——休息
翌日の夕方からずいぶんニュースが騒がしくなった。
『高校生連続殺人事件の犯人自殺か?』と、大見出しに書かれ、あの教師が実名で取り上げられている。
犯行の動機は殺人事件以前に起きた二人の自殺と自殺未遂に対する責任感に加え、あの院長のたび重なるクレームに対する嫌気からきたものとされ、その証拠に一連の事件に対する遺書らしきものが残されているらしい。
学校関係者は口を揃えてあんな恐ろしいことをする人には見えなかったと証言して、生徒からも気さくでいい先生だったのになどと報道されている。
だが一方ネットでは、「あーやっぱり」「あいつ、いつかなんかすると思ってた」「単純バカって怖いよな」「オレ最初からあいつだと思ってた」といった書き込みが相次いでいる。
自殺の線が強かったため司法解剖ではなく、短時間で終わる行政解剖の結果も特に怪しい点はなかったとされた。
やっぱり飲ませたのと同じ酒から作った麻酔は検出できなかったんだろう。と言うよりも最初から自殺として扱っているんだ。争った形跡も他に立ち入った者の気配もなければ当然だ。
また、近くの公園から先に始末したヤツと教師の毛髪が混じった衣服が発見され、タンスから犯行時に使ったとされるタトゥーのシールが見つかり、警察はあの教師をほぼ容疑者と断定したそうだ。
これで一連の事件はめでたしめでたしとはいかないまでも決着して被害は終わった。誰もがそう思うだろう。
僕もここでいったんナリをひそめて世間からこの事件の興味を失わせる必要があると考えている。今度はまた半年なんて待たずに、ほんの1か月もすればマスゴミは別の話題を追いかけるのに必死になり、警察も新しい事件を追うことで手一杯になるんだ。
そもそも世間なんて、1か月どころか1週間もすれば過去の思い出になってしまうだろう。
1か月という期間は、僕をイジメていた残りのやつが自分が殺されるかもという警戒心を取り除かせる時間でもあるんだ。
ははははっ!! 今のうちにせいぜいホッとしているがいい。
オマエらを始末してきて、僕はよく分かった。
オマエらは強がってはいても、結局、世間から見ればただの厄介者にしかすぎないんだ。金を持っている、権力を持っているうちはいいがそれを失ってしまえば何の価値もないどころか、うざったいただのバカでしかない。
僕がやっていることは間違いなく悪だろう。だけど、社会的には正義を執行しているともいえるんだ。
もはや僕の復讐は僕だけのものじゃなく、オマエらに振り回され迷惑を被ってきた人全員の望みでもあるんだ。
やってやる。必ず全員やってやるぞ。
それが僕に与えられた使命なんだ。必ず全員やり遂げるまで僕はやりきってみせる。
次はあいつにしよう。
早くこの休息期間が終わらないかな。
今から待ち遠しくて仕方ない。