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温泉ランド

 アルトギルド。

 その古びた店内にハッサクはいた。カウンターより離れた場所でサタラとクロコは店の裏主人ラルコとダーツ対決をしていた。的は何故か猫隠れの忍達だった。

 今日は月に一度のソードシスターズのライブイベントがあり、アルトギルドもかなりの活気に満ちていて店員のラルコは的確に二ャモ、ウニ、シイタケに指示を出し客をさばいていた。ダーツを楽しむサタラ達の元で談笑をするハッサクはこのソードランドにおいての公然の事実を根底から覆す事をクロコに言われた。


「あの世界の果てにある巨大な剣はエクスカリバーじゃないわよ」


『え!?』


 ハッサクとサタラは驚く。淡々と世界の果てにあるビッグソードエリアに突き刺さるビッグソードは伝説の聖剣エクスカリバーではない事を話すクロコに、驚くハッサク達を笑うギルドマスターのアルトは金髪をかきながら言う。


「ハッサクも騙されてた方が良かったのにな。あの世界の果てにあるビッグソードはエクスカリバーのレプリカのこのソードランドを安定させる魔力の塊の石だ。本物のエクスカリバーは別の場所にあるんだぜ」


 驚いた顔でクロコはウイスキーを飲むアルトを見た。


「……」


 黒いセーラー服のクロコの視線はアルトに釘付けだった。クロコはアルトと魔法研究所を作る話の縁で個人的に親好があるが、この男がこのソードランドの住人の大半が知らない事実を知っているのが気になった。


(この男……ただのギルドマスターではない事は薄々知っていたけど、何かを隠しているのは確かね。脳ある鷹は爪を隠す。軽く牽制をしてみようかしら)


 ソードシスターズのライブが近づきうるさくなる店内で、軽く鼻をクンクンと動かすクロコはアルトが普通の人間でない事を薄々知っていた。そして、ハッサク達が席を離れたと同時にその金髪のアルトに問う。


「何故、あの世界の果ての大剣がエクスカリバーじゃないと知ってるの?」


「それを答える義理はあ っても義務はねーよなクロコちゃん?」


 そのアルトの口は軽快そのものだが、目が笑っていない。


「エクスカリバーは千年前の勇者と魔王しか知らない秘宝。あの雲を突き抜ける大剣をエクスカリバーとしたのは千年前の勇者と魔王。その娘である私がそれを知っているのは当然の事。貴方、本当に人間なの?」


「クロコちゃん。それはいつかわかるだろう。その時までのお楽しみにしようぜ。今は新たに現れた金魔王調査が最優先だろ?」


 そして、きらびやかなスポットライトが照らされ特設ステージのうえにソードシスターズが現れた。 白、青、赤のトリコロールカラーの三人の少女はステージ上で賞賛と喝采を浴びる。そのステージを見つめるハッサクとサタラ達とは対照的にクロコとアルトは互いの冷たい瞳をぶつけ合っていた。




 翌日。サタラはまた生理になった。どうにもサタラは生理に弱い身体で体調がいまいちよくないようであった。クロコやクロソーズかなどは一度目の生理でこういうものかと慣れてしまっていたがサタラはそうもいかないようだ。クロコの魔法研究所で診察を受けるサタラはクロコに言われた。


「完全に人間になった事で魔王としての力が弱まっているのよ。定期的に力を発散させても、確実にサタラの力も私の力も衰えて行くと思うわ」


「そうなんだ……」


 驚くサタラと同様にハッサクはレディハンターとしてそんな事は知らなかった。いや、これは他の少女達には当てはまらない、巨大な力を持つこの二人の少女だからこそ言える事であった。


 人が持つ力の限界――。


 自分は勇者だからこそチートであると改めて実感した。


「ま、まだまだ魔力も減退してないし、薬を飲めば生理の痛みも無いから迷宮探索は問題ないわ。早く金魔王がいるらしい金の温泉につかりましょうハッサくん♪」


 ひどい鼻歌を歌うサタラにこれなら大丈夫かと思うハッサクは、クロコの笑みを見てサタラを探索に連れて行く事にする。そして、昨日仕入れた情報である金魔王がいるらしい金の温泉ランドに向かう事にした




 温泉ランド。

 地下迷宮に金の温泉が湧き、ハッサクは調査名目で行く事になった。

 そこには金髪美少女の強敵がいるらしく、レディハンターの一部の男は金魔王の出現だと騒いでいる者もいたのである。


「金玉魔王?」


「金髪魔王だサタラ。金玉がついてんのは俺だ」


「え? ハッサくん金玉あったっけ?」


「あるに決まっとるだろ!」


 そんなやり取りをしていると、情報で得た地下迷宮のポイントまでたどり着く。確かに周囲からは温い暖かさがあり、温泉のような匂いもした。二人はその方向へ進んで行くと、赤い岩肌の奥にモンスターを発見した。


「敵だな。しかもザコ系だ」


 赤い目の獰猛なモンスター達がハッサク達を見据えた。そこにはバーサクしたゴブリン、スライムが跋扈している。


「モンスターがおかしいな。みんなバーサクをかけられて狂化してるぜ?」


「狂化なら誰かにバーサクをかけられたって事ね。敵は魔法に長けているのかもしれない」


「一気に倒すか……」


「ここはサタラちゃんにおまかせあーれ♪ ……マグマドラグーン!」


 ブオオオオオッ! とマグマドラグーンが放たれ、バーサクされたモンスター達は消え去る。

 しかし、奥にいる残りのモンスター達は暴走し襲い掛かって来る。


「こいつらは死ぬまで戦うようバーサクかけられてんな。めんどくせーが消すしかねーぜサタラ」


「んじゃ、徹底的に倒しましょう!」


 二人は三分で百のモンスターを倒した。

 すると、洞窟の奥には金の温泉があった。


『いいいいやっぽう!!!』


 目的の温泉を見つけたハッサクとサタラはダッシュで金の温泉に向かった。





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