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レディハンター! 異世界迷宮で美少女魔王をハントして勇者になった!  作者: 鬼京雅
新たなる転生者現る! ビッグソードの秘密編
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嫉妬の英霊シャルナッツ

 とうとう最後の勇者英霊である女の前にハッサク達は現れた。

 ヘルメットのようなおかっぱショートカットの女勇者英霊・シャルナッツは言う。


「……よくこの最後の番人であるこのシャルナッツの元までたどり着いたな。だが、一つ言っておこうか。他の勇者英霊は私ほどお前を倒したくは無い。だから勝てた」


 ん? と思うハッサクは答える。


「言ってくれるじゃねーか。これまで六人の勇者英霊を倒したんだ。認めてくれよ」


「フン。私に勝てたらな」


 シャルナッツは踊りながら謎の呪文を唱えた。


「嫉妬するわよ! シッ! シッ! シッ!」


『きゃああ!』


 サタラとクロコは倒れた。

 ソッポを向くシャルナッツは鼻を鳴らす。

 そして二人の魔王はシャルナッツの嫉妬オーラによって気を失ってしまう。

 それを見るハッサクは言う。


「嫉妬を司るから嫉妬心が強いのか。お前、英霊になる前から嫉妬心が強そうだしな」


「黙れ! 黙れ! 黙れ! 魔王と勇者が手を取るなどあり得ない……そんな異常な行為はこの世界の歴史の特異点になり、確実に変革をもたらしそれはどうなるかもわからない。だから私は貴方を殺す。勇者英霊とソードランドさえあれば勇者はまた生まれる。消えてもらうわよハッサク」


 シュン! と閃光のような一撃を回避したハッサクは拳でカウンターを叩き込む。

 しかし、その拳にシャルナッツは笑う。


(勇者のチートパワーが効かない? こいつはマジで俺を殺しに来てるからか――)


「温いぞ勇者ぁ!」


「くっ! おおおおっ!」


 シュパア! と白い粒子が空間に散り、嵐のようなオーラがハッサクに展開した。

 ハッサクはとうとう背中で眠るエクスカリバーを引き抜いた。

 本能的にエクスカリバーを引き抜いていた。

 それほどまでにシャルナッツは強い勇者英霊だった。

 フェイと戦うまでは体力の温存も考え体力の消耗が激しいエクスカリバーを使うまいと考えていたハッサクは生きる為に、勝つ為に勇者の聖剣にて嫉妬を司る勇者英霊と対峙する。


「俺は勇者と魔王が共存出来る世界を目指す。それが俺がここに来た理由。勇者だから、魔王だからとかそんなんでそいつといれないなんて最低だぜ。俺は好きな人間といたい。それが許されないなら、俺が変えるだけだ。俺は勇者だからな」


「試してあげるわ……その魔王二人の勇者への思いを。熱い本当の思いが無いなら私の嫉妬が変な作用して魔王を殺すでしょう」


 ブオオオッ! とシャルナッツはオーラを高めた。

 それは今までの勇者英霊の誰よりも強いオーラであった。

 嫉妬心剥きだしの風圧で髪が舞い上がるハッサクは微笑みながら言う。


「……やってみろよ。俺は俺のレディを信じてる。お前程度の嫉妬であの二人が死ぬか。そして俺はお前に勝つ!」


「良い覚悟ね……ゾクゾクするわ」


 シャルナッツのパワーは増す。

 サタラとクロコのハッサクへの思いのパワーを利用してシャルナッツはハッサクのパワーに近いチートパワーを再現していた。

 それでもハッサクは驚かない。

 絶対に勝ち、勇者と魔王が共存出来る世界を作れる自信があるからである。


「行くぜ! シャルナッツ!」



「来なさい勇者ハッサク!」


 エクスカリバーとエクスカリバーモドキが激突し、空間が異様な聖気で乱れる。

 スガガガ! と突きの乱撃を繰り出すハッサクは魔法を使わず、攻め続けた。

 シャルナッツは魔法を使おうとするが、あえてやめた。

 魔法を使えば勝機は確実に上がるが、目の前の勇者が剣の勝負を挑んで来ている以上、元勇者として剣で勝たなくてはならない戦いだった。


『うおおおおー!』


 剣圧による衝撃で互いの服は破れ、血が飛ぶ。

 気迫と気迫。根性と根性。

 お互いに譲れない思いはその聖なる剣で表現される。

 そして――その時は来た。


「エメラルドスプラッシュ!」


 ハッサクの必殺技が炸裂した。

 満足げに宙を舞うシャルナッツは敗北を認めた。


「……よくこの二人の思いの力にすら負けなかったな。貴方にはこの二人以上にこの二人を愛しているようだ。嫉妬を超えた思いがハッサクにはある」


「俺はソードワールドの新しい勇者だからな」


「そうか……そうだな。これで勇者英霊は全て倒れた。そろそろあのハイレグ女が現れるはずよ。ん? ハイレグじゃない?」


「のほほ! ワシは白銀の幼女ゴッドじゃ! アイスくれ!」


 すると、世界の神であるゴッドが現れた。

 その神は珍しく良い話をした。

 ゴッドが言うにはビッグソードそのものを何も存在しない次元の狭間へワープさせる。

 そうすれば、もう新しい魔王は選定されず勇者も生まれない。

 それにより、勇者と魔王は共存できる存在になる。

 それによる弊害は生まれるかもしれないけど、それが現状で最善の答えだとゴッドは言った。

 ハッサクはゴッドに抱きついた。


「サンキューゴッド! お前最高だぜ!」


「キスよりもアイスをくれ!」


「わがままな神だぜホントよ」


 サタラとクロコがぐぬぬ……とゴッドに嫉妬していると、赤い粒子と共にハイレグの金マント女が現れた。

 その女はシャルナッツからエネルギーを吸い取っている。

 いや、女王フェイは今までの七人の勇者英霊のパワーを溢れさせていた。

 虹色のオーラが空間を包み、ハッサク達はその魔物のような笑みの女王を見た。



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