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第三話:阿鼻叫喚の王宮


一方その頃、私を追放した我が祖国——。


「……何だ、この臭いは! 掃除が足りんと言っているだろう!」


エドワード王子の怒声が、薄暗い廊下に響き渡ります。

しかし、侍女たちは青ざめた顔で震えるばかり。

どれほど磨き上げても、壁からはどす黒い「シミ」が滲み出し、王宮全体がドブ川のような悪臭に包まれていました。


「エドワード様……わ、私、もう無理ですわ……」


「聖女」リリアは、かつての美貌が嘘のように、目の下にひどい隈を作っていました。

彼女がいくら「光の魔法」を放っても、呪いは消えるどころか、光を餌にしてますます増殖しているのです。


何より恐ろしいのは、人々の体に現れた異変でした。

騎士たちの剣は錆びつき、魔導師たちは魔力回路が詰まって魔法が暴発。

さらにエドワード自身の顔にも、隠しようのない「黒い痣」が、蛇のように這い回り始めていたのです。


「エルセ……あの不浄な女が、何か細工をしたに違いない!」


「そうでございますわ! 彼女を連れ戻して、この呪いを解かせましょう。そうして用が済んだら、今度こそ地下牢に……」


彼らはまだ、気づいていません。

エルセが毎日、どれほどの激痛に耐えながら王宮の「膿」を絞り出していたか。

そして、一度決壊した呪いのダムを止められる人間は、もうこの国には一人もいないということに。


「おい、エドワード! 緊急事態だ!」


血相を変えて飛び込んできたのは、隣国へスパイに出していた騎士でした。


「例のエルセが……隣国で『聖女』として崇められている! しかも、伝説のフェンリルを従え、聖王国の第一王子と仲睦まじくコーヒーを飲んでいるという報告が……!」


「……は?」


エドワードの顔から、一気に血の気が引いていきました。






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