。

 ふと、サタラはハッサクに向けて言う。


「あれ? ハッサくん空飛んでる?」


「ん? うおおおっ!」


 ハッサクは地震によって空いた穴に落ちた。

 二人の魔王はその穴の下を見た。

 そこは案外深く、簡単に上がれそうにも無い。

 その赤と黒の二人は、背後にハイレグ女王を見た。


「……このパワーが落ちてる時に最悪だぜ」


 薄闇のなか、ハッサクは全てを失ったかのような感覚になりつつも、この場所から地上へ這い上がるべくもがいた。だが、もうチートパワーを吸収されてしまい立ち上がる力が無い。目に映る薄闇がソードランドの仲間のような形を浮かび上がらせたが、やがて見えなくなり――。


「……いや、悩んでても無駄だ。俺には仲間がいる。信頼する仲間が。あいつらの事を思えば、パワーなんていくらでも……出てくる!」


 シュパッ! という輝きと共にハッサクのパワーは三割ほど戻る。

 地下の空間はフェイによる干渉が無いので一時的にパワーが回復する。

 そのハッサクは頭上の大穴から地上へ飛んだ。


「いやっぽう! 勇者ハッサク様は何度でも復活するぜ! なんてったてアイドル……じゃなくて勇者だからな! ――って、大ピンチだな!」


 すると、サタラとクロコの大ピンチだった。

 すぐに風の魔法を背後に使い推進剤にするように自分の身体を無理矢理加速させる。


「ぬらぁ!」


 驚く魔王二人の前に立つハッサクは魔法を跳ね返した。

 その跳ね返された魔法を受ける事は無く、フェイはワープする。

 そこに残る赤い粒子をハッサクはまじまじと見た。


「……なーんだ。ワープなんてたいした事ねーな。今更気付いたぜ」


「何ですって?」


 少し先の背後から声を出すフェイは言う。

 そして背後にマグマドラグーンを放つハッサクは叫んだ。


「サタラ! クロコ! 魔法で連続攻撃だ! 行くぞ!」


 今更魔法で連続攻撃しようともこのフェイに当たらないのはわかっている。

 しかし、ハッサクのレディである二人の魔王は残り少ない魔力で連続攻撃を仕掛けた。

 三人の攻撃は空間を埋めつくすほどに展開し、フェイを追い詰める――が、


「遅いわ! 遅いわ! そんな連続攻撃なんて連続わぁぷで回避出来るのよ! このおたんこなすが!」


 二人の魔王はそのフェイの疾風魔法で倒された。

 しかし、ハッサクのみはワープに反応しカウンターをかました。

 驚くフェイはすぐさま距離を取る。口元を笑わせるハッサクは、


「もうわかっただろ二人共。ワープにも弱点はあるんだって事をな」


 サタラとクロコは頷く。

 ハッサクはワープの際に残る赤い粒子に注目した。

 ワープの瞬間と後には魔力の粒子が一瞬浮かぶ。

 その刹那の瞬間をハッサクは見極めて動いたのである。


「ワープ粒子を見れば対策は取れる。ギリギリだけどな」


 多少の怒りを見せるフェイはくいこんだハイレグを更にくい込ませ言う。


「……ハッサク。そんな事だけじゃ私のワープ場所を読んだ事は説明出来ないわよ」


「ワープは相手の背後とか驚く所に出てこそ意味がある。パターンは読めるって事さ」


 近距離でのワープはハッサクに対してはあまり意味をなさない事をフェイは知る。

 連続してワープをして絶望を与えるつもりが、それはハッサクに対しての攻略法を与える時間と思考を与える事になってしまったのであった。


「なら道連れでわぁぷしてあげるわよ!」


「くっ!」


 フェイはハッサクからダメージを受ける覚悟でハッサクの真上にワープした。

 肩に一撃もらうが、その作戦は成功する。


「これでわぁぷすれば貴方は死ぬ!」


 すでにワープが始まっている事で、赤と黒の魔王は驚きの声を上げる。


「ハッサくん!」


「ハッサク!」


 驚く二人の魔王の視線の先に、赤いハイレグ女がワープして来た。

 そして、グリーンのツナギの勇者もいる。

 驚愕するフェイは叫んだ。


「どうして!? 何故死んでないの!? わぁぷに対する耐性は無いはずなのに!?」


 フェイは、勇者であるチートパワーだけじゃ次元ワープというものには多大な魔法力と科学式による負荷により身体が対応出来ないはずな事を言う。しかし、ハッサクは多少破れるツナギを気にしてるぐらいで何も言わない。震えるフェイは言った。


「わぁぷに対する耐性が無いのに耐えた? 勇者だからなの? それだけじゃ説明がつかないわ……」


「俺もお前も元は同じ世界の人間……だから賭けたのさ。まぁ、勝てるバクチとは思ったけどな」


 その顔は半信半疑としか言いようの無い顔だった。

 そこにハッサクは隙を見出し、ガラガラッドガラガーンを叩き込む。

 フェイのハイレグ水着は消滅した。

 同時に、モミモミモミ! とフェイの巨乳を揉んだ。


「これでワープを……ん?」


 すると、ハッサクは途方も無い事実を知る。

 フェイの股間を良く見ると、チクチクと毛が生えていた。

 天然では無く人工パイパンだったのである。


「人工パイパン……だと?」


 ハッサクは百万のダメージを受けた!


「ぐはぁ! まさかこんなカウンターが来るとはな……流石ハイレグ女王だぜ……」


 残りのパワーが少なくなるハッサクは立ち上がるフェイに言う。

 二人の魔王はその最後の戦いを見守る。


「……最悪の手を使う事になるとはね。まぁ貴方を殺せれば満足よ」


『!?』


 驚くハッサク達をよそに、フェイは周囲に火炎魔法を放った。

 そこの各所には白い粉が入る小箱があり、そこに引火した。

 一気に燃え上がる炎にハッサク達は反応する。


「……何か知らんが消すぞサタラ、クロコ!」


「はいよ!」


「水魔法なら任せなさい」


 三人は水魔法を使おうとするが、金のマントで身体を隠すフェイに止められる。


「これはマグネシウム。賢いクロコならわかるんじゃない?」


 マグネシウムには水をかけられない。

 マグネシウム合金の切削くずなどは発火の危険があり、取り扱いに注意する必要がある。

 もしもマグネシウムが発火した場合、水をかけて消火するのは、火を消すどころかさらに強い燃焼を起こしてしまうのでやってはいけないことだった。水が助燃材になるのである。

 現代的な科学の罠にハッサクは驚く。


「この火事は消せないわよ。ビッグソードも終わりね。これで勇者も何もかも終わりよ! このおたんこなすが! アハハッ!」


「ワープさせればいい」


 ハッサクは消えない炎をイメージし、上空にワープさせた。

 そして背中から引き抜くエクスカリバーに纏わせる。

 何故ハッサクがワープを使えるのか焦るフェイだが、今はそんな場合じゃなかった。


「終わりだフェイ!」


「わぁぷ」


「服をつかめば――」


 フェイはマントを捨ててワープした。


「次元の狭間に消えろ勇者!」


 ハッサクは次元の狭間に消える。

 ワープのイメージ先を次元の狭間に指定したフェイは言う。


「勇者だから死なないだろうが、その分永遠に暗闇を彷徨う事になるだろう」


 次元の狭間のハッサクは真っ暗な空間で浮遊しつつ考える。

 どうしたら戻れるのか? どうしたらサタラ達を、ソードワールドを助けられるか考えた。

 ハッサクの頭はこの状況でも同じだった。

 これこそが勇者たる意思の強さかもしれない。


「おおおおおお! おっぱい!」


 シュン! とサタラのおっぱいをイメージしてワープしビッグソードエリアに戻る。

 ワープに必要なDKドラゴンクリスタルをパンツの中に隠していたハッサクは帰還した。

 切り札のワープアイテムを使われるフェイはどこで盗まれたのかを思った。


「……おっぱいを揉んでたのはこれを隠す為の伏線?」


「いや、単純に揉みたかっただけだ!」


 それを言ったらお仕舞いだ! と皆は思うが、これこそが勇者ハッサクの真骨頂である。

 少年のエロスは無限の力を引き出すトリガーの役目をし、おっぱいという核爆弾はハッサクのチートパワーを引き出す汎用兵器なのであった。そのおっぱいバカは言う。


「ソードランドは確かに勇者が生まれる聖域だ。でも、このビッグソードのエリアは過去の勇者を祀る場所。勇者のパワーが溢れる場所では新しい何かが起こっても不思議じゃない」


「そうね……何が起こってもね! 死ねおたんこなす!」


「ガーン! 瓦礫かよ!」


 突如頭上から瓦礫が落ちて来るがパワー無しの為に回避できない。

 もうサタラもクロコも魔力が尽きている為に何も出来ない。

 ハッサクは瓦礫の悪魔が降り注ぐ頭上を見上げる。


「くそっ……魔力のサポートで無理矢理ワープした代償か……」


 それを影ながら見つめるゴッドは呟く。


「神はあまり世界の出来事に干渉はしない。お主自身でこの状況を切り開け。勇者としての自覚を忘れなければパワーは使えるはずだぞえ?」


 そして、ハッサクは背後にあるビッグソードを感じ、イメージを集中させる。

 だんだんとこのビッグソードエリアはジリジリ……と反応し、魔王二人は安堵の表情を浮かべる。

 消え行くビッグソードエリアにハッサクは全ての力をワープに賭ける。

 ゴッドはアイスを舐めながら言う。


「この世界は当分大丈夫だろう。自分の運命と勇者としての自覚を持ったあのハッサクがおれば……のほほ!」


 ワープは成功し、ビッグソードエリアは次元の狭間へ消えた。

 これにより、新たな魔王は選定されず、ソードワールドの悪意は大陸全土に拡散する事になり、どんな悪人が現れるかはわからない。

 ゴッドはエクスカリバーを構え動き出す少年を見て微笑んだ。

 全ての悪意を打ち払うハッサクの一撃が、ハイレグ女王フェイの野望を打ち砕いた。



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