第五話 「怪人武闘派・キャリー」
第五話「怪人武闘派・キャリー」
ドラゴナイトのカードを片手に俺達は砂の上で腰を掛けていた。
ドラゴナイトの激闘、更に譲介と慧悟は山本と田中との激闘を終えたばかりの戦闘だった。
4人とも疲労困憊、武器を地面にさし、膝をつく。
その時、海の奥から影が現れる。
それを見た慧悟は何かを察した。
「まさか…田蔵さん…」
そのかんは的中。
「慧悟!」
船に乗って現れたのはSRトップ「田蔵信臓」だ。
「無事でよかった。」
「いえ、こちらこそ田蔵さんが無事でよかったです。」
そしてその横にも女の人がいた。
「慧悟さん。お久しぶりです。」
「百合香…無事でよかった。」
それこそ「早乙女百合香」さん。田蔵さんの娘であり、慧悟さんの恋人である女性だ。
その時、問馬はニット笑いながら田蔵に挨拶する。
「『不動産』よろしくだぜ!」
だがまだ名前を覚えられていない。
「『田蔵さん』です!」
譲介が訂正すると慧悟は頭をかかえた。
「問馬…」
だが田蔵はその失礼な態度をものともせず豪快に笑う。
「まあいいぞい。慧悟。」
本来なら「失礼なやつだ!」と言われてもおかしくはないのだが、田蔵の懐は想像以上に広かった。
問馬は意味を理解できず、首をかしげるが、田蔵は続ける。
「とりあえずワシも上陸したということで、SR中国支部へ移動するぞい。」
「了解しました。」
こうして俺達はSR中国支部へと向かうことになった。
「ここですね。」
譲介がそういうと田蔵は頷きながら
「そうじゃ。」
と返す。
すると田蔵はキーホルダーを取り出した。
そのキーホルダーには25個の鍵…。流石長といったところだ。
「開いたぞい」
田蔵はロックを解除するとゆっくりと扉を開いた。
直後、問馬は目をかがやかせながらアジト内を駆け回る。
「広いぜぇ〜!」
「人の家やぞ。ジロジロしなさんな。」
剣がそういうが問馬は意味がわからず
「よくわからねぇぜぇ〜」
と首をかしげる。
(この子ちょっとやばいぞい…)
田蔵はそう思ったのだった。
「すみません。田蔵さん。途中でこの男に出会ったのですが、かなり破天荒で…」
「だ、大丈夫…だぞい」
慧悟の謝罪に対し、田蔵は焦りながらも寛大に答えた。
問馬に注目して、見逃してしまいそうだが、SR中国支部の中は広く、武器や部屋が沢山置いてある。これが中国支部ということは様々な国にこれがあるのだろう。想像するだけで壮大である。
すると田蔵は改まり、慧悟に問う。
「慧悟。『天城譲介の件』『この男達(剣と問馬)の説明』『ここで何があったか』聞きたいことや話すことが山程ある。とりあえず屋外で焚き火でもしてゆっくり話させてくれじゃぞい。」
「はい。」
慧悟がそう答えると、譲介達はベランダへ向かった。
外には焚き火と鉄板が用意されていた。
「折角じゃからBBQでもしながら話そうと思ってのう。」
「BBQだぜ!テンション上がるぜぇー!!!」
「ご丁寧にありがとうございます。」
「うむ。」
ジューッ!
田蔵さんが次々と野菜や肉を焼いた。肉の焼ける音、カラフルな野菜…やはりBBQは食事の中でも至高の域にあることを実感する。
「あれ?コーラーは?」
だがここで問馬のお決まりのコーラ&ポテチねだりが発動する。
「おい!失礼やぞ!せめて『コーラーとかありますか?』やろ!」
「?」
剣はそうツッコミを入れるが、またもや問馬は理解できていない。
「元気が良いのぉwあるぞい!」
だが田蔵は豪快に笑いながら、コーラの蓋を開ける。
「おぉぉお!」
炭酸の音をたてながら、コップにコーラが注がれると、問馬は目を輝せた。
問馬がさっきから失礼ムーブをしているが、田蔵さんは笑って許してくれている。まるで仏のようである。
「田蔵さん。この男達は昨日の夜に出会いました。『剣』と『問馬鹿之助』破天荒ですが、戦闘者としては優秀です。」
「なるほど…」
「中国では…」
それから慧悟は田蔵さんに何があったかを説明しおえた。
「で、確か君は『天城譲介』じゃな?」
田蔵は譲介を見ながらそういった。
「はい。」
「うむ。天城譲介話は聞いとるぞ。どうやらアコンシャスリボルトで被害に合い、殺されそうになった少年を助けたと…」
「そのとおりです。」
田蔵さんは頷きながら話を聞いていた。
「まず礼を言いたい。少年を助けたこと。運転手や副運転手。そしてドラゴナイトも撃破し、アコンシャスからこの中国を守ってくれたことを誇りに思おう。」
「ありがとうございます。」
田蔵は数秒、間をおいてから、静かに口を開く。
「ところで譲介。お前は人の命を背負っている。じゃがワシは思う。『本当に背負う覚悟があるのか?』と」
「…………」
譲介は黙ってそれを聞く。
だが慧悟は真剣に田蔵に向き合い、言った。
「お言葉ですが田蔵さん。彼にはその覚悟はあります。俺は目の前で見てきました。」
田蔵は腕を組みながら続ける。
「うむ。慧悟。お前が言うなら間違いないのかもしれない。じゃが譲介。お前はどう思うのか?それが大事なんじゃ。」
その時、譲介はゆっくりと呟く。
「『命を背負う覚悟』…」
田蔵の言うことは間違いなく核心をついている。人の命は重い。その重いものをつい最近まで一般人だった譲介がいきなり背負うなど。田蔵からすれば疑問だろう。田蔵はおそらく譲介に戦いから引き返すチャンスを提示しているのだろう。
だが譲介は少し考え、こういった。
「……俺には、まだ覚悟があると言い切れないかもしれません。慧悟さんや田蔵さんのようには……。でも……」
少しだけ、手が震えていた。火のゆらめきが俺の胸の奥を照らす。
「8歳の時、俺はアコンシャスに襲われかけて──見知らぬ男に助けられました。母さんも、目の前で奪われたのに、何もできなかった……。悔しかった。情けなかった。だから今だけは……誰かを守れる強さが欲しいんです」
すると田蔵は少し考えた。
「悪かったな。大人げない質問をして。ならば天城譲介。その言葉を信じてみるぞい。その身で証明するんじゃ、その『背負う決意』を。」
「はい!」
焚き火の中、譲介はしっかりと誓った。
だがこの日の夜…大変なことが起きる。
夜中にいきなりSRアジトに黒い影が現れた…。
空気が一変し、足音がひとつ……
そう、それは大量のアコンシャスだった。
「!?」
「何…?」
「なんやて!?」
「やるしかねぇぜぇ〜!」
譲介達は即座に飛び出した!
「行きましょう!慧悟さん!」
「ああ!」
「変身!」
「PHOENIX DRIVE! Burn The Sky!」
「義鋼!」
「Azure Blade Unslash!」
「変身!」
「Poison Scorpion! Turn On!」
譲介達は変身した。
譲介の槍が貫き、慧悟の刀が切り裂く。
「量が多いですね…!」
「一体どうやってこんな大量のアコンシャスを…?」
だがその奥から覗き込む影があったのだ。
「あれは…!?」
「なるほど。これだけいてもなぎ倒すか。流石だ。」
「何者だ!?」
そこにいたのは女のアコンシャス。
「私はキャリー。エパナスタシーを代表し、貴様らを殺しに来た。」
やつはキャリーと名乗った。目にはQⅣの刻印がある。
「なんだと!?」
「準…Ⅳ騎士…!?」
コイツだけではなく、大量のアコンシャスがいる。俺以外はそれで手一杯。どうやらやるしかないようだな。
(このアコンシャス…まさか…)
その時、譲介は小さい頃に読んだ本を思い出す。
アコンシャスについてかかれた本…それには「四騎士」についてかかれていた。
あくまで都市伝説だったが、エパナスタシーというアコンシャスで構成された組織の幹部として四騎士という腕利きの幹部陣がいる。
そのうちの準四騎士…やつらの片目には序列の数字と「Q」の刻印があるとのことだった。
それが本当ならばやつはエパナスタシーの中でも腕利きの猛者…準Ⅳ騎士ということになる。
その事実を噛み締めた譲介の瞳が揺らぐ…
(えっ…準四騎士…俺にできるか…?)
だが譲介は拳を握りしめる。
「ここでたたかえないやつが強くなる未来なんかない!」
覚悟を決め、譲介はキャリーへとスタートを切った!
槍がキャリー攻撃する!
だがキャリーはそれを上段受けで受けてみせた!
「!?」
(受けがしっかりしてる!コイツ猛者だ!)
するとキャリーは譲介の懐を侵略しにかかる!
「その程度の一撃…“私の世界”では風邪にもならない。」
(コイツは武器を持っていない!拳!ならば槍を捨てて、拳の距離に対応する!)
譲介はバックステップしながら、槍を手放し、腰にかける!
「1! 2 !3! 4! 5 !6! 7! 8! 9 !10!」
するとキャリーの拳の連撃が飛んだ!
(凄まじい連撃!とにかく受けるしかない!)
譲介は防戦一方になる。
「11!12!13!14!15!16!17!18!19!20!」
「何!?」
が、キャリーの拳は譲介のガードを吹き飛ばす。
そのまま譲介の顔面を捉える
「がはっ!」
譲介は後方へ吹き飛ぶ!
(なんだ…いきなりガードを貫いた…威力が増した…?)
譲介は拳の威力の倍増を感じる。
「まだ終わらん!」
再度、キャリーは譲介に向かって突進する
(コイツの拳、ムカつくが凄まじい連撃だ。さっきわかったが、ガードも通じない。近距離…つまりやつの距離にすれば勝ち目はない。ならば槍のリーチを利用して、槍の連撃で戦うしかない!)
譲介の集中力がここで増す。
「カァーッ!」
突きを放っても、受けられるだけ、ならば横薙ぎだ!
「なるほど。そうくるか!」
キャリーはジャンプでそれを躱す!
(咄嗟にジャンプで躱したが、この距離…蹴りも届かん…やられたな)
「今だ!」
そして譲介の槍がキャリーを捉えた!
「がはっ!」
これでダメージはお相子だ。
空中で攻撃されたキャリーは吹き飛ぶも、体勢を整え着地をした。
(やられた。中々だ。ならば少し攻撃法を変える!)
次の瞬間、キャリーが大量の石を投げる
それはまるで弾丸、そして大きさ形も異なるので、躱すのが困難だ。
「チッ!」
譲介はそれを躱すも、躱しきれず、何発か貰い、体勢も崩れる。
(体勢が悪くなった!今だ!)
「1!2!3!4!5!6!7!8!9!10!」
またさっきのように連撃でやられる。
「変身!」
「Mirrorcs!」
だがここで譲介がフォームチェンジ、左手の鏡が街灯を反射する。
「チッ!」
それがキャリーの視界を奪う!
千載一遇の好機に譲介は渾身の右フックを放つ。
「がはっ!やるな…」
キャリーの実力は高く、譲介はドラゴナイトを観てなかったらやられてた。
「だが今ので合計35回…発動!」
そのときキャリーが何かを発動する
瞬間、空気が揺れる
空気の揺れにより、俺の後ろにあった木が倒れた。
それにより譲介下敷きになる。
「やられたな!」
譲介はなんとか木を払った。だが衝撃であばらの骨が2本おれる。
キャリーは譲介に歩みながら、言う。
「今のが“ファストゲージ・ステージ1”。」
「ステージ1…?」
譲介が疑問をつぶやくとキャリーは語りだす。
「拳を当てるたびに、この拳の中に“慣性”が蓄積される。今ので35ヒット分──だから、風圧でお前を吹き飛ばせた」
(殴れば殴るほど…拳そのものが加速していく…!?)
「そう。この拳は止まらない。次は50ヒットだ、受けてみろ。」
キャリーの両拳が赤熱する!
拳からは余剰慣性がスパークのように溢れ、地面を削る!
「くっ…!でも、ここで怯むわけにはいかねぇ!」
ミラーックスの槍が、反射する光の中から現れる!
譲介は腰を低く落とし──カウンターの構えをとる
「だったらこっちは、“反射”で受け止める!!」
キャリーが爆音とともに突進!
それにこうおするかのように譲介は反射の瞬間を狙い──
「煌閃・ミラーブレイクッ!!」
ギャギャァン!!
次の瞬間、拳と槍がぶつかり、破裂音が戦場を支配する!!
だがそのとき!
「譲介!」
アコンシャス達を倒し終わった慧悟が現れた!
「チッ、もうやられたのか。まあいい。今日はここまでだ!」
やつはそういうとキャリーは暗闇の中へ逃げていった。
譲介達は変身解除する。
「逃げられたか。」
「やられました。」
誰もがもうたたかいはおわったと思った…しかし…
煙の中から、ひときわ異様な気配が現れた。
「フン……。さすがに、ここまで迎えに来たのだから…それなりの“もてなし”はしてもらわねばな。」
「誰だお前は!」
譲介がそう叫ぶと、影から現れたのは、黒いマントを纏い、異形の仮面をつけた男だった。その胸には赤黒いアコンシャスの紋章。
「……人間か?」
慧悟の問いにやつは堂々と答える。
「人間?アコンシャス?フッ……どちらも“過去”に囚われすぎだ。俺は、その“先”を見る者だ。」
「こいつ……並じゃねぇ。背筋がゾクッとしたわ……!」
「おいおい……こっからが本番ってわけかぁ?」
(まさか……これは……“エパナスタシー”か!?)
「譲介……気をつけろ。あいつ、これまでのアコンシャスとは格が違う。」
「……慧悟さん、共闘しましょう!」
「当然だ!」
二人が目をあわせると
「オレらも行くで!」
「全員でボコるぜぇー!」
問馬と剣も後ろから現れた。
敵の男は、ゆっくりと手を掲げた。するとその周囲のアコンシャス達が、一斉に動きを止める。
「……我が名は“アトラ”。エパナスタシー四騎士の一人だ。」
「アトラ……?」
アトラは片目の仮面を外すと、そこには禍々しい“人間とアコンシャスが融合した”ような異様な顔があった
「アイツ……とんでもない力だ。今までのアコンシャスとはまるで違う。」
「……奴ら、“エパナスタシー”が動き出したか……!」
「なあ、それって美味いのか?」
「違うわ、ボケッ!」
その時、譲介の胸にはまだあの言葉がささっていた…
(背負う覚悟”……田蔵さんの言葉が、胸に刺さってる。あのアトラってやつが何者であろうと、俺は――もう引き返さない。俺は、守るんだ。誰かを、そしてこの世界を!
譲介が示す…覚悟とは…
次回 「覚悟」
見てくれてありがとうございます。
新たな敵キャリー…彼女が今後の戦局を大きく動かす。
そしてアトラを前にして譲介は田蔵に問われた覚悟を証明できるのか…?
次回は来週の水曜日公開です。




