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皆既月食を見よう 真美3

二人がベランダに出てからの話になります。

「なぁ、寒くないか?」

「これでもかって位に着こんでいるから寒くはないよ」

今日はそう寒い訳でもないしね。哲はいつでもこれでもかって位心配する。

ちょっと…私に対して過保護なんじゃないんだろうか。

私の方が3日ばかり…先に生まれているのにな。

「なぁ、俺、お前の気持ち聞いてないんだけどな…。月を見ながらでも

いいからお前の返事が聞きたいなぁ…ダメか?」

哲の腕の中にすっぽりと包まれて耳元で囁く。耳元で言うのが私には効果があるのは

知れてるものね。私はくるりと向きを変えて彼と向き合う。

「大好きよ。哲。私ね、哲とずっと一緒にいたいの。ねぇ、哲一緒にいてくれる?」

「あぁ、真美が逃げ出そうとしても俺は手放さないもんね。フフフフ…」

そうだ、この人は執着心が強いし、焼もち妬きだ。その昔私が先に幼稚園に入るのが

嫌で毎日送迎してくれたっけな。幼い時の記憶が私の脳裏によぎった。


「後、お願いだから泣かないでくれよ。真美はほとんど泣かないから俺、どうしたらいいか

分からなくなっちまうから…な?」

そうだったね。私が泣くと哲まで泣きだして止まらなくなるの。

私は哲の顔を見る今も目が潤んでいる様にも見える。

今まで私が知らなかったちょっとだけ男らしい哲を見つけてしまい、恥ずかしくなる。

一緒に同じものを見ていたと思っていたのはどうやら…私だけだったみたい。


「ねぇ…まだ私が哲の事が好きって信じられない?」

珍しく哲が首を縦に振っている。そんなに信用ないのかなぁ?私って。

どうしたら信じてくれるかなぁ?自分から抱きしめてみる?

今…哲にがっちりと抱きしめられてるから無理だよね。

私からキスしたら…どんなに鈍くても分かってくれるかな?

実は…私には夜の綺麗な夜に好きな人とキスをしてみたいという野望がある。

歩美にそれを言ったら、ゲラゲラと笑われただけだった。

いいじゃない、少しくらいロマンティックな妄想していたって。

私はしたい時に襲ってでもキスするそうだ。恐るべし肉食系策士。

もしかしたら…彼氏が歩美に食べられているのかもしれない。

ヘンな空想をしてしまい、私はちょっと身震いをした。

「寒いか?窓越しでいいから見るか?」

哲が屈みこんで私に話しかけた。月はかけ始めたばかり。

でも…私にとっては野望を遂げる最大のチャンス。

女も度胸。勇気を出して哲の首に腕をからめて引き寄せながら、私は顔を少し傾けて

哲の顔に近づいた。チュッと小さな音がした。


「まっ、おっ、おっ…」

哲は呆然として言葉が出ないようだ。ズルズルとベランダにへたり込む。

そう、哲は腹黒な俺様でもこっちからしかけると腰砕けになるんだもの。

「Once more, please?」

にっこりとほほ笑んで哲を見つめる。哲は口をパクパクしてる。

しかたないから、口が閉じたのを狙ってもう一度唇を合わせた。

さっきのキスよりも長い時間合わせた唇をゆっくりと放した。

「哲?大丈夫?言っておくけど、これファーストキスじゃないからね。

覚えてる?ファーストキスの相手は私なんだよ」

私は意地悪くニタリと笑ってやった。これは事実。幼いころに哲と二人で

キスをしている写真が双方のリビングには飾られている。

ここ最近は哲にやられっ放しだったからちょっと位は反撃してもいいと思う。

「真美…お前は…もう大好き」

今度は哲の方から近づいてくる。私はゆっくりと目を閉じた。


啄むような細かいキスを哲がしかけてくる。自然と早くなる鼓動。

一度唇が離れた瞬間…つい寒気がして私はくしゃみをしてしまった。

「冷えたな。窓越しに見ようか」

哲に支えられてベランダから出る。

今度は廊下にラグを何枚か敷いてその上に電気カーペットを置いて二人でくっついて

かけて行く月を見ている。

「今までの俺の努力はなんだったんだよぉ?」

「さあ?それよりもリセットって?私たちはどうなるの?」

親に聞かれたくないから互いに耳元で囁いている。

「それはな、幼馴染から恋人に代わるんだよ?」

哲は少し照れながら答えた。耳がうっすらと赤くなる。

そういう意味…私達の関係が変わるってことか。

けれども、哲はもっと踏み込んだ発言をしたよね。

私もずっと哲と一緒にいたいから、本人に確認しようかしら。

「ねぇ、18歳になったら婚姻届にサインしようね。出すのは後でもいいから」

「へっ、まみぃ?」

「彼氏はすっ飛ばして、婚約者でしょ?プロポーズしたんだからさ」

「えっ、ええっ!!」

「だって…ずっと一緒にいたいって…。それはそういうことでしょ?」

哲のほっぺにちゅっとリップ音をたててキスをしてから私はもう一度哲に囁いた。

「でもね…いきなり全部はあ・げ・な・い・か・ら・ね。ダーリン」


哲は一気に真っ赤になって私を怨みがましく見ていた。

「哲は好きなものは最後まで取っておくでしょ?ね?今日はここまでよ」

私は久しぶりに顔全部を使って笑った気がする。

「うがぁぁぁ。真美にしてやられたぁ」

哲の凹む姿を見て私はフフフと笑った。だって、私も好きなものは最後までとっておきたいの。

「明日の朝にプロポーズ受けたって私から言っておくわね。あれ?哲の方が逃げられないね。

クスクスクス」

「嬉しいけど…嬉しいけど…嵌められた気がする」

哲は欠けていく月を見ながらブツブツ文句を言っている。

「あっ、そうだ。哲。来週の木曜日は流星群が見えるんだって。またお泊りする?」

「…はい、真美の言うとおりにします」

彼は力なく答えるだけだった。やりすぎたかな?私?


Do you stay with me? Yes. I want to stay with me.


真美 fin




これでいいのかな?とも思いながらも皆既月食を見ようはお終いです。


でも、来週は流星群をみるんだってこの二人(棒読み口調でお読みください)

って訳で、次回は流星群を見ようです。

アクセスありがとうございます。

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