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スクラップ城

 ハッサクとサタラは黒士隊の残党を蹴散らしながらスクラップの山に囲まれる城までたどり着いた。

 それを見たサタラは赤い髪をポニーテールにまとめ、


「結構警備が厳しいわね。雑兵がぞろぞろといるわ」


 軍手に包まれる両手をガッ! と叩くハッサクが言う。


「黒士隊もヤカサンのアホがやられたからな。勇者と魔王の最強コンビの俺達を警戒しているんだろ。で、どうやってこの警備を突破し、城に乗り込む?」


 ハッサクの問いにニイッと口元を笑わせつつ、サタラは魔力を高める。


「無論、正面突破よ! クロソーズにも新魔王にも本物の魔王であるサタラちゃんの存在を広めるには、インパクトがでかくなきゃね!」


 言うなり、サタラはスクラップの城に向かって走りだした。


「……ええっ! いきなり最大火炎魔法?」


 不服ながらも、ハッサクはサタラの後に続いた。

 サタラの赤い髪に共鳴するように、その両手にはドラゴンの顔をした炎が生まれる。

 それは火炎属性の魔王であるサタラの必殺の一撃――。


「我が眷属・火炎龍! 魔王の名の下に、その身を捧げよ! マグマ・ドラグーン!」


 ズブアアアアアアアッ! と極大の火炎龍がスクラップ城の入口付近に直撃し、何も出来ないまま大半の黒士隊のヤカンロボットは消滅した。


「いやっぽっうっ! これで入口には楽に入れるわよ!」


「オッケーーーッ! 最高の一撃だ。チートじゃなきゃ俺も死んでるわ……?」


 ふと、ハッサクは冷静に湧き上がる力と冷める感情に気づいた。


「ガーン! 俺の活躍の機会が無い!」


「クロソーズはハッサくんにあげるからいいじゃん♪ 黒魔王は知らないけど」


「そうだよな……やっぱ最後は勇者の――って黒魔王は俺に倒させないのか? って待てサタラーーーっ!」


 スタタタタッ! と駆けるサタラの後にハッサクは続く。





 いきなりの襲撃でスクラップ城の周辺のガラクタは消え去り、周囲を警戒する手前の3体の黒士隊が、吶喊をかける二人組に気付いた。


『うおおおおおおおおおっ!』


 バコバコバコッ! と3体の黒士隊をハッサクとサタラは一瞬で倒した。

 ザワザワッと残り少ない入口兵である黒士隊が動揺し始めた。

 バッ! とここに来て始めて抜いた鋼の剣をスクラップ城の頂上部に掲げたハッサクは、


「聞こえているか、ナイト・クロソーズ! お前も黒魔王も倒し、勇者としての名を上げる為の踏み台にさせてもらうぜ!」


「茶菓子でも準備して待ってなさい!」


「おい、余計な事を言うな! せっかくのキメシーンなんだぞ!」


「え? ダメだった? 別にいいじゃん♪」


 サタラに言いくるめられるハッサクは赤髪の魔王に笑うしかなかった。


「フッ、とんでもない女をハントしたもんだぜ」


 暴れる黒士隊を倒しつつ、ハッサクはサタラの度胸に関心した。

 新しい魔王の出現が、サタラの感情を燃えさせているのは確かなようだ。


『……』


 パラリラ! パラリラ! という音響がし、周囲を黒士隊に囲まれていた。

 二人は互いに背中合わせになり構えた。


「ハッサくん。そっち半分は任せた」


「……こちらはやけに数が多いが、気のせいか?」


 サタラ側十体。ハッサク側三十体。


「敵は待っちゃくれないわ。行くわよ!」


「クソッ! やってやるさ!」


 フレイムソードを生み出し、サタラは急須型の黒士隊をなぎ倒していく。

 それに呼応するが如く、ハッサクも目の前の十体を倒した。

 入り口を警戒していた黒士隊を全て倒し、二人はナイト・クロソーズのいるスクラップの城の中に入った。





 スクラップ城最上階――。

 そこでは、黒いマントを羽織った長身の少女が、スクラップの上に座りアロエヨーグロトを食べている。ガチャン! ガキンッ! と外から激しい金属音や爆発音が聞こえてくるのを感じ、アロエヨーグルトを置く。その異音を確認するため、部屋の窓から下を見た。


「表の魔王がハントされたのか……そして勇者がこの裏迷宮へと足を踏み入れた。黒魔王様に会う事も無く、貴様等はこのナイト・クロソーズが始末する」


 笑うクロソーズはスクラップ手術で復活したヤカサンを呼び、城の警戒レベルをレッドに引き上げた。

 自身の愛刀の真黒百式しんこくひゃくしきを帯び、部屋を出た。



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