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驚きの新事実×前任者の不倫!?

 何だか説明っぽくなってしまいました!

 ちょこちょこ直すかも?です。


 ぐにょーん、音にすればきっとそんな感じな今の私。


 自分の分身である温泉の中には横穴があったのをさっき確認したけど、やっぱり隣の芝生は青いものよ!!


 何が言いたいかと言うと、温泉から出られないとは言えやっぱり陸地にも興味はあるわけで……。そこで私は、出られないならお湯で出来てる身体を上に、うえーに伸ばして出来るだけ高いところからこの森を見渡そうと考えたわけ!!


 「うそでしょー……」


 今更だけど、冷静になって見ればここは凄いところみたい……。


 私の温泉の周りは比較的平地なんだけど、まぁるく切り取ったように一定の距離を過ぎると物凄い緑が広がっていた。

 雑草もキノコも木も私の知っているサイズじゃない。事実は小説よりも奇なり!なんて諺が脳みそを支配するほど、もう測れない大きさでまるで日本じゃ知らない人はいないアニメの森にいるような……まさかトトロ?ははっそんな馬鹿な……


 「人間がいても、まさかこの森と同じでサイズ違いでした!とか言わないわよね?」


 う~、もしそうなったら永遠に温泉に同化し続けて二度と人型にはなるまい!!とここに誓う!


 「あ~あ、凄い嫌な予感しかしないけど!……まぁ他に行く所もないし、行きますか!」


 とぽん とお湯の中に響く音


 この温泉は、幅はそんなにないのに深さは物凄くて底に到着してから上を見上げても、光さえあまり届かない。


 (どっちにいこうかな?)


 自分がお湯だと潜ったままでも喋れて便利だと思ったんだけど、まぁ対話相手いないしあんまり必要ないかも?


 この温泉の底には、横穴が二つ。



 (右と左。ん~見た感じは右から噴き出したお湯がここに溜まって、ちょっと上に開いてる左の穴へ流れてるのかな?)


 お湯と同化して、もはや自分でも見えない腕を組んで考える私。


 (やっぱりここは、右から行くか)


 こぽこぽぉ~と泳いで右の細い穴へと入り込むと、温度が違いすぎることに今更気づきました!


 (え?なにこのお湯!!自分の身体お湯だから火傷の心配はないとしても熱すぎでしょ!?これは、もしかしなくて……私の住んでる温泉って源泉なのかな?)


 すぃーっと長いこと狭い細穴を流れに逆らい泳いで行けば。

 出たところは地中で、そこには地上の温泉では考えられないほどの茹るような熱湯がまるで海のように広がっていました。


 (昔、何かでかるーく調べたことがあったけど……。確かこういう地中に溜まった熱湯が何かの弾みで裂け目や穴から湧き出てきて、地上の窪みなんかに溜まることで源泉になるんじゃなかったっけ?そこからまたどこかに流れ出て行くことで人間が浸かれるくらいの温度まで下がるのよね?……ん?私が住んでる温泉が源泉と言うことは、あそこって結構温度高いのかな?それで、左の穴から先が低い温度の温泉ってことかぁ~)


 それにしても、自分がお湯だからかもしれないけど温度的にはこれくらい熱くても全然余裕ねぇ~なんてすぅいすぅい泳いでいたら目線の端に可笑しなものが映った気がした。


 (……なにあれ)


 ここは地中深いしかも熱湯の中、なのに目の前には


 (……文字?いや、なんで手紙風なの?)


 地上の広い海にも終わりがあるように、この地中の熱湯海にも端っこがあるわけで……。

 私もまだぐるりと全部回ってはいないと言うのに、もう可笑しなものを見つけてしまった。


 このお湯に浸かってどろどろの土にどうやって書いたのか分からないけど、完全に日本語じゃない字でグニャグニャとなにやら綴られていた。


 (なんで読めるの私?!)


 しかもそれが読めちゃう私に、自分で驚いてちょっと深呼吸


 (って水中だし!!……まぁいいわ、何々?)


 その手紙は、明らかに私宛で、始まりはこうだった


 新任の精霊へ

 わたくしは貴女が生まれる以前、千年ほどこの土地を加護してきた湯を司る精霊であり、今はこの命が尽きかけた状態でこの文を認めております。

 時間もないので簡潔になりますが、どうか良く読み、そして自身の糧とするよう願います。

 まず、生き物についてですが……この世界には動物や植物、精霊の他にも人間と呼ばれる種族がおります。時間があれば言いたいことは多々ありますが、今はただ、人間と一口に言っても様々な掛け合わせで獣人や魚人など驚くほどの種類がおり、彼らは知能が高いので関わるのには過剰なまでの注意が必要だと言うことを良く覚えておいてください。

 そして、この土地の事ですが……この場所に精霊が誕生するようになったのは我々長命種でも思い出せぬほどの昔のこと。だからと言って何か使命があるのか?と聞かれても、わたくしたちには特にすることはありません。ただ自身がすこやかであれば、この源泉もこの場所から伸びている水路も、それにより潤っている木々も、瑞々(みず)しい草木を食す動物たちも、彼らを口にする大型動物たちも、皆が当たり前に生きる事ができますから。

 ……そう、貴女さえ健やかであれば。

 わたくしはそれすら守ることも出来はしませんでした。

 これは、私の懺悔ですが……読みたくなければ消してしまって結構です。

 私は、人間の男と恋を致しました。

 その男は、この森と土地を含めた島すべてを治める小国の王だと名乗りました。

 この土地は国の中でも特別な場所で、歴代の王たちは皆この場所へ足を運ぶのが慣例だとも言っていました。

 私は、それまでただぼうっとお湯へ同化し、長いこと漂っていたので人間を見たのは初めてで……恥ずかしながらその男へ興味を持ってしまったのです。

 数年に一度、この場所に沈めた精霊になる前の、水卵すいらんである貴女を見回りに来ることくらいしかすることも無かった私に観察対象、しかも対話が叶う相手が現れた。

 そのことに年甲斐もなく浮かれた私は……彼の願うまま今までも自然と流れていた源泉の湯を横穴へ大量に流し込んでしまいました。

 気が付いたころにはもう遅く、繋がっていた生態系の輪が歪み始め、今まで行き渡っていたはずの土地は、源泉に遠いところから徐々に干からび、木々も動物たちも弱り、死にました。

 だと言うのに、事実を知ってもなお、私はあの男が恋しかったのです。私は水路を使いあの人の住む土地へと向かい、そして己がいかに愚かであったのかを知りました。

 あの男には美しく強い妻がおり、そして儚げで優しい愛人まで囲っていると!それに、愛人との間に男児がいるのだと……。

 私の心は凍り付き、気が付けばこの場所へ戻り、まるで泥水のように底へと沈みました。

 精霊がこのような状態では、いずれ土地は枯れ果てる。そうわかっていても、どうにもならないのです。

 あぁ、もう湯の勢いが弱まり始めている……。

 数日して、あの男がこの場所へ足を踏み入れたのがわかりました。けれど、私は顔を出さず、待っている間に獣に襲われでもしたのでしょう、そのうち足早に土地を去り、そのままもう会うことはありません。


 こんな愚かな私の後任など、きっと御嫌でしょう。

 けれど、他にもう手段もありません。

 共に生きてきた大地や木々や動物たちに、これ以上の迷惑をかけるわけにもいかないのだと、どうか産まれたばかりの貴女へ重責じゅうせきを押し付け消えることを理解していただきたいのです。


 私は何もして差し上げられませんが、ここを出て左の穴を抜ければ大きな森と人の土地があり、穴の先にある川の淵に生えた老木に年を召した精霊がります。困りごとがあれば、彼を頼るといいでしょう。


 (……)


 全部読み終えたさ、だがしかし!!重責って……なんで生まれ変わってまでそんな責任追わなきゃいかんのよ!?だいたい!!


 (その王様ってなんなの!?何様のつもりよ?!不倫なんかしやがって!!精霊に手を付けるなんて、王様って土地守ってる精霊より偉いわけ?前任者も人間に恋って……物語じゃないんだから相手選んでよ~)


 冗談でしょ~?!ってノリの私!と言うかそのまま冗談でお願いします!!


 (はぁぁぁぁ、でも何にもしなくて良いんじゃあないの?そう書いて……って消えてるじゃん)


 何時の間にか消え去ったお手紙……。


 (もうっ!!しらんしらん。私は関係ないし!健やかであれば良いって書いてたし!左の穴は要するに森と人間の土地に繋がってるわけでしょ?そんなとこ絶対行かないからね!!私お湯の精霊だし、人間は範囲外ってことで!!)


 あ~疲れた!!暫く寝るわ!!







 

 



 



 


 


 


 


 

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