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金魔王城へ

 金の温泉に浸かっていたサタラは金魔王に呪われてしまった。

 これはハンターとレディの主従契約を完全に消去できる呪いで、サタラが魔王というモンスターに戻るまでのタイムリミットは三日間。現在、金魔王ユコレーナをよく知るギルドの店長アルトを相棒にハッサクは動く事になっていた。このアルトが金魔王と千年前に関係がある人物だからである。


 そしてサタラは体調には問題は無いが、アパートで一応安静にしていた。

 アルトギルドに集まるハッサク、アルトにクロコはこれからのドラゴンランドへの遠征を考えていた。千年前の聖剣戦争に自分の出生の秘密がある事を掴んでいるクロコはカウンター席でマムシドリンクを飲みながら言う。


「で、どうするの? 新しい魔王がドラゴンランドという王国を作り、地下迷宮を跋扈してるわよ。倒しに行かないと、不味いわね」


「当然倒すさ。アルトと共にな」


 カウンターに座りアルトを見るハッサクは答えた。

 すでにハッサクは勇者としての感覚でアルトが勇者にまつわる特別な存在という所までは感じているが、決定的な証拠が無い為に確信が持てないでいた。


「どうしたハッサク? 俺が前線に立つのが不安か? それとも俺の力が不安か?」


「おそらくアルトは勇者並みの力は過去にあったはずだ。今までの付き合いでお前が悪人じゃない事はわかる。信じるさ」


「お前の素直さは、天下一だな。普通なら近い人間がいきなり変化したようになったら距離を置くか、そのまま消えるぜ。俺の場合は後者が多かったがな」


「まー、人間を守る以上、人間を信じねーと勇者なんてやっねられないしな」


「いい言葉だ。千年前の勇者にも聞かせてやりたいぜ。聞かないだろうけどな」


 そして、アルトはドラゴンランドへ遠征する覚悟を決め自分のレディである黒髪幼女ラルコに言った。


「ラルコ。モード・エクスカリバーだ」


「了解」


 無表情のままラルコがまばゆい光と共に伝説の聖剣・エクスカリバーへと変化した。


『……!?』


 その光景を見るハッサクとサタラは声が出ない。こんなに真近にいた人間がエクスカリバーに変化し、それを扱うのがギルドマスターであるアルトという事が信じられなかった。

 ハッサクはとうとう鋼の剣も卒業か……と思いながらラルコから変化したエクスカリバーを受け取ろうとする。しかし、その伝説の聖剣はアルトの手に収まった。それにクロコは瞳を細めた。


「お前にはまだこの剣は使いこなせない。時期が来たら渡す」


 そのアルトの言葉に押し切られ、ハッサクはただ頷いた。

 金魔王ユコレーナのいるドラゴンランドにはバーサクしたゴブリン、スライムが暴れており、地下迷宮

全体に影響を及ぼし、地下迷宮から出てくる気配があった。それについてクロコは、


「バーサクの効果がモンスターを暴走させている。このままじゃ、地下迷宮全てのモンスターと一千万ほどの人間との戦争になるわ」


「現世に全盛期の力を持ってして再臨したな。千年前の俺の罪だな」


 そのアルトの言葉に、ハッサクは真相を知りたいクロコをおさえた。

 全てはこの戦いが終わればわかる事で、無駄な混乱を避けようとハッサクはした。

 それだけの秘密がアルトというギルドの店長にあると思っているのである。


 そして、ハッサクはアルトと共に敵がソードランドに攻めてくる可能性を考え、ドラゴンランドとソードランドの中間地点に砦を置いて対策を取る作戦に出た。ナイト・クロソーズはソードランドに進出するモンスターの始末をギルド騎士団の長として行う事になった。ソードランド全体が戦いに向けて準備されて行き、ハッサクはアパートで留守を任せたサタラに言葉をかけて出掛ける。


「サタラ、呪いの効果が出るにはまだ三日間もある。千年前の生き残りの金玉魔王だかなんだか知らんが、簡単に片付けてやるよ」


「うん! よろしくねハッサくん♪」


「じゃあ、留守を任せた。ドラゴンランドとの中間地点にクロソーズ達ギルド騎士団の砦があるからここまで戦火は広がらないだろ。じゃ、行ってくるぜ」


 ハッサクはサタラの頬に口付けし、鋼の剣を背中に担ぎアルトアパートから旅立った。




 ドラゴンランドへ先鋒として向かうハッサクはすでにドラゴンランド付近まで来ていて、アルトの剣技を見ていた。そのアルトは金魔王ユコレーナと同じ金髪を風に揺らし、荒れ狂うドラゴンの群れを見た。そして伝説の聖剣・エクスカリバーを抜いた。


「肩慣らしだ。行くぜー!」


 ズバアアアッ! とその凄まじい一撃は地を切り裂きモンスターを簡単に一掃した。これはハッサクでさえ一撃では出来ない芸当である。


「……!」


 そこで、ハッサクは今の自分がエクスカリバーを持てない理由がわかった。勇者としての力が消えたアルトでえこの一撃を放てるならば、チート過ぎる力を持つ自分が制御せずエクスカリバーを使えばいずれソードランドすら消し去る未来が頭に浮かんだのである。

 その刻限――。

 サタラは金魔王からの手紙を受け取っていた。その手紙の内容は〈決闘〉という言葉が書かれていた。


「……」


 その手紙を燃やしたサタラは一人地下迷宮へと赴いた。

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