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平穏な日々

 ロリババアから受けた呪いから解放されたサタラの復活によりハッサクの部屋にも活気が戻った。

 ぐーか、ぐーかとサタラが眠る夜明け前。ハッサクは早朝の街をジョギングしていた。


「はあっ、はあっ、はあっ……」


 階段を駆け上がり、東地区からソードランド全体が見渡せる公園に着いた。公園内の水を飲み、ベンチで一休みする。


「ふうっ」


 肩で息をするハッサクがベンチで休んでいると、何やら階段の下から言い争いが聞こえた。


「サタラ! ペースが落ちているわよ!」


「クロコのように貧乳じゃないから、階段とかの段差は胸が揺れて上り辛いのよ」


「フンッ。私はDカップの大きい方の胸よ。じゃあ先に上で待っているわよ!」


 クロコはポニーテールに纏めた黒髪を揺らし、ダダダダダッ! と階段を駆け上った。


「ブハッ! はあっ、はあっ……」


 首に巻いたタオルで汗を拭きつつ、水道の水を飲む。

 そしてベンチの方に行くと、


「あっ、ハッサクじゃない。おはよう」


「おう、おはよう。って、クロコか。黒乳首が日焼けしないように、早朝に走っているのか?」


「全裸で走ってるわけじゃないんだから、黒くなるかっ!」


 クロコはハッサクにツッコミを入れつつ、サタラがまだ到着してないなと思った。二人は階段の場所まで行き、サタラ位置を確認する。


「サタラの奴、俺の出た後に家を出てたのか。秘密特訓なんてやるじゃねーか」


「そうね。人間の身体になってから魔王としての力が弱まってるからね」


 すると、そのサタラは階段の三分の二の場所で座っていた。


「サタラー! 後少しよ、頑張って!」


「これは、アレを使った方がいいかもね……」


 口を手にあてたサタラは必殺技を繰り出す。


「サタラおっぱいバルーンよ!」


 ぐったりしていた、サタラが突然立ち上がった。そして、ぼよよん、ぼよよんっとFカップの巨乳を見事に操るおっぱいバルーンで階段を登りきった。


「到着……」


 そういうと、サタラは水飲み場でゴクゴクと水を飲んだ。ついでに顔も洗うと、フラフラッとベンチに向かい座った。そして、ハッサクとクロコもベンチに座った。


「クロコもよくジョギングするのか?」


「いえ、この前のブルドッグンとの戦いの後からよ。人間の身体は動かさないとなまるし、何となく始めたって感じかしら」


 クロコはサタラの肩に手をあてつつ、答えた。サタラは微妙に震えていた。


「汗で体が寒い……」


「ちょ、貴女大丈夫?」


 震えるサタラをクロコは心配する。


「そうだ! このまま三人で銭湯行こう!」


 ハッサクの提案に二人は頷くと、


「おんぶ……」


 サタラはハッサクにおんぶをお願いした。


「あーもー分かったわよ。よいしょっと」


 背中に乗せたサタラは案外重い。


「サタラ……最近味噌ラーメンの食い過ぎで太ったな」


「コラ! うるさいわよ!」


 グリグリとハッサクはこめかみをいじられる。


「痛たっ! ゴメン、ゴメン」


 そして三人は銭湯に向かった。



 服を脱ぎ、スルスルッと下着をはずしタオルを巻く三人は混浴銭湯の中に入った。

 ポチャン……と少し暑めのお湯に、三人の汗が流れ落ちる。あーっという顔のハッサクは呟く。


「うー。体の疲れが吹き飛ぶわ……」


「朝から銭湯なんて、贅沢ね。鼻歌でも歌いたくなるわ♪」


「私は一人でたまに来るけどね」


 瞳を閉じたまま、三人は温泉に癒される。一分後――カッ! と目を見開き、三人は同時に湯船を出た。


「ふうー。体が温まったぜ。次はどの湯に入ろうか?」


 キョロキョロする三人は良さげな湯を探す。するとサウナを見つけた サタラが、


「サウナにしない?」


「サウナもお勧めよ」


 とクロコが答え、三人はサウナに入った。ジワーッ……と 頭の芯から汗が流れ落ちる。

 ふと、クロコがサタラの顔を見ると、鼻の下に汗の粒がヒゲのようになっていた。


「プッ。サタラ、鼻の下の汗の溜まり方が面白い」


「あ、本当だ。ヒゲみたいだぜ」


「え?」


 サタラは慌てて鼻の下をこすり、汗を散らす。


「サウナにいるんだから、汗くらい溜まるわよ! てか、クロコの胸の谷間から滝が流れているわよ!?」


 黒髪をまとめるクロコの巨乳の谷間からは、本当に滝のような汗がサァーと流れている。


「別にフツーよ」


「乳首が黒いと大変ね」


「陥没に言われたかないわよ」


「最近、飛び出すようになったんだから!」


「ふーん。ハッサクに揉まれてかしら?」


 サタラの言葉を聞きのがさず、クロコはツッコミを入れる。


『……』


 そして三人はボーッと、水滴が流れる壁を見つめた。そして、クロコがふと言う。


「温泉もいいけど、ソードランドにプールを作りたいわね。イベント限定でもいいけど」


 クロコはタオルで胸の谷間の汗を拭いつつ言う。ハッサクは、


「そうだな。冷たい水は暑くなってくると気持ちいいから、夏季限定でプールはあった方がいいかもな」


「プールいいね♪ みんなで盛り上がれるんじゃない?」


 いきいきとした顔で、サタラは答えた。


「これはビジネスになるかもね」


 黒い笑いを浮かべクロコは立ち上がり、サウナを出た。

 それに続き、ハッサクとサタラもサウナを出る。そして、シャワーで汗を流して銭湯を出た。

 脱衣所の自販機からビンのフルーツ牛乳を買い、ゴクゴクゴクッと全裸のまま腰に手をあてた三人はグイッと飲み干した。

 窓の外は、朝日が昇り世界の果てのビッグソードを照らし出し、ソードランドの一日の幕開けを告げていた。




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